世界史リンク工房

大学受験向け世界史情報ブログ

各校の過去問対策、受験対策のほか、世界史を理解する上で役に立つ視点や勉強法についての情報を随時更新していきます。
Twitter→https://twitter.com/HISTORY_LINKAD7 フォロー大歓迎です♪

※ 目標に向けて頑張る受験生の皆さんの一助になればと思って頑張って更新し、情報もチェックしておりますが、人間ですのでミスなどが出ることもあります。当サイトの情報をご利用の際はあくまでも自己責任でお願いいたします。

※ 問題解説では、著作権で怒られても困るので、解説に必要な最小限の問題概要のみを示してあります。あくまでも解答にいたるまでの「考え方」を示すためのものでありますので、過去問の正確な内容については各大学にお問い合わせいただくか、赤本買ってくださいw また、大手予備校のHP等からも閲覧できるかと思います。問題全てが手元にあった方がわかりやすいと思います。

以前から奴隷制をめぐる出題は多かったのですが、近年はその度合いが増してきています。今までの政治史中心の歴史から、社会史のような人に焦点をあてた歴史、または経済・社会・文化といった人の動きや考えを取り入れた歴史が重視されてきているせいかもしれません。

 ところで、奴隷制をめぐる問題で最も出題頻度が高いのはやはりアメリカの南北戦争と奴隷制廃止をめぐる動きかと思います、一番有名なのはやはり1863年の奴隷解放宣言ですが、奴隷制をめぐる動きは実はそれより前から存在します。中でも、受験生にはいまいち理解しにくいのが「カンザス=ネブラスカ法」です。カンザス=ネブラスカ法制定はアメリカの二大政党の一つである共和党結成に深くかかわっています。前のトランプさんの側の政党が共和党ですね。

201125-Trump-GettyImages-1156189767 - コピー

ねこぱんち☆ 


ですが、このあたりの事情が多少込み入っているために、一問一答式や穴埋め重視の授業・学習スタイルで覚えている人には、カンザス=ネブラスカ法と共和党結成の関連性がとらえにくい(あるいは、見逃してしまう)のです。

 では、カンザス=ネブラスカ法の何が問題だったのでしょうか。

 アメリカでは、19世紀(1800年代)の前半から、奴隷制を認めない自由州と奴隷制を認める奴隷州の対立が深まり始めていました。そうした中で、ミズーリが奴隷州として新たな州としての加盟を申請すると、この申請を認めるか否かで大きな議論となりました。当時、各州からは2名の議員が選出されることになっていたため、新たに昇格する州が自由州であるか奴隷州であるかは、奴隷制度の問題だけでなく議会内のパワーバランスにもかかわる問題でした。

 この問題に一定の妥協点を見出すために結ばれたのが1820年のミズーリ協定です。ミズーリ協定は、ミズーリ州を奴隷州として認めるかわりに、今後新しく誕生する州については北緯3630分以北に誕生する州を自由州、以南に誕生する州を奴隷州とするという内容でした。その後誕生したアーカンソー州やミシガン州などは、この協定にしたがってそれぞれ奴隷州、自由州となっていきます。

 ミズーリ協定 - コピー
 1849年ごろのアメリカ合衆国と北緯36度30分線
青は自由州赤は奴隷州(灰色部分は州に昇格していない地域)
Wikipedia「北緯3630分」より、一部改変)

 ところが、1854年に制定されたカンザス=ネブラスカ法はこの妥協を破壊する内容でした。つまり、「新たに創設されるカンザス準州(州に準ずる自治権をもつ地域)ならびにネブラスカ準州においては、これらの地域に住む人々の住民投票によって奴隷制を認めるかどうかを決めること」とされました。下は、カンザス、ネブラスカ両州の位置です。(ただし、地図は現在のもの)

54-2南北戦争【移民史追加後】 - コピー

Wikipedia「カンザス州」[]と「ネブラスカ州」[]より引用、作成)

 
 ご覧いただくと分かるのですが、実はこの二つの準州はミズーリ協定で定められた北緯3630分線よりも北にある土地でした。つまり、カンザス=ネブラスカ法はミズーリ協定に従えば本来は自動的に自由州になるはずの土地において、奴隷制を認めるか否かを住民に選ばせる(奴隷州になる可能性がある)ことを認める法律に他なりませんでした。これに怒った北部自由州を中心とする奴隷制反対派によって、1854年に共和党が結成されました。その後、南部を中心とする民主党と、北部を中心とする共和党のあいだでは奴隷制をめぐる問題を中心に対立が続き、1860年の大統領選挙で共和党のリンカンが当選したことをきっかけに南北戦争(18611865)へと突入していくことになります。

 南北戦争を理解する上で、共和党は重要な要素であるために必ず教えられるのですが、「なぜ共和党が結成されたのか」については「カンザス=ネブラスカ法をきっかけに奴隷制をめぐる対立が高まったから」と通り一遍のことしか教えてくれない場合があります。ですがやはり、「そこにはどういう意味があるのか」を掘り下げて理解しておいた方が、ストーリーがはっきりしてより良く理解できるのではないかと思います。 

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

・「ミズーリ協定(1820)」で、ミズーリは奴隷州

:アメリカ合衆国における、奴隷制をめぐる南北の対立の中で、1820年には「ミズーリ協定」が成立します。このミズーリ協定自体はある基準(北緯3630分)よりも北に新設される州を自由州、南に新設される州を奴隷州とするという内容です。これ自体はすっきりと分かりやすいものです。

 ところが、肝心のミズーリ州だけは、北緯3630分以北にあるにもかかわらず奴隷州とされました。このあたりのところが気づきにくいところなのですが、私大の正誤問題などでは時々出てくることがありますので注意が必要です。(ちなみに、ミズーリ州よりも東の地域で、北緯36度30分以北に奴隷州が存在するのは、これらが「ミズーリ協定」以前に存在した奴隷州だからです。)

 ミズーリ協定 - コピー

1849年ごろのアメリカ合衆国と北緯36度30分線
青は自由州赤は奴隷州(灰色部分は州に昇格していない地域)
Wikipedia「北緯3630分」より、一部改変)

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

【難関大】
・ザミンダーリー制とライヤットワーリー制

:私が高校生の頃は世界史をなめるように勉強している人しか覚えていなかったザミンダーリー制とライヤットワーリー制ですが、最近は東大の小論述などでも出題されたせいか、私大含む他大でも出題が見られるようになりました。ポイントは、中間に地主層(ザミンダール)をはさむか、はさまないかです。単純に説明すると以下のようになります。

 

ザミンダーリー制

:政府と農民の間に地主層(ザミンダール)が存在し、このザミンダールに農民からの実際の徴税を任せて、政府はザミンダールから定額の租税を徴収する。

 

ライヤットワーリー制

:農民(ライヤット)から政府が直接徴税する。 

さらに単純に図示すると以下のようになります。

ザミンダーリー制、ライヤットワーリー制

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

↑このページのトップヘ