『世界史史料』1-12

歴史学研究会編 岩波書店


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 昨日、一橋の予想問題作成に利用したものがこちらです。歴史学研究会による編集で岩波書店から出されている『世界史史料』シリーズ。全部で12巻出ています。まだ全巻出ていないかと思ってamazon見てみたら全部出ているんですね。いつの間に…。12巻分の史料というと長大ですが、私はしょっちゅう必要になるもの(よく使うのは458-11でしょうか)だけ自分で買って手元に置いて、あとは必要な時だけ職員図書室に探しに行く、みたいな使い方をしています。いや、確かに図書室行けば置いてあるんですけどね。自室にもないと仕事にならんのですよ、実際w 

 

各巻のタイトルは以下の通りです。

1 古代オリエントと地中海世界

2 南アジア・イスラーム世界・アフリカ

3 東アジア・内陸アジア・東南アジアⅡ‐10世紀まで

4 東アジア・内陸アジア・東南アジアⅡ‐10-18世紀

5 ヨーロッパ世界の成立と膨張‐17世紀まで

6 ヨーロッパ近代社会の形成から帝国主義へ‐1819世紀

7 南北アメリカ‐先住民の世界から19世紀まで

8 帝国主義と各地の抵抗 Ⅰ

9 帝国主義と各地の抵抗 Ⅱ

  東アジア・内陸アジア・東南アジア・オセアニア

10 20世紀の世界Ⅰ‐二つの世界大戦

11 20世紀の世界Ⅱ‐第2次世界大戦後 冷戦と開発

12 21世紀の世界へ‐日本と世界 16世紀以後

 

こうした各巻のテーマに沿って、原史料や史料集から精選された史料が解説付きで載せられています。重箱の隅をつついたような史料ではなく、いわゆる「世界史」の流れに沿った史料が選ばれていますので史料問題作成の際にはそれなりに使えます。原史料となると、英語以外さっぱりな私にはラテン語とかアラビア語とか正直お手上げですが、この史料集はがっつり日本語訳ですので、そのあたりもとても助かりますw 歴史勉強してて心底欲しいと思ったアイテムはどこでもドアとほんやくこんにゃくです。また、本書は歴史好きな人には「こんな史料があるんだ」と眺めるだけでもそれなりに楽しめるものになっています。興味ない人には拷問かもしれませんが。

 

中身は、長くてもせいぜい2ページ分程度の基本史料の一部抜粋が掲載された上で、用語などについての注釈と、その史料の性格が解説されていますので、専門外であっても基本的な歴史的知識さえあれば何が書かれているかはすぐにわかります。ただ、内容的には高校生にはやはりすこし厳しいですね。少なくとも、受験勉強用の「世界史」を勉強したい人には向かないです。また、高校の学習内容をこえた余計な知識が入り込んでしまってかえって混乱してしまう可能性もあります。「アウクスブルクにおける不正経理の告発(同シリーズ5、pp.178-179)」に関する史料なんか高校生が見せられても多分困るだけですしw 

 

私どものように世界史を教えるなど、特殊な職業についている以外の人が持つとすれば、これは世界史を「勉強」するためではなくて世界史を「愛する」ために持つ本の類ですねw 上述の史料についての解説には「本史料は新大陸の[発見]や新しい商業航路の確立により、16世紀の国際商業が大規模に激変した時代をたくましく生き抜いた南ドイツの商人ルーカス・レームの手による日記の抜粋である。ここでは、そのルーカスが勤めていたヴェルザー商会の不正経理に嫌気がさし、退職を決めた経緯が書かれている」とありますが、こういうの読むだけで萌えちゃう💛みたいな人じゃないと買った後で後悔しますw でも、一つ一つの史料に目を通していくと、それまで無味乾燥としていて無機質だった分野の歴史が息づいてくるというか、細部に彩りが出てくるので私はこういうの好きですねぇ。