世界史リンク工房:コーヒーを飲みながら歴史を語れ

大学受験向け世界史情報ブログ。 受験のティータイム・コーヒーブレイクに目を通して、一味違う歴史的視点を我が物に!

中学受験、大学受験(国立・私大とも)など数多くの受験をこなし、脱サラ後に西洋史を専攻、学費捻出のため塾講師や中高で世界史を担当しつつ、イギリスの大学院で歴史学のMSc(修士号)を取得、大学でも西洋史の講義を担当するなど西洋史を教える仕事に長年従事してきた管理人HANDが、受験世界史でポイントとなる部分を徹底解説!各校の過去問対策、受験対策のほか、世界史を理解する上で役に立つ視点や勉強法についての情報を随時更新していきます。

以下のような方はとくにオススメ!

・東大、一橋などの国公立や早稲田、慶応の受験を世界史で考えている。
・論述対策を進めたい。
・教科書やプリントだと不足している情報が多すぎて、背景にあるつながりが見えない。
・『詳説世界史』などを読むだけでは気づけない、専門的な歴史的視点を養いたい。
・世界史を覚えるのが苦手で、どうやって勉強したらよいのかわからない。
・世界史の教員になりたてだが、西洋史が専門ではないので少し突っ込んだ知見を知りたい。

※ 目標に向けて頑張る受験生の皆さんの一助になればと思って頑張って更新し、情報もチェックしておりますが、人間ですのでミスなどが出ることもあります。当サイトの情報をご利用の際はあくまでも自己責任でお願いいたします。

※ 問題解説では、著作権で怒られても困るので、解説に必要な最小限の問題概要のみを示してあります。あくまでも解答にいたるまでの「考え方」を示すためのものでありますので、過去問の正確な内容については各大学にお問い合わせいただくか、赤本買ってくださいw また、大手予備校のHPからも閲覧できるかと思います。正規の問題が手元にあった方がわかりやすいと思います。


史料読解演習1

2017年一橋「世界史」大問1を想定した問題1‐

(作成時期:20171月)

 

 さて、以前お話しした一橋の予想問題として作成した問題をご紹介します。これは2017年一橋「世界史」を想定して、史料を用いた問題を作れないかということで、受験の直前期に作成したものです。すでに実際の試験は終わってしまいましたし、先にも書いた通り一橋の出題傾向は大きく変わってしまったことから、もう予想問題としての価値は全くありません。まぁ、言ってみれば賞味期限切れのものです。ですから、当然今年の受験の傾向も加味した分析を再度行った上で、来年の2018年には全く違う問題をまた用意するつもりでいます。ですが、一般的に史資料を読解しながら論述を構成する必要がある学校の受験を考えている人にはちょっとした練習になるかなと思いましたので取り上げてみました。史料は、以前ご紹介した岩波の『世界史史料5』の276-277ページから持ってきています。

 

【問題】

I

 リヴォルノ憲章(1593610日)

 

 [3代トスカーナ大公]フェルディナンド・メディチ殿…は、貴方がた商人が次のどの民族や国民であれ、貴方がたすべてを歓迎する。すなわち、東方人、西方人、スペイン人、ポルトガル人、ギリシア人、ドイツ人、イタリア人、ユダヤ人、トルコ人、ムーア人、アルメニア人、ペルシア人、およびその他の人々。(中略)外国人が、貿易や商業をするために、ピサ市、…リヴォルノ市港に来て…滞在し、居住しようとすることを、公共の利益のために促進したい…。このことは、イタリア全体、そしてわれらの臣民、とりわけ貧民のためになるであろうと期待している。それゆえ…この特許状によって、貴方がたに下記の恩恵、特権、不可侵権、免除を与え、認めるものとする。…

 

 第5条 (ピサやリヴォルノに住む)貴方がたは…、(同職組合への)登録料、カタスト(資産)税、通行税、人頭税、賦課金、および類似の物的、人的賦課金については、すべてのものから自由である。…フィレンツェやシエーナに住むユダヤ人に課せられている納付金、服従義務、法令、規約は、上記のようにこれを課さない。

 第8条 貴方がたがリヴォルノ港、ピサ市、フィレンツェ市に輸入する商品にかかわる、用船料、陸上輸送量、為替、その他の諸経費に充てるための資金として、貴方がたのシナゴーグの管理人たちに10万スクードを貸与する。

 第20条 貴方がたは、ピサ市とリヴォルノ地域において、土地ごとに一つのシナゴーグ(ユダヤ教会堂)を持つことができる。その内部では、ユダヤ教 の儀式、掟、規律をすべて実施することができる。

 第25条 貴方がたのシナゴーグのユダヤ人である管財人たちは、ユダヤ同士の間に生じるすべての不和について、貴方がたユダヤ人の慣例にしたがって適当と判断するように採決し、終わらせ、処罰する建言を持つ。

 第29条 貴方がたは、あらゆる種類の職業を営み、あらゆる種類の商品を取り扱うことにおいて、…すべての特権、権利、恩恵を与えられる。貴方がたあるいは貴方がたの家族の誰も、キリスト教徒から識別するための、いかなる標識も身につける必要はない。さらに、不動産を購入することができる。(後略)

問い

上記の史料は16世紀末に中部イタリアのトスカーナ大公がトスカーナ地方の都市リヴォルノに対して発したリヴォルノ憲章と呼ばれる特許状である。こうした特許状が発行された背景には、15世紀頃からの政治的・経済的・社会的変化が大きく影響していたが、この変化とはどのようなものであったか。トスカーナ大公と都市リヴォルノが上記の特許状を発した意図を示しながら、15世紀にはじまり、この特許状が発せられた16世紀末にいたる変化について400字以内で述べなさい。

 

【解答】

 15世紀末の新大陸発見とインド航路開拓などにより、ヨーロッパでは経済的な中心地が大西洋岸の諸都市へと移る商業革命が進展していた。同時期に、イタリアではシャルル8世の侵攻によりイタリア戦争が勃発し、フィレンツェでメディチ家が追放され、カール5世によるローマ略奪(サッコ=ディ=ローマ)が起こるなど都市が荒廃し、プレヴェザの海戦でスレイマン1世が指導するオスマン帝国が地中海への影響力を強めたことによって香辛料交易を中心とした東方貿易が衰退した。一方、イベリア半島ではレコンキスタが完了したことでユダヤ人、ムスリムなど異教徒の追放が進み、さらにドイツで宗教改革が起こると宗派対立が激化して異端に対する迫害が進んだ。こうした中でトスカーナ地方の都市リヴォルノは各地で迫害されていた異教徒に対する諸税を免除して資金融資を行い、さらにユダヤ人には居住の自由と一定の自治を与えることで商業の振興を図り、ユダヤ資金が流入することを期待した。(400字)

 

[論述のポイント]

 何度も言うように論述問題を解く基本は設問の要求に答えること、コミュニケーションです。設問が要求しているのは大きく以下の5つです。

 

① 15世紀からの政治的変化

② 15世紀からの経済的変化

③ 15世紀からの社会的変化

(①~③は、都市リヴォルノが「リヴォルノ憲章」を発する背景となるべきもの)

④ トスカーナ大公・または都市リヴォルノが特許状を発した意図

⑤ 時期としては16世紀末までを想定

 

以上の点について考察する必要があります。ただ、受験世界史の中に「リヴォルノ憲章」は出てきませんから、史料を読み解く中でどのようなことが言われているのかを読み解く必要があります。

 

【史料の読解】

 史料に書かれている内容を再度確認してみましょう。要約すると、

 

   おそらくはトスカーナ大公の管理下にあるリヴォルノ市が、商業奨励のために人種・民族・宗教にかかわらず承認を誘致していることがわかる。

   リヴォルノはやってくる商人に様々な免税特権を認めている。

   同じく、資金の貸与などの優遇措置を与えている。

   特に、ユダヤ人に対しては信仰の自由のほか、不動産購入なども認めている。

   優遇されている商人の中には、ペルシア人、ムーア人などのイスラム教徒も含まれている。

 

こうしたことがヒントとして読み取れます。これらをヒントとして、なぜリヴォルノ市がこうした措置をとったのかを、15世紀~16世紀末までのヨーロッパにおける変化を念頭において書け、というのが設問の要求です。

 やはり、注目したいのはユダヤ人についての記述が多いことです。また、ムーア人というのは北西アフリカに居住したイスラムで、ベルベル人と同一視される人々ですが、当然のことながらイベリア半島と深いかかわりを持ったイスラームです。こうした人々がイタリアにやってくる、またはイタリア側がこれらを呼び込む必要が生じるような変化として何があるのだろうか、と考えたときに「レコンキスタの終結」または「商業革命」の両方ではなくどちらかを思い浮かべるのは、そこまで無理難題ではないと思います。

 

[採点基準]

① 15世紀からの政治的変化として

  ・レコンキスタの終結(1492:ナスル朝グラナダ陥落)

・イタリア戦争

14941559:シャルル8世のイタリア侵入~カトー=カンブレジ条約)

  ・オスマン帝国の進出(1538:プレヴェザの海戦、スレイマン1世)

② 15世紀からの経済的変化として

・イタリア諸都市の荒廃

・東方貿易の衰退(オスマンの進出、商業革命)

③ 15世紀からの社会的変化として

  ・イベリア半島からのユダヤ人、ムスリムなど異教徒の追放

  ・宗教改革、対抗宗教改革の進展と宗教的不寛容

   (カルヴァンの神権政治と不寛容、各地の宗教戦争、トリエント公会議[1545-63]、異端審問)

④ トスカーナ大公と都市リヴォルノの意図

・他のイタリア諸都市で徴収されていた諸税を免除し、資金融資を行うことで、迫害されていたユダヤ人、ムスリムなどの異教徒を誘致して商業の振興を図る。

 ・特にユダヤ人に対しては一定の自治を認めることを通して、迫害されていたユダヤ人たちの資金を集める。

 

 史料を参考にこうした点を盛り込んで書いていけば、十分に解答を作成することは可能です。今気づいたのですが、今年の一橋予想「商業革命」をテーマに盛り込んでいたのですね…。実際には「価格革命」でしたから、ピッタリではなかったものの、スペインと大航海時代以降のヨーロッパ経済という点ではかなり近いところを挙げていたようです。ただ、ちょっと張り切って凝りすぎちゃいましたかね…。

 ちなみに、リヴォルノというのはトスカーナの都市で、メディチの傍系の家系であるトスカーナ大公フェルディナント1世=デ=メディチの時代にここに掲げたリヴォルノ憲章などの商人の誘致を行ったことから地中海の重要港として栄えることになった港です。史料中にも出てくるユダヤ人や、モリスコと呼ばれるスペインでカトリック改宗を強制されたイスラームなど様々な商人が訪れる国際商業都市でした。 

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リンク工房的独断と偏見で選ぶ歴史マンガ1

横山光輝『史記』(小学館)

  さて、さっそく第1弾ですが、ここはやはり歴史マンガの王道、横山大先生を抜くわけにはまいりません。本当は『チェーザレ』あたりからはいろうかと思ったのですが、いや、やっぱり横山光輝です。

 横山光輝と言えば、最近日経電子版の広告なんかでも三国志が使われてますよねw

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 あれもシュールで好きですが、今回は三国志ではなくあえて『史記』を選びました。それはなぜかと言えば、三国志って面白いのですけど、世界史とか古典ではそれほど出てきませんし、受験に直結する知識とか、あとで役に立つエピソードって案外少ないんですよねw すごく有名なシーンを除けば、あとは三国志好きな人同士でしか通じない話だったりするものが多かったりします。(それでもまぁ、「桃園の誓い」とか、「三顧の礼」とか「泣いて馬謖を斬る」とか「出師の表」とか常識の範囲内のもの挙げるだけで案外キリがありませんがw)

 一方で、『史記』の方は春秋・戦国~前漢期までのいろいろなエピソードが出てくるわけですけれども、故事成語の由来などの古典知識から豆知識まで、とにかく出てくるものが幅広い。大人になって「読んでてよかった…」とそれこそ日経電子の版のキャッチコピーになってしまうような感想を持ってしまうと思います。たとえば、HANDの手元にはやっすいコンビニで売っていたワイド版の史記が数冊あるわけですが、そのうちの1冊をパラパラとめくっただけでも以下のような歴史的事実がずらりと並び、それをイメージづけることができます。

 

・『史記』の作者司馬遷が『史記』を完成させるまで

(宮刑になったりとかね…。子どもの頃ホンマに怖かったわ、宮刑。価値観変わったw)

・封禅の儀式とは何か

・前漢初期の匈奴対策と武帝期の遠征

・管仲と鮑叔(管鮑の交わり)

・春秋五覇(斉の桓公、晋の文公[重耳]など)

・屍に鞭打つ(伍子胥と平王)

・日暮れて道遠し

・倒行逆施

・臥薪嘗胆(呉王夫差と越王句践)

 

まぁ、ざっとこんな感じです。結局、古典とか漢文を「勉強してもなかなか話の内容がわからない」という人と「勉強しなくても何となく話の内容はわかる」という人の差というのは、もちろん才能云々もあるのかもしれませんが、結局は小さいころからこの手の話にマンガでも小説でも映画やドラマでも、または小さいころに買い与えられた「ことわざ辞典」的なものでも、触れているかどうかというのが大きい気がします。勉強って、真面目に座学したり演習するだけが勉強ではなくて生活すべてで学ぶものである気がしますねぇ。はじめから話の内容知っていれば解けるのは当たり前ですもんねw

 

 私もどちらかと言えば古典や漢文は勉強した記憶がありませんが、話の内容はなぜかスムーズにわかりました。逆に、「勉強」が必要な単語だけを抜き出して意味を聞くとか、文法の内容を答えるとかは真面目に勉強しだすまではめちゃくちゃ苦手でした。でも、文章の大意はとれる。そうすると、そちらの方が配点が高いから、そこそこ点数になったりするんですよねw すごく得した気分でした。でも、じゃあこの手のマンガとかを読めば点数になるんですか、と言えばそれは正直わかりません。だって、はじめからテストの点数が目的で読んでいるんじゃなくて、「面白い」から読んでたんですもの。たくさんのことが書いてありますが、その全てがテスト向けの知識じゃなくて、それこそくだらない豆知識みたいなものもたくさんありますから。知識や教養を身につけるって、きっとそういうたくさんの無駄の集積の上にあるもので、狩りをするように効率を追い求める先にあるものじゃない気がします。もっとも、マンガだけ読んでたわけでもありませんがw

 

 いずれにしても、史記はおすすめです。学校の図書館に『ブッダ』を置くのであれば(『ブッダ』も名作ですがw)、むしろ『史記』を置くべきだと思いますw それだけで平均点は3点から5点伸びる!(かもしれないw)

 難点をあげるのであれば、現代のきらびやかな絵のマンガに慣れ切った子どもたちにとって、横山光輝の絵柄は「なめてんのか」って気分になる可能性があるところですかねw それでも、たくさんの「ムムム」に免じて「それも味だよね」と思えば新たな世界が広がるかもしれませんw 少なくとも「バガボンド」(好きだけど)読むよりははるかに役に立つはずw

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「リンク工房的独断と偏見で選ぶ歴史マンガ」始めますw

 

 過去問解説にも少々疲れましたし、受験もひと段落着きましたので、当ブログのコネタにたびたび登場する歴史マンガの紹介コーナーでも作ろうかと思いますw

あ、過去問紹介やテーマ史、問題集紹介もこれまでと同じくやっていきますw

 

半分は個人的な楽しみのためですが、半分は真面目です。声を大にして言いたいのですが「マンガは歴史を勉強する上で馬鹿にしたもんじゃありません。」歴史を単に人から聞いた知識のままでとどめるのではなく、その血肉にするために必要なものは、何と言っても「ある時代、ある世界をどこまでイメージできるか」です。世界観を構築できないものに歴史観などというものが備わるはずがありません。優れた歴史家は、厳密な史料検証を行う前提があることはもちろんなのですけれども、史料の行間、空白、何気ない遺物の中からそれが書かれた、遺された時代に生きていた人々の感覚、思考、息吹に思いを馳せ、そこに近づこうとするものです。史料に書かれた字面だけを見て無機質な事柄しか抜き出せないのであればそんな作業はAIにでも任せておけばよろしい。

 

難しいですかね。具体的な例を挙げるとしましょう。これは私が世界史の授業を始めるときに必ず導入で行う話なのですが、みなさんには下の円は何色に見えますか?

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ほとんどの人は「緑」と答えると思います。ところが、下のようにするとそれまで迷いなく「緑」と答えていた人の何人かに迷いが生じます。

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こうなると、先ほどと全く同じ色であるにも関わらず、「青」と答える人が急増します。最初から2枚目の画像を見せた場合にはなおさらです。つまり、そこにある「事実(緑色の円がある)」自体は全く変化していないにも関わらず、それを受け止める人の文化的背景やある事実がどのようなシチュエーション、コンテクストのもとで存在するかによって、その事実の持つ「意味」は「緑」にも「青」にも変わるのです。

 同じように、史料に書かれた言葉、遺された遺物を、現代的な我々の感覚によってのみとらえても、それは決して本当の意味を伝えてくれませんし、どのような人が、いつ、どのようなシチュエーションで書いたのか、言ったのか、伝え聞いたのかを検証し、そこにこもる意味を類推し、とらえる必要があるのです。ですから、ものすごく単純な意味で「史料を読めば歴史がわかる」ともし考えている人がいるとすれば、それは入り口から出直すべきです。

 

 このことは、別に歴史的な事柄に限ったことではありません。例えば、あなたの机に「大っ嫌い」という走り書きが残されていたとしましょう。さて、この走り書きを残したのは誰か、どのような状況下で残されたのかによって色々と意味が変わってきます。

 

・あなたがいじめられていて、学校の下駄箱に無造作につっこまれていたとすれば

 →字面以上に悪意が込められているかもしれません。

 (ちなみにHANDは下駄箱に画鋲とか日常茶飯事だったのでグーしたくなります)

・あなたがお母さんで、残したのがさっきキツク𠮟った息子だとすれば

 →怒り、または後悔などがあるでしょうが、心の底から嫌いでしょうか?

・あなたがしばらく外国に行くことを聞いた仲の良い恋人だとすれば

 →愛情の裏返しかもしれません。

 

まぁ、全てこの通りだとは言いませんが、全てが同じ感情であるとはだれもおもわないでしょう。「大っ嫌い」と書いてあるからと言って、それが字面通りのことをしめすとは限らないのです。また、言葉それ自体が非常に曖昧なものだということもあります。ある人にとっての「高い」は他の人にとっての「低い」かもしれませんし、「赤」といっても「朱」もあれば「真紅」も「蘇芳」も「躑躅」も「梅重」もあるわけですよ。

 同じ時代ですらこれなのですから、何十年、何百年も時を隔てた歴史上の史料を読むにあたり、300年前のスコットランドのジャーナリストが「マジ、イングランドの連中むかつくよね」と書いていたからと言って、「あ、300年も前から今と同じようにスコットランド人はイングランドのこと嫌いなんだ、へー」と現代的な尺度でしか史料を読めないのであれば、少なくとも学問としての「歴史学」は向きません。

 もちろん、そんなことばかり言っていては、書いてあることをどこまで信じればいいのか、どのように読めばよいのか途方に暮れてしまいます。それを解決するために「実証・検証」という作業があるわけです。誰が書いたのか。いつ書いたのか。どのくらいの文書のどのくらいの部分か。前後の文脈は。当時の政治・経済・社会・文化的背景は。誰と仲が良く、誰と仲が悪いか。宗教的な信条は。他にも書いた手紙や著作はあるか。そこではどのようなことを書いているか。果ては、インクで書かれたか血で書かれたかまで、様々な要素を勘案していけば、最終的には類推に頼らざるを得ないわけですけれども、それでも何も知らないよりもはるかに確度の高い類推を行うことができるはずです。ですから、これは私の個人的な見解ですけれども「絶対に正しい歴史」というものはないと思います。歴史というのはその時代を生きた人、それを見出した人、それを読み解いた人の立場・文化的背景によって多かれ少なかれ変化するもので、絶対的な真理などとは対極にあるものだと思います。(もっとも、長い歴史の中で生起する数多くの事象の中からある種の普遍性や法則性を見出す可能性がない、とまでは言いません。)

 

 あ、いけませんね。だいぶ脱線してしまいました。

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話を元に戻しますが、歴史を本当の意味で自分のものとするにはイマジネーションが非常に重要なのです。ある事柄に対する本当の意味での理解へと近づくためには、ただ単語として、言葉として知っているだけでは不十分なのであって、地理的背景、文化的背景、政治・経済的背景…様々なものを「感覚」として理解していることが非常に重要になってきます。こうした理解を深めるうえで、マンガや小説、映画などは非常に有益だと思います。

もちろん、これらはフィクションであって、かならずしも正確なものではありません。知識をマンガや映画からだけ吸収しようと考えるとすれば、それは手ひどいしっぺ返しを食らうことになるでしょう。ですが、最近のマンガには地図などの情報も豊富に出てきますし、ものによっては歴史学者の監修が入っていたりもして、なかなか面白いものにしあがっているものも少なくありません。また、通常の歴史の勉強ではなかなか出会えない衣・食・住などのイメージも映像からですと素直に受け取れます。何といっても、こうした媒体を通して歴史を好きになる、興味がわく、このことが歴史学へと足を踏み入れるはじめの一歩となるのです。多くの歴史学者が、最初から歴史学という学問に興味を持って始めるわけではないと思います。彼らは、子どもの頃に伝え聞いた英雄の話、偉人の話、伝記、小説、物語、マンガ、映画、ドラマ…時代は違えどそういったものに大きな興味と関心、何と言っても好奇心、これらを刺激されて史料をチマチマ読むなどという地味な作業に没頭して、妄想しては一人ほくそ笑む根暗な人間になってしまったのですw 私が最初に手に取ったのはたしか小学校の頃で伊達政宗の伝記でした。当時大河ドラマで独眼竜政宗が放送されていたこともあって、すぐに歴史物の虜になりましたね。小説からマンガまで食い散らかしましたが、本格的に没頭したのは吉川英治の『太閤記』ですね。竹中半兵衛重治が稲葉山城をかっさらうところなんかはもう、(*´Д`)ハァハァ …なんで英語嫌いだったのに西洋史なんぞやってるんだろうw 

 

まぁ、くどくどとお話ししてまいりましたが、歴史マンガとか、ドラマとか、映画とかで気になったものを紹介するっていうことにも、まったく意味がないというわけではないのですよと。暇つぶし程度のお話をあげられたらなぁと思っています。何でこれやろうと思ったかというと、本が入りきらないからと新しく買った本棚があっという間に歴史系マンガによって浸食されてしまいましてw マンガの紹介だけじゃなくてそれについて軽く調べてみたことなんかも合わせてお話しできたらと思います。では。

【追記】
 探したら中古品だけどあったw 7円w 懐カシスw

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