世界史リンク工房:コーヒーを飲みながら歴史を語れ

大学受験向け世界史情報ブログ。 受験のティータイム・コーヒーブレイクに目を通して、一味違う歴史的視点を我が物に!

各校の過去問対策、受験対策のほか、世界史を理解する上で役に立つ視点や勉強法についての情報を随時更新していきます。

以下のような方はとくにオススメ!

・東大、一橋などの国公立や早稲田、慶応の受験を世界史で考えている。
・論述対策を進めたい。
・教科書やプリントだと不足している情報が多すぎて、背景にあるつながりが見えない。
・『詳説世界史』などを読むだけでは気づけない、専門的な歴史的視点を養いたい。
・世界史を覚えるのが苦手で、どうやって勉強したらよいのかわからない。
・世界史の教員になりたてだが、西洋史が専門ではないので少し突っ込んだ知見を知りたい。

※ 目標に向けて頑張る受験生の皆さんの一助になればと思って頑張って更新し、情報もチェックしておりますが、人間ですのでミスなどが出ることもあります。当サイトの情報をご利用の際はあくまでも自己責任でお願いいたします。

※ 問題解説では、著作権で怒られても困るので、解説に必要な最小限の問題概要のみを示してあります。あくまでも解答にいたるまでの「考え方」を示すためのものでありますので、過去問の正確な内容については各大学にお問い合わせいただくか、赤本買ってくださいw また、大手予備校のHPからも閲覧できるかと思います。正規の問題が手元にあった方がわかりやすいと思います。


詳説世界史ノート

(詳説世界史ノート編集部編、山川出版社、2014年版)

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 山川は「〇〇ノート」と名のつく学習ノート形式のものを非常に数多く出しています。これらの学習ノートは外見も非常に似ており、本屋の店頭に行くとこれでもかというくらいにおいてあるので、受験生からすると「そもそもこいつらは役に立つのか。いや、それ以前にこれらはどのような違いがあるのだろう」と迷ってしまうというのがこの山川の学習ノート群です。ためしに、いくつか例を挙げてみると、

 

・『詳説世界史ノート』

・『授業用 詳説世界史B整理ノート』

・『詳説世界史学習ノート:上』

・『詳説世界史学習ノート:下』

・『流れ図で攻略詳説世界史』

・『詳説世界史スタンダードテスト』

 

などなど。とにかく似ています。そっくりです。どれくらい似ているのか。

まず、学校の教科書などとして使われている「詳説世界史B」です。

 

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つづいて、『詳説世界史ノート(本書)』です。

 

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『流れ図で攻略:詳説世界史B』です。

 

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詳説世界史スタンダードテストです。

 

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これらが同じような水色の表紙に包まれて本屋に陳列されている様は
さながらスライムなのか水色のぷよぷよなのかわからない連中が群れをなしているかのようです。開いてみると、内容的にも一見、「む、どこに差があるのだろうか」と思わせるほどよく似ています。その違いはおいおい解説していきますが、これだけ似ているものを、そっくりなタイトルでドカドカと同じ場所において、ろくに各参考書、問題集の使い方の区別をユーザーに丁寧に示さないというのはどれだけ殿様商売なんだ、と思いますw 用語集にもその手の傲慢さは透けて見えますねw「オラ、オレ様は山川の用語集だぞ?受験生なんだろ?買えよ!は?使い方?そんなもんはテメーで考えろ!」みたいなw くぬどんかよw

 
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これらの学習ノート・問題集群の中でおそらくもっともよく見かけ、さらに受験用のまとめに適しているだろうと思われるのがこの『詳説世界史ノート』です。本書の「使い方」として、表紙カバーには以下のようにあります。

 

このノートは、『詳説世界史』の流れに沿ったノートです。教科書に完全準拠しているので、授業の予習・復習はもちろん、受験のための自宅学習にも最適です。

 

また、本書の冒頭にある「内容と使用法」にはこのように書いてあります。

 

 『詳説世界史』に完全準拠しており、教科書の構成・本文の流れに忠実に沿ってつくられています。内容は教科書の記述を逸脱せず、過不足なく整理されております。

 

たしかに、その通りなのでしょう。実際、私もその通りだと思います。学習ノートとしてよく練ってあると思いますし、仮にこれを一般の中高における世界史プリントとしてそのまま用いたとしても、特に問題なく使用できるレベルに仕上がっていると思います。

 

ただ、ここで注意しなくてはならない点があります。それは、ここでいう『詳説世界史』とは、高校の教科書として用いられる『詳説世界史B』のことをさしているのであって、私が最初に紹介した受験生のバイブル『詳説世界史研究』のことを言っているのではない、ということ(多分)です。実際、本書を手に取って実際に進めてみると、『詳説世界史研究』と比べるとやや内容が薄いことに気付きます。このことが何を意味しているかというと、本書を解き進めるだけで東大をはじめとする難関国公立ならびに早慶の難関学部に対応するだけの学力が身につくかは「微妙」だということです(身につかない、と言っているのではありません。使い方次第です。)要は、『詳説世界史研究』の方が情報が濃いのです。これは本書の出来が悪いと言っているのではなく、単純にその目的とするハードルが違うのです。つまり、本書はあくまでも教科書『詳説世界史B』のまとめ用の学習ノートに過ぎず、『詳説世界史研究』のまとめ用学習ノートではない、ということです。ちなみに、『詳説世界史研究』はこちらです。


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このことさえ踏まえれば、本書は『詳説世界史B』を教科書として使っている学校の定期考査対策としては十分に使えます。また、大学受験用としても、ある程度のレベルであれば十分対応は可能でしょう。私の感覚としては、偏差60強までの大学とセンター試験であればかなり対応できるのではないでしょうか。また、この学習ノートをもとにしてよりレベルの高い大学用の勉強を進めることも可能です。要は、情報量が足りないのならば足してやればいいわけで、たとえば『詳説世界史研究』を傍らにおきながら、本書を進めていき、足りない情報があれば本書に直接書き加えていくという方法を取ればよいわけです。

 

もっとも、そうした方法はすでに自分で『詳説世界史研究』をベースに効果的な学習スタイルを確立している人には必要ないでしょう。たとえば、学校の先生が作る副教材(プリントなど)が十分に東大、早慶に対応するに足る内容を備えていて、それらを使って学習を進めている場合や、自学自習で『詳説世界史研究』レベルの内容を自らノートにまとめている場合、『詳説世界史研究』にダイレクトにチェックペンひいて頭に叩き込んでいる場合などです。

 

いつもと同じことですが、要は使いようなわけです。教科書に準拠して同じ出版社から出ているものですから、出来としては十分です。ただ、「純粋に」本書だけで学習した場合、偏差70近辺の大学で高得点を狙うことは難しいでしょう。一方で、少し背伸びをして通史を学習したいと考えている「世界史を習って半年~1年目くらいの高校1年生または高校2年生」や、ざっと通史を教科書レベルの内容でおさらいしておきたい高3生には向いていると思います。ですが、図表・地図が少ない&コラムが少ないのは短所ですね。良くも悪くも「教科書を逸脱しない」内容になっていて、遊び心と言うか、面白みに欠ける気がします。
 
 正直、
HANDとしては地図が少ないという時点で、かなり減点です。まとめ用のノートですから、地理的なことは知っているだろうという前提でそうしているのでしょうが、世界史を覚える作業において地理情報の有無は大きくその成果を左右します。また、多くの場合世界史を勉強している受験生の多くが地理的な情報を十分に自分のものとして消化していないのが現状です。みなさんは、「イラン」といったらどこ、「トルキスタン」といったらどこ、と言うように頭の中におおまかな地図が出てくるでしょうか。こういった、「地名を聞けばだいたいどこのことか分かる」という感覚は世界史を勉強する上でとても重要です。HAND自身が授業をする時は、くどいくらいに地理的な位置関係を示しつつ(実際に画像を見せつつ)説明します。しかし、多くの先生方や学習参考書は、(私の経験上ですが)一度解説してしまった地理情報はほとんど説明しません。そうすると、生徒は「バルカン半島」と言われると「あー、なんとなくヨーロッパの東の方?」のような理解でとどまってしまっているのに、先生の方ではセルブ=クロアート=スロヴェーン王国であるとか、セルビア、ルーマニア、モンテネグロの独立なんてことを滔々と語りだすというギャップが生じます。こうなると「理解したつもりで実は全然理解していない」受験生の出来上がりです。もし地名を聞いた時に「まだイメージとして自然にはわいてこないな…」と感じるときには、こうした地理的な情報に敏感になるように注意して、基本的な位置関係だけは押さえるようにすると理解も深まり、学習効率も大きく上がってくると思いますよ。東欧については、ベーメン、ハンガリー、ポーランド、ブルガリア、ルーマニア、セルビアと言われた時におよその位置関係はつかめる、くらいになっているというのが理想です。

 

 ちょっと脱線してしまいましたが、本書はこんな感じになっています。

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右側に内容がプリント風にまとめてあって、左側に番号に入る言葉を入れていく形式ですね。ですが、HANDはこのやり方で本書を利用することはおすすめしません。HANDがもし本書を使うならこうします。

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おわかりになるでしょうか?つまり、ダイレクトに書きこんでいってしまうということです。本気で覚えるつもりなら絶対にこうしたほうがいいです。理由は二つあります。一つは、もし左の「解答欄」に答えを書き入れた場合、必ず目は「右→左→右→左…」というように往復を繰り返します。これが思いのほかに負担になりますし、なにより時間のロスにつながります。二つ目ですが、経験則で申し訳ないのですが、HANDは記憶にとって「視覚情報」は非常に重要だと思っています。「目で」見た印象というのは意外に頭に残っていたり、忘れてしまったとしても何かの拍子に「ひょいっ」と飛び出してくるものなのです。直接書き込んだ場合、その単語を見たときの視覚情報はその周辺の情報も連れてきてくれる、引き出してくれる可能性がありますが、「解答欄」に書きこんでしまった場合、右の「まとめページ」の情報と左の「解答欄」の情報が断絶してしまい、「視覚情報」からは何も引き出せなくなってしまいます。これが本番では意外に大きな差となって出てくる、というのがHANDの印象です。こうしたことは、本書の活用に限らず、たとえば地図を覚えるときにも当てはまります。下の例を見てみましょう。(ちなみに、この地図はHANDが無料の白地図サイトから保存したフランスの地図を加工して作ったもので、本書の内容とは無関係です。)

 

地図記入例1

 

地図記入例2


 

Aはダメな例、Bが良い例です。一目瞭然だと思いますが、Bの方は名前を覚えると同時にその都市がある「場所」の情報も一緒に視覚情報として取り入れることができます。何かを覚えて、自分の知識として消化する場合、こうした何気ない小さなことが大きな差となってあらわれることがありますので、「なかなか覚えられないな」という風に感じている人は、自分の学習方法に何か改善できる点があるのではないかと疑ってみましょう。

 

[本書が向いている人]

・世界史を習い始めたが、自分で「世界史B」の教科書レベルの内容をある程度まとめて、覚えてみたいという人。(高1、高2)←とくにオススメ!

・様々な理由から、「世界史B」の教科書レベルの通史をざっとおさらいをしたいという人(高2、高3)

・あまり細かい説明はどうでもいいので、とりあえず必要最低限のつながりと用語だけ頭に叩き込んでおきたいという人。

・センター試験レベルの世界史に最低限対応できる力を急遽(2か月~半年程度)で身につけたいという人。

・東大、早慶クラスは正直あまり考えていないという人。

・『詳説世界史研究』を用いて自学自習しているが、その前提となる書き込み用教材が欲しいという人。←かなりオススメ!(ただし、余白はあまりないのですごく細かくなる覚悟を)

・学校や塾の先生がめんどくさがりであまり副教材を作ってくれない&板書もしょぼくてまとめのしようがない、という人。←特にオススメ!

 

[本書をあまりオススメしない人]

・東大、早慶レベルの世界史に真っ向から立ち向かって高得点をゲットしたい人。

・話の細かい流れ、説明がないと満足できない人、覚えにくい人。

・図表や地理情報も含めて世界史を理解したい人。

・すでに偏差65以上の成績を模試で取ることができる人。

・学校や塾の先生から十分なレベルのプリントなどの副教材を与えられている人。

・学校や塾の先生の板書が充実していて、それをまとめれば教科書レベルの内容はきちんとわかるようになっている人。

・『詳説世界史研究』を用いて自学自習が進められている人。

 


HANDのところにはよく「プリントが全然覚えられないんです。頑張って勉強はしているんですが、間に合わなくて…」という子が相談に来ます。実際「ものすごく」とまでは言わないにせよ自分が使える時間の中できちんとそれなりの時間をかけてやっている様子ですから、本人が困っている様子は伝わってきます。

 

ちなみにHANDにとって「ものすごく頑張る」といった場合、吐き気をもよおすレベルで勉強することを指しています。HANDが高校の頃は「10時間ぶっ通しで『詳説世界史』とにらめっこ」、「10行分の文章丸ごと暗唱」とかはザラでしたw 英単語ターゲットは14001900の両方をセンター試験が終わってから購入して、早稲田の2次試験までの一か月強で全部覚えました。HANDは高3の頃は全然勉強していなかったので、そもそもターゲットの存在自体を知りませんでしたw 国語と社会の偏差が70upで平常運転(平均点次第で変わるんですが72-78くらいですか。マークだと満点とっても70前半が限界ですしw)だったので「英語と数学できなくても行けるかなー(楽観)」と思ってたんですが、甘かったですねw 当時の英語と数学の偏差は下手すると50を割ってくるレベルでした。ところが、ターゲット覚えただけで英語の偏差は10以上上がりましたね。いかに自分が勉強していなかったかがよくわかりましたw 元々知ってましたけどw おかげで数学に集中できたので最終的には普通に東大や一橋に通るだろうくらいの成績までは上がりました。

 

 現代文ができる人は、英語は英単語さえ覚えれば長文の内容が何となくわかるようになりますので、あとは努力次第でどうにかなりますよ。HANDが英語をそれなりに扱えるようになったのは30歳過ぎてイギリスに留学してからですね。さすがに自分のお金で後がない勉強を強いられるとやりますねw 英語は英文の学術専門書の1~3冊も真面目に自力で読むようになれば自然と身につきますので、高校生のうちに苦手だからと言って気にしなくても大丈夫です。会話はしゃべらないとだめですねw そのうち留学の話なんかもUPしてみようかな。手続きとかえらい面倒でしたし。

あ、大学受験の結果は、浪人して一橋・早稲田×4・慶応などに合格しました。119勝でしたね。落ちたのは上智の法(上智の英語はエグイ!大問1題あたりかけられる時間が10分ないって何だw)と、東大の後期が思ったよりも基準高くてやられました。センター試験で失敗したんですよねぇ。その年は旧課程と新課程の入れ替わりの時期で、高3生と浪人生で数学の問題が違ったんですが、浪人生の方が数学で20点以上平均点が低い超凶悪な問題でしたw 普通数学受けさせたら浪人生の方が高くなるはずなのに現役の方が20点も高いんですからねw そのあおりをくらっちゃいました。今の高3生と高2生がちょうど制度の入れ替え期ですから、そういう意味でも十分に注意してほしいところですね。

 

あ、脱線しまくりですね。そうそう、生徒が「プリントが覚えられない」と困っているとき、HANDは「これは指導が必要かな」と思ったらマンツーマンで(生徒が複数の時もありますが)、「覚え方」から指導しています。これはごくごく基本的な方法で別に目新しくも何にもありませんし、HANDが高校生の頃にも普通にやっていたことなんですが、どうもやり方を知らない子たちがたくさんいるみたいなんですね。そこで、この方法を示してあげて一緒に暗記してみると「全然覚えられない」と言っていた子でもそれなりに頭に入るようになります。人によっては急激に改善して覚えることが苦にならない子も出てきます。そこで、今回は実際にプリントを使いながら、どうやって覚えるのか、その手順を示していきたいと思います。ちなみに、今回使うプリントはHANDが講習のために作った通貨・金融史のプリントの解答です。

 

  まず、絶対にしてはいけないのが、ページ全体に目を通して覚えて、再度一番前に戻る、という手順を繰り返すやり方です。(画像はクリックで拡大、さらにクリックでもっと拡大できます。)

 

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これははっきり言って一度にインプットする量が多すぎて処理しきれません。冒頭に戻った時にはすでに内容を忘れているから、また読んで…の繰り返しで非常に効率が悪いです。効率を高めるためにも、まず以下の手順を試してみてください。

 

  とりあえず、何が書いてあるのか話の概要を理解する。

:「人類の誕生」について書いてあるのか「フランス革命」について書いてあるのかくらいの大雑把な内容くらいは把握しておきましょう。

 

  プリント全体の地図を描く(プリント全体をブロック化する)

:上のプリント(画像)で言えば、1に「鋳造貨幣」、2に「紙幣」についての話が書いてあるんだな、くらいの理解で十分です。

 

  ③で理解したテーマごとに、自分がまず覚えるべきブロックを見定めます。


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テーマを確認するためにも、これから自分が覚えようとする内容が何であるか、見出し語には注意を払いましょう。


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  少し量が多いかな、と感じたらそのブロックをキリのいいところでさらに細分化してみましょう。基準としては、覚えるべき内容が4語~10語程度が無理もなくて最適です。


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  自分で決めたブロックだけを集中してものすごく短い時間で覚えます。覚えるべき言葉が4語であれば、長くて2分もあれば十分でしょう。肝心なのは、2分と時間を決めたらそこでやめること。また、周辺の内容もある程度は把握しておきましょう。


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  2分経ったら、覚えているかどうかをチェックしましょう。一人でやってもいいですが、友達と出し合いっこをする方が手間もかからず時間も省けて効果的です。もし、半分程度しか覚えていないようでしたら再度時間を短くして覚えます。おそらく、これが終わる段階で覚えている内容がゼロ、ということはあまりないはずです。



  終わったら、次のブロックも同じ手順を繰り返します。できるだけ、単語だけに目をとらわれるのではなく、関連事項と結びつけるようにしましょう。それがヒントになって思い出せることが増えてきます。


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  いくらか進んで一つのテーマがおわったら、全体を把握するために再度目を通して頭の中に入れた知識を「ならし」ます。2~3分で十分でしょう。

 

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  最初のブロックが終わったら次に進みます。


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おそらく、プリント1枚につき4~5分割くらいが一回に覚えるのに最適な分量です。「無理がない」というのが一つのポイントです。過度な負担をかけると、疲労感だけがたまって肝心の内容が頭に入っていないということになりがちです。全ての作業が終わることには、20分から30分程度でプリント一枚分の暗記が完了しています。

 

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基本的な手順は以上の通りなのですが、効果的に行うためにも、以下の点に注意しておくとよいでしょう。

 

・ダラダラとはやらない。超短期、超集中!なので、疲れてきたら休みましょう。その意味でも、一夜漬けはおススメしません。1時間、長くて2時間半が限度でしょう。

・中国史の場合、漢字の書きがあっているかどうかにこの段階でこだわるのはやめましょう。まずは「ことば」と「内容」が頭に入っているかどうかにこだわって、漢字などの細かい部分は最後の「ならし」の時に確認して、怪しいものがあればマーカーや目印などでチェックをつけておきましょう。できるだけ一度にいれる情報量が少なくなるようにするのがコツ。

やりっぱなしにしない。一度覚えたら、その日のうち、3日後、一週間後、どこでもいいですから必ず「思い出す」作業を行いましょう。一度覚えたことは、3日~1週間たつと急激に失われるそうですが、それまでに再度「思い出す」ことで定着を図ることができます。その際、実際にプリントを開く必要は必ずしもありません。むしろ、自分で「思い出す」作業を行うことが肝心です。極端な話、授業を聞いた後で帰りの電車の中で「今日はHAND先生は何の授業をしてたっけなー」と考えるだけでもかなりの意味があります。

・何度かやっているうちに、「いつもここだけ忘れている」、「ここだけは注意しないと」というところがあれば、そこにマーカーなりで印をつけておくとやり直すときに便利です。やり直しをする時には、すでに覚えているところは省いて、覚えていないところだけを集中してインプットするようにすれば、時間も労力も短縮できる上に、自分が覚えなくてはならない対象に集中することができます。勉強すればするほど自分の労力が減るような学習をすることが効果的です。

 

今回の「プリント暗記法」は以上です。他にもいろいろ工夫の仕方はありますが、まずは自分の出来る範囲で試してみてくださいね!
 

ブラマンテ、ブラマンテ、ブラマンテ。

いきなり何だ、と思われるかもしれないが、まずは唱えてみてください。

ブラマンテ、ブラマンテ、ブラマンテ。

はい、皆さんご一緒に。

ブラマンテ、ブラマンテ、ブラマンテ。

 

 実は、これはHANDがはじめて世界史の授業を習った際に、当時世界史の先生であったO氏になんの前触れもなくふられたことと同じものです。当時、我々生徒(たしか高1だったと思う)の側はO氏とまったく面識がなく、入ってくるなリブラマンテを連呼する天パーのおっさんにたじろぎながらも最終的には唱えさせられたことを覚えています。

ブラマンテ、ブラマンテ、ブラマンテ。

「パルプンテみたいだ」と思っていた我々が3回唱えたのを見たO氏はその後しれっとのたまったものでした。

「はい、みなさんはこれで一生ブラマンテから逃れられません。ブラマンテはサン=ピエトロ大聖堂を設計した人です。」

そして、実際にHANDはブラマンテを一生忘れることができませんでした。ちなみに、O氏は現在某大学において人文学部長を務めておられる、ドイツ・スイス史の専門家だ。西洋史学会でばったり出くわした時には「ちっ、してやられたぜ。」と思ったものです。

 

つまるところ、「暗記の極意とは?」と言われればこれにつきます。イメージ付けです。イメージ付けさえできれば「イクスペクトパトローナム」であろうが「モンキー=D=ルフィ」であろうが覚えることができます。私に言わせればワンピースの登場キャラが全部覚えられる人間がルイ14世を覚えることができないというのはそもそも原理的に不可能だと思います。よく「情報量が多くて…」という話を聞きますが、冷静に考えてみたときに『詳説世界史研究』一冊の情報量と、「ワンピース全巻+テニプリ全巻+暗殺教室全巻+…」と本棚に並んだマンガ本の情報量を比較すれば、いかに自分が的外れなことを言っているかに気が付くのではないでしょうか。

 

これはつまり、才能の問題ではありません。どれだけ「覚える対象のもの」と印象深い出会いをするか、ということなのです。ただ、世界史の場合にはそれがうまくいかないことが多いです。そもそも、印象付けがうまくいかないことが多いですし、何度も出会いたいと思う魅力も感じないかもしれません。実は、世界史は日本史と比べると個別の事柄の情報量が少ないです。ある人物が出てきたときに、その人物をイメージさせるエピソードなどが意外に示されていないのですね。様々な理由によって世界史を覚えること、暗記することを断念してしまうということもあるかもしれません。

 

そこで、この「世界史暗記法」では、どのようにすれば世界史の暗記を進めることができるのか、また覚えたものを混乱せずにしっかり定着させるにはどうすればよいのか、などについて思いついたことを書いていきたいと思います。正直、「何だ、そんなことか」と思うような内容もあるかもしれませんが、いくつかのことは実際に世界史の暗記に悩む生徒たちと向き合う中でマンツーマンで行ったところ、それなりの効果を得ているものです。うまくすれば、これまで1枚あたり1時間・2時間かけてもできなかった世界史プリントの暗記が2030分もあればできるようになってしまうかもしれません。何回かに分けて書いていくつもりなので、もし一つでも「あー、これは使えるかも」と思ったら試してみて下さい。

 

ところで、最初にHAND個人の見解として以下のことは伝えておきたいと思います。

1、マンガや小説、ドラマなどによるイメージ付けはそれなりに有効である。

2、語呂合わせは正直なところあまり有用性を見いだせない。

3、効果的なのは「短期集中の反復」を「中長期マイルドな反復」で根付かせることである。

 

 まず、1についてですが、これはやはり「好きこそものの上手なれ」という部分が大きいです。ワンピースと同じ理屈ですが、好きなものは「ロロノア=ゾロ」だろうが「バーソロミュー=くま」だろうが覚えるものです。そもそも、「バーソロミュー=くま」を覚えている人間が「バーソロミュー=ディアス(バルトロメウ=ディアス)」を覚えられないというのはどんな現象でしょうか。

くま

好きなものは覚えるし、さらにそれが視覚効果として入ってくるものであればなおさらでしょう。

 

 2については、たしかにHANDもこれにお世話になったことはありますし、役にも立ちました。ですが、やはりあらゆる年号を全て語呂合わせで覚えようというのには無理があると思います。HAND的には「無理矢理くっつけた感」のある語呂合わせは気持ち悪くてかえって覚えにくかったものです。また、最近の出題の主流は、年号をダイレクトに聞くよりも出来事の生起した順に並べ替えるというもので、こちらのパターンの設問の方が多いです。こうしたことからも、語呂合わせはあまり過信せずに、必要最低限のものだけ知っていればいいのではないでしょうか。794うぐいす平安京とか、1492燃えるコロンブスとか。

 

 3については別稿を設けて説明するつもりですが、暗記において効果的なのは「たくさんの情報量をたくさんの時間をかけて入れること」ではなく、「少しの情報を超短期で集中してインプットする作業を繰り返すこと」です。そして一度頭の中に入った知識(一夜漬けの知識)を中・長期にわたってマイルドに反復することによって、できるだけ入れた知識を「逃がさないように」してやると定着していきます。

 

 さて、なかなか本題に入れませんでしたが、ようやく本題です。今回ご紹介するのは「パターン化による印象付け」です。これは特に、複数のものを一度に覚えなくてはならないときや、複数の類似するものが混じってしまって混乱するときに効果を発揮する覚え方ですが、やり方は簡単で、要は以下の2点を意識することです。

 

  覚える順を常に一定にしておく

  特徴のある部分を自分で決めて、おさえる

 

これだけです。よくわからないとおもうので、具体的な例を紹介します。

(例1)戦国の七雄

これは以前に「あると便利なテーマ史⑤」でも紹介したものですが、戦国の七雄を覚える際には常に「斉・楚・秦・燕・韓・魏・趙」の順で覚える、というものです。また、これらを斉(山東半島)から初めて東→南→西→北とぐるっとまわってから中央部を下から上に貫く、という意識で覚えておくと忘れないと思います。

 
戦国七雄覚え方
 

 

(例2)南朝4王朝(宋・斉・梁・陳)

これも全く同じで、ひたすら「そうせいりょうちん」と唱えることです。決して、「そう・せい・りょう・ちん」と区切ってはいけません。「そうせいりょうちん」と一つの塊にすることで自然にその順が出てくるようになります。ちなみにHANDは友達の「亮くん」を思い出しながら「そーせい、亮ちん」で覚えていました。

 

  (例3)五代十国の「五代(後梁・後唐・後晋・後漢・後周)」

      これも原理は同じなのですが、さすがにやりにくいのでHANDははじめから「後」をとってしまっていました。つまり「りょうとうしんかんしゅう(梁唐晋漢周)」と覚えておいて後から「後」をくっつけるという作業ですね。「りょうとうしんかんしゅう」というと、何となく勅撰和歌集的な語呂の良さも出てくるし、何より順番を間違えることはないので、この方がはるかに楽でした。こうした「一部分だけを取り出して並べる」という作業は他のところでも効果的なことがあるので思いついたら試してみてください。

 

(例4)ジェームズとチャールズが覚えられません…(泣)

応用編です。よくある受験生の悩みに「日本史は名前が違うから覚えられるのですが、世界史は1世とか2世とかなので意味が分かりません…」というものがあります。正直、HANDにとっては義義義義言っている日本史の方がよほど煩わしい。おまえはムツゴロウさんかとつっこみたくなります。


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ただ、イギリス、ステュアート朝の君主は確かに迷いやすいところではありますね。これも2点の特徴を抑えれば一発で解決です。

 

1、ジェームズ1世、2世と、チャールズ1世、2世がいる。

2、最初も最後もジェームズである。

 

以上です。これでもし順番を間違えるようならそれは世界史を覚える前にまず論理学を勉強するべきだと思いますw 1と2の約束を守れば

 

ジェームズ1

チャールズ1

チャールズ2

ジェームズ2

 

の順になるのは明白ですから、順番に迷うことはありません。ついでに、それぞれの国王について1点、2点でも特徴のある事柄を結びつけて覚えると良いでしょう。こんな風に。

 

ジェームズ1世(ステュアート朝の開祖)

チャールズ1世(権利の請願、ピューリタン革命)

[クロムウェルの独裁]

チャールズ2世(王政復古、審査法、人身保護法)

ジェームズ2世(名誉革命)

 

こうして、国王をベースに骨組みをつくってやれば、あとは少しの肉付けをしてやるだけで17世紀イギリス史をまとめていくことも可能になります。

 

(例5)ルイルイルイルイ…ムキー!(フランスの君主)

おそらく世界史の嫌いな受験生がもっともイラつくパートがこのルイルイパートです。たしかに、最終的に18世まで出てくるのでイラつく気持ちもわかりますが、世界史で登場する主要なルイルイはなんと5人しかいません。であれば、はじめからルイルイを抜き出して特徴をおさえておけばよいだけのことです。

      

      ルイ9世(聖王、第6回・第7回十字軍、アルビジョワ十字軍)

      ルイ13世(宰相リシュリュー、三部会停止)

      ルイ14世(宰相マザラン、財務総監コルベール、絶対王政全盛期)

      ルイ16世(フランス革命で首チョンパ)

      ルイ18世(ウィーン体制、正統主義)

 

      ちなみに、難関私大クラスになるとルイ1世(ルートヴィヒ1世)がカール大帝の息子でヴェルダン条約の原因を作った人物(ロタール、ルートヴィヒ[ルイ2]、シャルルの父)であることや、ルイ12世がイタリア戦争を起こしたシャルル8世の後継者であることなどが必要になることもありますが、これらは「必要になってきたな」と感じたら意識すればよいだけのことです。暗記では「優先順位をつける」ことも大切な要素ですね。

 

 以上、思いつくままに具体例を挙げてみましたが、肝心なのは「自分流のルールに従って覚え、それを定型化すること」です。ちょっとした工夫で覚えるのが楽になることもたくさんあるので、普段から意識しておくとよいでしょう。(ちなみに、HANDの生徒は例のジェームズとチャールズを覚えるのに「ジェチャチャジェ」と言って繰り返していましたw いや、いいんだけどw 語呂悪くないかw)

 別稿では、「授業でつかうプリントの覚え方」や「年号の把握の仕方」、「ヨコのつながりの抑え方」など、色々なことについてちょっとした工夫を示していきたいと思います。


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