世界史リンク工房:コーヒーを飲みながら歴史を語れ

大学受験向け世界史情報ブログ。 受験のティータイム・コーヒーブレイクに目を通して、一味違う歴史的視点を我が物に!

カテゴリ: 勉強法と学習の際の注意

どうも、週末体調崩していたので更新が遅れました、HANDです。東大の2014年解説の方も準備中ですが、ちょっと本業の方が忙しいものでもう少しかかります。一週間以内にはUPしたいなぁと思っておりますので、もう少し待ってくださいね。

さて、今日はそんなわけでとりあえず頭を絞らなくてもサクサク書けて、かつできる限りみなさんの役に立つようなことを書こうと思っていたのですが、思いついたのがコレです。

 

「先生、受験までどんな風に何を勉強したらいいですか?」

 

今日はこれについて、大まかな指針を示せればなぁと思っています。ついでに、いくらかの勉強法についても簡単に紹介します。さて、よくあるこの質問なのですが、個別の対応をすることはそれほど難しくありません。普段からその人の力量や授業に対する姿勢、質問の際の勘の良さ(または鈍さ)、志望校、現在進めている勉強の内容などなど、いくつかの質問をこちらからすれば、「ああ、この子ならこれぐらいの勉強をこういう形で進めるのがベストじゃないかなぁ」という絵がある程度は描けるからです。

もっとも、理想を言えば、こうしたアドバイスは後のケアもあわせてすることが大切ですね。たとえば、5月の段階で理想だと思った進め方でも、夏休みをはさんでその人がどんな勉強をしたかによって、9月の段階では理想形ではなくなることもあります。予想以上に学習が進んでいればペースアップを、逆に予定の量がこなせなかったら仕切り直しの調整をしてあげる必要があるのですね。

本当は、この微調整を各受験生が独自に行えるのが最もよいのです。「自分はこれだけのことができるようになった」とか「自分にはまだこの部分が足りない」ということをできるだけ具体的に把握して、そのための対処を練るということの繰り返しを自然に行える受験生は強い。勉強の仕方というものを心得ていますし、こうした自己分析を正確に行える人はその時々の模試の結果にも揺れません。たとえ一時的に成績が落ち込んだとしても、「ここをしっかり補強すれば大丈夫」、「むしろ今回のテストで覚えていないところがはっきりしてよかった」など、自分の力を伸ばす(成績を上げる、ではないところがミソですね)ためのヴィジョンを持っていますから、必要以上には気にしないわけですね。ただ、そうした「しっかりした人」でもやはり我々「教えること」を専門にしている人間とは経験値の差がありますから、不足している情報というのはどうしてもあります。そこをどうやって補ってあげたらいいのかを考えることは、アドバイスをする時の醍醐味でもありますし、気をつかうところでもあります。

 

ただ、上の質問(受験まで何をしたらいいか)に「汎用の答え」を用意しろ、と言われるとこれはなかなか難しいですよね。その人が高1なのか、高3なのか、浪人生なのかによっても違いますし、4月なのか、夏休みなのか、11月なのかによっても変わりますし、目指す目標によっても大きく変わります。ですから、今日お話しするのはあくまでもいくつかのケースを仮定の話として想定した場合、「最低限これだけはやっておくとあとは五分五分で勝負できるんじゃない?」というくらいの内容を示すつもりでいます。主に対象は高校3年生、または来年の受験を見すえた高校2年生に向けてのお話だと思ってください。高校3年生であれば、「自分はそれだけの量をこなしているかな?」というのを目安にしてもらえればいいですし、高校2年生であれば来年のその時期に「あ、最低でもこのくらいのペースでやればいいんだな」といった目安として活用してもらえればと思います。

 

よく聞かれるのですが、「最大でどれくらいやればいいですか」という質問に対しては「ねぇよ、そんなものわw」とお答えします。勉強に上限なんてありませんよ、できるなら体壊さない程度にやれるだけやったらよろしいのです。当たり前のことですが、体壊してしまったら何にもなりませんからね。でも、本当に勉強に上限はないですよね…マニュスクリプトはさすがに読めますが、曲がりなりにも歴史研究に携わってたくせに古英語もロクに読めなきゃラテン語もダメとか…ほんとに…落ち込むわぁ。やってもやってもキリがないのが学問というものですが、それでも当座の目標達成に必要なラインというものをクリアすることが大切です。高校世界史には幸い、ある一定の枠組みや上限が設定されています。まぁ、どんなにハイレベルな大学でも、『詳説世界史研究』1冊丸暗記できていれば、そうひどいことにはならないはずです。

さて、それではいくつかのケースにわけてどれくらいの量を消化すればいいかを考えてみましょう。具体的な勉強法などは別稿に譲ることにして、まずは分量としてどの程度を見ておけばいいのかを示しておきます。

 

[4月から勉強を開始する場合]

   すでにある程度の通史の履修(半分以上)を終えており、世界史の基礎的知識は頭の中に入っている。

A 目指すのは東大、一橋など論述がメインの難関国公立だ。

 →9月までを目処に以下のものを終わらせましょう。

 ・志望校過去問を過去20カ年にわたり、週1ペースで研究しましょう。

   (月4回だとして、5か月で[夏明けごろ]20カ年分が一周できます)

   ・『詳説世界史研究』、または同レベルの情報量を持つ参考書やプリントを使っての暗記作業。

   ・難関私大向けの問題集(記述式)を少なくとも1冊、できれば2冊。

    :具体的には、簡単なところで『東書の世界史B問題集』、『山川の世界史問題集』、『Z会の世界史100題』あたりは単元ごとに分かれているので使い勝手が良くていいですね。

   ・センター向けのマーク式問題集を1冊。

    :それほどの分量はいりません。駿台の青本(実戦問題集)1周程度で十分かと。

  B 目指すのは早稲田・慶応などの難関私大だ。

    →過去問演習は夏休みに入ってから少しずつで十分です。それまではとにかく通史の把握と暗記に力をさきましょう。9月までに以下のものを終わらせるつもりで。

    ・『詳説世界史研究』、または同レベルの情報量を持つ参考書やプリントを使っての暗記作業。

    ・難関私大向けの問題集(記述式)を2冊(基礎編と応用編)。

     :できれば2周以上行いたい。

    ・センター向けのマーク式問題集を1冊。

     :2度解く必要はないが、見直しに力を入れること。

  C マーチ志望、またはセンターレベルの問題で8割程度をとりたい。

    →9月までに以下のものをつかって通史を抑えましょう。

    ・『詳説世界史B』クラスの学校教科書1冊を丸暗記。余裕があるようであれば『詳説世界史研究』に切り替えも可。

    ・質の良い記述式問題集を1冊、じっくりと仕上げること。

     :解くだけで終わらせず、解きながら特に気になる箇所のまとめや、後で見直せるように問題へのチェックを怠らないこと。できれば、2周、3周と繰り返すと良いですね。

    ・センター向けのマーク式問題集を1冊。

     :同じく、見直しに力を入れること。

 

  全体を通しての注意点

1、見直しが命。

:問題は素早く解く。(論述は除く。大問1問に10分かけるようでは遅い。)見直しにはたっぷり時間をかける。(イメージとしては、大問4つを3040分で解いたら見直しには1時間半。)

2、東大の場合、日本史がメインの時は世界史にかける時間はそこまでこだわらなくてもよい場合もあります。たとえば、『詳説世界史研究』ではなく、『詳説世界史B』をはじめとする教科書で基礎を把握し、残りは問題を解く中で補っていくなど。ただし、これは社会であまり点数を期待していない(英・数・国で点を取りに行く)タイプの受験生に限ります。

3、早稲田や慶応でも、論述のある学部については東大などに準じた形の学習が理想。

    :特に、早稲田の法学部は本格的な論述対策が必要。慶応の場合はもう少し短い形の論述が多いが、経済の論述はデータ解析などの特殊型が主なので、やはり過去問にあたることが望ましい。他にも、短い論述の対策としては前に紹介したZ会の『段階式世界史論述のトレーニング』などや、東大の小論述で練習を積んでおくとよいでしょう。

4、マーチ志望、センター対策の場合はとにかく基礎力(=知識量)をつけること。

:各予備校の模試で偏差62くらいの成績が出るまでは正直なところ基礎的な知識が不足しています。A、B、Cランクの知識で言えばBランクの知識が完全には頭に入っていないです。A、B、Cランクの知識とは、Aランクが一番基礎だとすると「名誉革命」、「ファラオ」、「カノッサの屈辱」、「ハンムラビ法典」、「始皇帝」、「長安」あたりはAランク。Bランクというと「ユトレヒト条約」、「立法議会(仏)」、「鎬京」、「一条鞭法」、「ソロンの改革」あたり。Cランクというと「カルロヴィッツ条約」、「ラシュタット条約」、「アイン=ジャールートの戦い」、「マウントバッテン」、「コムネノス朝」あたりでしょうか。多少手加減はしてる感がありますが。覚えにくいものは挙げればきりがないですね。「ラクナウ協定」とか「呼韓邪単于」とか。要は、ストーリーを構築するうえで必要な要素である、国、王朝、君主、基本的国制、都、戦争、条約、経済・文化のうちメジャーなもの、などを代表的な国や王朝についてうろ覚えでなくしっかり覚えているかどうかということです。マーチやセンター受けるだけならチョーラ朝とパーンディヤ朝の細かい区別をガッツリ覚えている必要はないですし、五代十国のあたりの細かな知識(石敬瑭とか)もいりません。でも、「唐」とか「宋」とか「明」とか言われた時に、建国者や代表的な皇帝、都がうろ覚えでは困る。つまり、そういうことです。

 

   まだ世界史の世の字も入っていない気がする。

:どこを目指すにしても、まずは基礎力が絶対的に不足しています。基本的には①のCのケースをベースとして、急いで世界史の基礎知識の充足をはかりましょう。まだ十分間に合います。入り口として使うものが「詳説世界史B」レベルの教科書ではキツイという場合には、「自分に合う」と感じる教科書や参考書を使っても構いません。ただ、そうした場合でも、できるだけ情報量は多いものを使う方がよいと思います。「覚えていない」と感じていても、実際には何度も見ているうちに体や感覚が「何となく」覚えて、それが選択問題なので効果を発揮したりします。ですが、そもそも情報がゼロではそうした感覚も養いようがありません。「基礎部分だけを覚える」と目標を定めるにしても、まずは一通りの情報に目を通すこと、そして問題集を解くときには解説から目をそらさないことがとても重要です。

 

[10月以降、勉強を進めるのであれば]

   すでに4月から東大などの国公立、早稲田慶応向けの勉強を十分に進めてきた。

・過去問演習を繰り返します。

  :国公立の場合、演習量を増やすのは12月に入ってからでも構いません。直近510年分程度を手厚く、繰り返し演習してみましょう。他校の過去問にもそろそろとりかかかるべきかと思います。基本的には問題演習をベースとして、不足した情報を自分のまとめ教材に書き込む、それを暗記する、苦手箇所をチェックする…を反復することです。その際、必ず自分がどこで間違えたのかや、何点くらいとれたか(配点がわからないときは単純に問題数でパーセンテージ計算でもよい)をチェックしておくことです。1度解いて終わらせず、必ず後で再度解いて前回と比べてみるという作業が必要になります。論述問題については、時間がない場合、あまりにも昔の問題を繰り返す場合には、メモや表、マインドマップの作成で代用しても構いません。とにかく、きちんとした形で「自分の頭を使って整理」をし、「それが正しかったかを確認」する作業を行うことが大切です。

 ・本格的にセンターに取り組みます。

  :センター型の問題集やセンター過去問に取り組みましょう。基本的な目安としては、「実戦問題集2周+過去問5年分×3周(または過去問10年分×3周)」あたりが基本の目安です。これを、大学過去問と同じような手順で進めましょう。ここでも、見直しが命です。

 ・特に見直しておきたい部分だけ、単元別の問題集で復習したり、再度まとめノートをつくるなどする。

  :もうすでに、「書いてまとめる」作業は9月までの段階で終わっています。書いている時間はもうありませんが、どうしても再度関係性を把握したい場合などについてはまとめノートを作ってみるのも良いでしょう。

 ・9月までに解いた問題集の見直しを行う。それが十分にできている場合に限り、力試しに他の問題集を解き進めてみる。

 

 だいたいこんなところですね。1日に社会に取れる時間は2時間といったところでしょう。「週に過去問×2、センター×2、問題集の大問×4程度を解いて、残り二日はまとめの時間」くらいが妥当なのではないでしょうか。(もちろん、やる気になればもっとできますが、他教科との兼ね合い次第ですね。)それでも、「月に過去問×8、センター×8、問題集の単元×4を解いたう上でまとめ」くらいはできますから、12月の冬休み直前ごろまでには「過去問20年分(10年分×2)、センター20年分(10年分×2)、問題集の単元×12にプラスしてまとめや暗記をする時間」がとれることになりますね。あとは、連休や冬休みを利用してペースを巻いていけば、通常のペースで勉強したとしてもかなりの分量の勉強をこなすことができるはずです。その上で、センターが終わる前後からさらに2次試験に向けて大学過去問を繰り返すという作業になります。授業がある場合はその授業を効果的に使うと消費時間が節約できます。大切なことは、継続して、定期的に、大学過去問とセンター過去問やマーク問題集を交互に進めていくことです。いっぺんにやろうとすると必ずムラができます。

正直に言えば、この段階では塾はおすすめしません。塾は「わからないことを紐解く」、「知らないスキルを教わる」ための場所で、「自分の中に情報をインプットし、定着させる場所」であることは稀です。通常、人はスキルを教わってもすぐには活用できません。それを活用できるようになるにはいくらかの時間が必要になるわけで、10月を過ぎた段階でスキルを与えられるくらいなら、一つでも多く自分の中に情報をインプットする時間を確保するべきです。ただし、以下の条件に合う人、または塾に通っていることで自分の力が着実にレベルアップし、役に立っているという人はこの限りではありません。

 

 ・すでに「暗記」の段階は概ね終了したので、あとは「考えを練る」ことや「解答にいたる思考のプロセスやエッセンス」の方を特に重点的に学習したい。

 ・ある程度は「暗記」できている。そのため、塾で授業を聞いたり、問題を解いたりしているうちに自分が忘れていた箇所を自然に思い出すことができ、自分で勉強するよりも効率がいい。

 ・正直、全く理解できない部分があるので、とにかくそのわからない部分をすっきりさせないと前に進めないので塾で解説してほしい。

 

このような場合には、ある程度インプットのための時間を捨てても塾に通う意味はあるかと思います。

 

   9月までさぼっちゃって、まだ全然準備できてないよ…。

:これは正直やばいです。ちょっと荒療治が必要になります。

 

・まず、センター向けの練習(過去問・実戦問題集・マーク式問題集)は定期的に解く・見直しをする時間を作りましょう。

・用いる教科書はやはり「詳説世界史B」クラスの学校教科書が良いでしょう。その上で、試験に頻出の「お前、ここは覚えていないとさすがにやばいだろう」というところだけはみっちり覚えましょう。具体的には、古代ローマ・ギリシアとか、中国で言えば秦・漢・唐・宋・明・清あたり、近代史で言えば絶対王政・啓蒙専制君主・英仏米革命・ナポレオン・帝国主義、現代史なら一次大戦・世界恐慌・二次大戦あたりでしょうか。基準がわからなければ、学校の先生や塾の先生、世界史のよくできる友達に「ここだけは覚えろ章」をピックアップしてもらいましょう。そして、その他の部分は太字だけ覚えて話の流れを理解したらあとはシカトしましょう。

・その上で(あるいはそれと並行して)、「ここだけは落としたくない」大学の過去問を重点的に学習しましょう。各大学には大学ごとの、さらに学部がわかれている場合には学部ごとの設問の特徴のようなものが多かれ少なかれ存在します。それをしっかり把握していると、余分な労力を極力使わずに必要な部分だけをピックアップして強化することもある程度は可能です。ただし、その場合以下の3点に注意してください。

 

 A:「落としたくない大学」とは第一志望の大学とは限りません。たとえば、「第一志望に合格できなければ浪人も辞さず!」と思っている場合には第一志望の大学に重点をおいて勉強するので良いのですが、もし「どうしても現役で!」と考えている場合にはたとえば「この大学だったら行ってもいい第2志望、第3志望の大学の過去問を重点的に学習」という安全策もなくはないです。9月までの段階で全然勉強していないという前提であればむしろアリでしょう。

 B:科目ごとの相性にも気をつけましょう。たとえば、ある大学の社会の過去問を重点的に勉強して、「よし!世界史はばっちり!」と思ったらその大学の英語がどうしても苦手で、「別の大学の世界史をやっておけばよかった…」なんていうことは十分にあり得ます。どの大学の過去問を重点的に学習すればよいのかということは、世界史だけではなく、総合的に判断しましょう。

 C:以上の戦略はセンターについては度外視していることを忘れないでください。もし、一部の単元や項目だけに特化した学習の仕方をするのであれば、それとは別にセンター向けの勉強を少し厚めにやっておきましょう。もちろん、センターを受験しないというのであれば、その限りではありません。

 いずれにしても、この方法で身につくのは世界史のほんの一部に過ぎません。ちょっと視点を変えた問題や、過去問とは全く違う傾向の問題が出てきたときには完全にお手上げです。余裕が出てきたら、できる限り他の学校、単元、問題集にも手を出して、インプットの幅を広げることを忘れないでください。

 

 さて、以上になりますが、いかがでしたでしょうか。かなり簡潔にまとめたので十分に書けなかった部分もあります。特に、具体的な勉強法ですね。問題集はこんなふうに進めようとか、できなかったところのチェックはこうするとあとでわかりやすいとか…時間のある時にその辺の工夫もあげていければと思います。それ以外にも何かリクエストやご質問があればお時間あるときに対応させていただきますね(できる限りでですがw)。ひとによって状況は様々でしょうが、その時その時で適した学習法は異なってくるかと思います。遮二無二学習を進めることが何より大切ですが、少し余裕ができたら自分のすべきことを整理してみる時間も大切だと思います、頑張ってください!

HANDのところにはよく「プリントが全然覚えられないんです。頑張って勉強はしているんですが、間に合わなくて…」という子が相談に来ます。実際「ものすごく」とまでは言わないにせよ自分が使える時間の中できちんとそれなりの時間をかけてやっている様子ですから、本人が困っている様子は伝わってきます。

 

ちなみにHANDにとって「ものすごく頑張る」といった場合、吐き気をもよおすレベルで勉強することを指しています。HANDが高校の頃は「10時間ぶっ通しで『詳説世界史』とにらめっこ」、「10行分の文章丸ごと暗唱」とかはザラでしたw 英単語ターゲットは14001900の両方をセンター試験が終わってから購入して、早稲田の2次試験までの一か月強で全部覚えました。HANDは高3の頃は全然勉強していなかったので、そもそもターゲットの存在自体を知りませんでしたw 国語と社会の偏差が70upで平常運転(平均点次第で変わるんですが72-78くらいですか。マークだと満点とっても70前半が限界ですしw)だったので「英語と数学できなくても行けるかなー(楽観)」と思ってたんですが、甘かったですねw 当時の英語と数学の偏差は下手すると50を割ってくるレベルでした。ところが、ターゲット覚えただけで英語の偏差は10以上上がりましたね。いかに自分が勉強していなかったかがよくわかりましたw 元々知ってましたけどw おかげで数学に集中できたので最終的には普通に東大や一橋に通るだろうくらいの成績までは上がりました。

 

 現代文ができる人は、英語は英単語さえ覚えれば長文の内容が何となくわかるようになりますので、あとは努力次第でどうにかなりますよ。HANDが英語をそれなりに扱えるようになったのは30歳過ぎてイギリスに留学してからですね。さすがに自分のお金で後がない勉強を強いられるとやりますねw 英語は英文の学術専門書の1~3冊も真面目に自力で読むようになれば自然と身につきますので、高校生のうちに苦手だからと言って気にしなくても大丈夫です。会話はしゃべらないとだめですねw そのうち留学の話なんかもUPしてみようかな。手続きとかえらい面倒でしたし。

あ、大学受験の結果は、浪人して一橋・早稲田×4・慶応などに合格しました。119勝でしたね。落ちたのは上智の法(上智の英語はエグイ!大問1題あたりかけられる時間が10分ないって何だw)と、東大の後期が思ったよりも基準高くてやられました。センター試験で失敗したんですよねぇ。その年は旧課程と新課程の入れ替わりの時期で、高3生と浪人生で数学の問題が違ったんですが、浪人生の方が数学で20点以上平均点が低い超凶悪な問題でしたw 普通数学受けさせたら浪人生の方が高くなるはずなのに現役の方が20点も高いんですからねw そのあおりをくらっちゃいました。今の高3生と高2生がちょうど制度の入れ替え期ですから、そういう意味でも十分に注意してほしいところですね。

 

あ、脱線しまくりですね。そうそう、生徒が「プリントが覚えられない」と困っているとき、HANDは「これは指導が必要かな」と思ったらマンツーマンで(生徒が複数の時もありますが)、「覚え方」から指導しています。これはごくごく基本的な方法で別に目新しくも何にもありませんし、HANDが高校生の頃にも普通にやっていたことなんですが、どうもやり方を知らない子たちがたくさんいるみたいなんですね。そこで、この方法を示してあげて一緒に暗記してみると「全然覚えられない」と言っていた子でもそれなりに頭に入るようになります。人によっては急激に改善して覚えることが苦にならない子も出てきます。そこで、今回は実際にプリントを使いながら、どうやって覚えるのか、その手順を示していきたいと思います。ちなみに、今回使うプリントはHANDが講習のために作った通貨・金融史のプリントの解答です。

 

  まず、絶対にしてはいけないのが、ページ全体に目を通して覚えて、再度一番前に戻る、という手順を繰り返すやり方です。(画像はクリックで拡大、さらにクリックでもっと拡大できます。)

 

 スライド1

 

これははっきり言って一度にインプットする量が多すぎて処理しきれません。冒頭に戻った時にはすでに内容を忘れているから、また読んで…の繰り返しで非常に効率が悪いです。効率を高めるためにも、まず以下の手順を試してみてください。

 

  とりあえず、何が書いてあるのか話の概要を理解する。

:「人類の誕生」について書いてあるのか「フランス革命」について書いてあるのかくらいの大雑把な内容くらいは把握しておきましょう。

 

  プリント全体の地図を描く(プリント全体をブロック化する)

:上のプリント(画像)で言えば、1に「鋳造貨幣」、2に「紙幣」についての話が書いてあるんだな、くらいの理解で十分です。

 

  ③で理解したテーマごとに、自分がまず覚えるべきブロックを見定めます。


スライド2
 

テーマを確認するためにも、これから自分が覚えようとする内容が何であるか、見出し語には注意を払いましょう。


 スライド3

 

  少し量が多いかな、と感じたらそのブロックをキリのいいところでさらに細分化してみましょう。基準としては、覚えるべき内容が4語~10語程度が無理もなくて最適です。


 スライド4

 

  自分で決めたブロックだけを集中してものすごく短い時間で覚えます。覚えるべき言葉が4語であれば、長くて2分もあれば十分でしょう。肝心なのは、2分と時間を決めたらそこでやめること。また、周辺の内容もある程度は把握しておきましょう。


スライド5

 

  2分経ったら、覚えているかどうかをチェックしましょう。一人でやってもいいですが、友達と出し合いっこをする方が手間もかからず時間も省けて効果的です。もし、半分程度しか覚えていないようでしたら再度時間を短くして覚えます。おそらく、これが終わる段階で覚えている内容がゼロ、ということはあまりないはずです。



  終わったら、次のブロックも同じ手順を繰り返します。できるだけ、単語だけに目をとらわれるのではなく、関連事項と結びつけるようにしましょう。それがヒントになって思い出せることが増えてきます。


 スライド6

 

  いくらか進んで一つのテーマがおわったら、全体を把握するために再度目を通して頭の中に入れた知識を「ならし」ます。2~3分で十分でしょう。

 

 スライド7

 

  最初のブロックが終わったら次に進みます。


 スライド8

 

おそらく、プリント1枚につき4~5分割くらいが一回に覚えるのに最適な分量です。「無理がない」というのが一つのポイントです。過度な負担をかけると、疲労感だけがたまって肝心の内容が頭に入っていないということになりがちです。全ての作業が終わることには、20分から30分程度でプリント一枚分の暗記が完了しています。

 

スライド9
 
スライド10
 
 

基本的な手順は以上の通りなのですが、効果的に行うためにも、以下の点に注意しておくとよいでしょう。

 

・ダラダラとはやらない。超短期、超集中!なので、疲れてきたら休みましょう。その意味でも、一夜漬けはおススメしません。1時間、長くて2時間半が限度でしょう。

・中国史の場合、漢字の書きがあっているかどうかにこの段階でこだわるのはやめましょう。まずは「ことば」と「内容」が頭に入っているかどうかにこだわって、漢字などの細かい部分は最後の「ならし」の時に確認して、怪しいものがあればマーカーや目印などでチェックをつけておきましょう。できるだけ一度にいれる情報量が少なくなるようにするのがコツ。

やりっぱなしにしない。一度覚えたら、その日のうち、3日後、一週間後、どこでもいいですから必ず「思い出す」作業を行いましょう。一度覚えたことは、3日~1週間たつと急激に失われるそうですが、それまでに再度「思い出す」ことで定着を図ることができます。その際、実際にプリントを開く必要は必ずしもありません。むしろ、自分で「思い出す」作業を行うことが肝心です。極端な話、授業を聞いた後で帰りの電車の中で「今日はHAND先生は何の授業をしてたっけなー」と考えるだけでもかなりの意味があります。

・何度かやっているうちに、「いつもここだけ忘れている」、「ここだけは注意しないと」というところがあれば、そこにマーカーなりで印をつけておくとやり直すときに便利です。やり直しをする時には、すでに覚えているところは省いて、覚えていないところだけを集中してインプットするようにすれば、時間も労力も短縮できる上に、自分が覚えなくてはならない対象に集中することができます。勉強すればするほど自分の労力が減るような学習をすることが効果的です。

 

今回の「プリント暗記法」は以上です。他にもいろいろ工夫の仕方はありますが、まずは自分の出来る範囲で試してみてくださいね!
 

ブラマンテ、ブラマンテ、ブラマンテ。

いきなり何だ、と思われるかもしれないが、まずは唱えてみてください。

ブラマンテ、ブラマンテ、ブラマンテ。

はい、皆さんご一緒に。

ブラマンテ、ブラマンテ、ブラマンテ。

 

 実は、これはHANDがはじめて世界史の授業を習った際に、当時世界史の先生であったO氏になんの前触れもなくふられたことと同じものです。当時、我々生徒(たしか高1だったと思う)の側はO氏とまったく面識がなく、入ってくるなリブラマンテを連呼する天パーのおっさんにたじろぎながらも最終的には唱えさせられたことを覚えています。

ブラマンテ、ブラマンテ、ブラマンテ。

「パルプンテみたいだ」と思っていた我々が3回唱えたのを見たO氏はその後しれっとのたまったものでした。

「はい、みなさんはこれで一生ブラマンテから逃れられません。ブラマンテはサン=ピエトロ大聖堂を設計した人です。」

そして、実際にHANDはブラマンテを一生忘れることができませんでした。ちなみに、O氏は現在某大学において人文学部長を務めておられる、ドイツ・スイス史の専門家だ。西洋史学会でばったり出くわした時には「ちっ、してやられたぜ。」と思ったものです。

 

つまるところ、「暗記の極意とは?」と言われればこれにつきます。イメージ付けです。イメージ付けさえできれば「イクスペクトパトローナム」であろうが「モンキー=D=ルフィ」であろうが覚えることができます。私に言わせればワンピースの登場キャラが全部覚えられる人間がルイ14世を覚えることができないというのはそもそも原理的に不可能だと思います。よく「情報量が多くて…」という話を聞きますが、冷静に考えてみたときに『詳説世界史研究』一冊の情報量と、「ワンピース全巻+テニプリ全巻+暗殺教室全巻+…」と本棚に並んだマンガ本の情報量を比較すれば、いかに自分が的外れなことを言っているかに気が付くのではないでしょうか。

 

これはつまり、才能の問題ではありません。どれだけ「覚える対象のもの」と印象深い出会いをするか、ということなのです。ただ、世界史の場合にはそれがうまくいかないことが多いです。そもそも、印象付けがうまくいかないことが多いですし、何度も出会いたいと思う魅力も感じないかもしれません。実は、世界史は日本史と比べると個別の事柄の情報量が少ないです。ある人物が出てきたときに、その人物をイメージさせるエピソードなどが意外に示されていないのですね。様々な理由によって世界史を覚えること、暗記することを断念してしまうということもあるかもしれません。

 

そこで、この「世界史暗記法」では、どのようにすれば世界史の暗記を進めることができるのか、また覚えたものを混乱せずにしっかり定着させるにはどうすればよいのか、などについて思いついたことを書いていきたいと思います。正直、「何だ、そんなことか」と思うような内容もあるかもしれませんが、いくつかのことは実際に世界史の暗記に悩む生徒たちと向き合う中でマンツーマンで行ったところ、それなりの効果を得ているものです。うまくすれば、これまで1枚あたり1時間・2時間かけてもできなかった世界史プリントの暗記が2030分もあればできるようになってしまうかもしれません。何回かに分けて書いていくつもりなので、もし一つでも「あー、これは使えるかも」と思ったら試してみて下さい。

 

ところで、最初にHAND個人の見解として以下のことは伝えておきたいと思います。

1、マンガや小説、ドラマなどによるイメージ付けはそれなりに有効である。

2、語呂合わせは正直なところあまり有用性を見いだせない。

3、効果的なのは「短期集中の反復」を「中長期マイルドな反復」で根付かせることである。

 

 まず、1についてですが、これはやはり「好きこそものの上手なれ」という部分が大きいです。ワンピースと同じ理屈ですが、好きなものは「ロロノア=ゾロ」だろうが「バーソロミュー=くま」だろうが覚えるものです。そもそも、「バーソロミュー=くま」を覚えている人間が「バーソロミュー=ディアス(バルトロメウ=ディアス)」を覚えられないというのはどんな現象でしょうか。

くま

好きなものは覚えるし、さらにそれが視覚効果として入ってくるものであればなおさらでしょう。

 

 2については、たしかにHANDもこれにお世話になったことはありますし、役にも立ちました。ですが、やはりあらゆる年号を全て語呂合わせで覚えようというのには無理があると思います。HAND的には「無理矢理くっつけた感」のある語呂合わせは気持ち悪くてかえって覚えにくかったものです。また、最近の出題の主流は、年号をダイレクトに聞くよりも出来事の生起した順に並べ替えるというもので、こちらのパターンの設問の方が多いです。こうしたことからも、語呂合わせはあまり過信せずに、必要最低限のものだけ知っていればいいのではないでしょうか。794うぐいす平安京とか、1492燃えるコロンブスとか。

 

 3については別稿を設けて説明するつもりですが、暗記において効果的なのは「たくさんの情報量をたくさんの時間をかけて入れること」ではなく、「少しの情報を超短期で集中してインプットする作業を繰り返すこと」です。そして一度頭の中に入った知識(一夜漬けの知識)を中・長期にわたってマイルドに反復することによって、できるだけ入れた知識を「逃がさないように」してやると定着していきます。

 

 さて、なかなか本題に入れませんでしたが、ようやく本題です。今回ご紹介するのは「パターン化による印象付け」です。これは特に、複数のものを一度に覚えなくてはならないときや、複数の類似するものが混じってしまって混乱するときに効果を発揮する覚え方ですが、やり方は簡単で、要は以下の2点を意識することです。

 

  覚える順を常に一定にしておく

  特徴のある部分を自分で決めて、おさえる

 

これだけです。よくわからないとおもうので、具体的な例を紹介します。

(例1)戦国の七雄

これは以前に「あると便利なテーマ史⑤」でも紹介したものですが、戦国の七雄を覚える際には常に「斉・楚・秦・燕・韓・魏・趙」の順で覚える、というものです。また、これらを斉(山東半島)から初めて東→南→西→北とぐるっとまわってから中央部を下から上に貫く、という意識で覚えておくと忘れないと思います。

 
戦国七雄覚え方
 

 

(例2)南朝4王朝(宋・斉・梁・陳)

これも全く同じで、ひたすら「そうせいりょうちん」と唱えることです。決して、「そう・せい・りょう・ちん」と区切ってはいけません。「そうせいりょうちん」と一つの塊にすることで自然にその順が出てくるようになります。ちなみにHANDは友達の「亮くん」を思い出しながら「そーせい、亮ちん」で覚えていました。

 

  (例3)五代十国の「五代(後梁・後唐・後晋・後漢・後周)」

      これも原理は同じなのですが、さすがにやりにくいのでHANDははじめから「後」をとってしまっていました。つまり「りょうとうしんかんしゅう(梁唐晋漢周)」と覚えておいて後から「後」をくっつけるという作業ですね。「りょうとうしんかんしゅう」というと、何となく勅撰和歌集的な語呂の良さも出てくるし、何より順番を間違えることはないので、この方がはるかに楽でした。こうした「一部分だけを取り出して並べる」という作業は他のところでも効果的なことがあるので思いついたら試してみてください。

 

(例4)ジェームズとチャールズが覚えられません…(泣)

応用編です。よくある受験生の悩みに「日本史は名前が違うから覚えられるのですが、世界史は1世とか2世とかなので意味が分かりません…」というものがあります。正直、HANDにとっては義義義義言っている日本史の方がよほど煩わしい。おまえはムツゴロウさんかとつっこみたくなります。


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ただ、イギリス、ステュアート朝の君主は確かに迷いやすいところではありますね。これも2点の特徴を抑えれば一発で解決です。

 

1、ジェームズ1世、2世と、チャールズ1世、2世がいる。

2、最初も最後もジェームズである。

 

以上です。これでもし順番を間違えるようならそれは世界史を覚える前にまず論理学を勉強するべきだと思いますw 1と2の約束を守れば

 

ジェームズ1

チャールズ1

チャールズ2

ジェームズ2

 

の順になるのは明白ですから、順番に迷うことはありません。ついでに、それぞれの国王について1点、2点でも特徴のある事柄を結びつけて覚えると良いでしょう。こんな風に。

 

ジェームズ1世(ステュアート朝の開祖)

チャールズ1世(権利の請願、ピューリタン革命)

[クロムウェルの独裁]

チャールズ2世(王政復古、審査法、人身保護法)

ジェームズ2世(名誉革命)

 

こうして、国王をベースに骨組みをつくってやれば、あとは少しの肉付けをしてやるだけで17世紀イギリス史をまとめていくことも可能になります。

 

(例5)ルイルイルイルイ…ムキー!(フランスの君主)

おそらく世界史の嫌いな受験生がもっともイラつくパートがこのルイルイパートです。たしかに、最終的に18世まで出てくるのでイラつく気持ちもわかりますが、世界史で登場する主要なルイルイはなんと5人しかいません。であれば、はじめからルイルイを抜き出して特徴をおさえておけばよいだけのことです。

      

      ルイ9世(聖王、第6回・第7回十字軍、アルビジョワ十字軍)

      ルイ13世(宰相リシュリュー、三部会停止)

      ルイ14世(宰相マザラン、財務総監コルベール、絶対王政全盛期)

      ルイ16世(フランス革命で首チョンパ)

      ルイ18世(ウィーン体制、正統主義)

 

      ちなみに、難関私大クラスになるとルイ1世(ルートヴィヒ1世)がカール大帝の息子でヴェルダン条約の原因を作った人物(ロタール、ルートヴィヒ[ルイ2]、シャルルの父)であることや、ルイ12世がイタリア戦争を起こしたシャルル8世の後継者であることなどが必要になることもありますが、これらは「必要になってきたな」と感じたら意識すればよいだけのことです。暗記では「優先順位をつける」ことも大切な要素ですね。

 

 以上、思いつくままに具体例を挙げてみましたが、肝心なのは「自分流のルールに従って覚え、それを定型化すること」です。ちょっとした工夫で覚えるのが楽になることもたくさんあるので、普段から意識しておくとよいでしょう。(ちなみに、HANDの生徒は例のジェームズとチャールズを覚えるのに「ジェチャチャジェ」と言って繰り返していましたw いや、いいんだけどw 語呂悪くないかw)

 別稿では、「授業でつかうプリントの覚え方」や「年号の把握の仕方」、「ヨコのつながりの抑え方」など、色々なことについてちょっとした工夫を示していきたいと思います。


【論述問題についての一般的な知識と注意】

 

 最も重要なことは、その設問が「求めているものは何か」ということと、「設問の意図」をくみ取ることです。また、設問が付している条件や注意に十分留意する必要があります。設問の要求や条件を満たしていない場合、どんなに歴史的な知識や用語を盛り込んだとしても、点数は大きく下がるものと思っていいでしょう。

例えて言えば、母親から「ちょっとー、今日夕飯食べるの~?」と聞かれたのに対して「8時~」と答えるようなものです。母ちゃんは夕メシを食うか、食わないかを聞いているのであり、時間を聞いているのではありません。「8時って言ってるんだからその時間にメシを食うって意味だって分かれよ」というのは傲慢というものです。そんなことができるのは斉木楠雄だけです。

 
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論述とは、出題者の意図した質問に対して、正確かつ明確にこたえることが要求されるものです。つまり、論述では出題者とのコミュニケーション能力を問われています。「論述対策とは何ですか?」と問われた場合、「それはコミュニケーション能力を養うことです」と私は答えたい。普段から単語だけで済ませるような会話で人に接するのではなく、主語と述語の関係を明確に示したり、時系列や因果関係をはっきりと示して物事を説明するコミュニケーションをとっていれば、それが自ずと論述力を高めることにつながると考えてよいでしょう。

 もっとも、世界史の論述対策として示すにあたって、「国語力を鍛えろ」というだけではいかにも無責任ですので(真実ではあるのですが…)、世界史の論述を組み立てるにあたり、知っておくと良いと思われるいくつかの知識と注意点は示しておきたいと思います。

 

1、種類

 A 事項説明型

 B 展開・経過説明

 C 変化説明

 D 比較・相違説明

 E 特徴説明

 F 意義説明

 G 背景・理由説明

 H 結果・影響説明

 

 これだけではありませんが、基本的な枠組みを知っておくほうが論述を進める際には便利です。

 

2、字数

 30字から600字程度の論述まで多岐にわたりますが、基本的な基準としては60字論述に3つから4つほどの採点基準が入ってくると考えていいでしょう。60字論述であればこの中に通常は一つから三つの短文が入り、対比・経過・特徴などの説明がされることになります。

 

ex.1)「設問:上座部仏教と大乗仏教の教えの違いを60字以内で示しなさい」

 

(A)上座部仏教では出家者が自己の解脱を目指して修行を行うことを重視したが(B)大乗仏教では菩薩信仰を中心に万人の救済を目指した。 (60字)

 

  この例ではAとBの対比と、上座部仏教・大乗仏教の内容説明になります。

 

ex.2)「設問:クシャーナ朝が栄えた理由を、交易という観点から60字以内で説明しなさい」

 

(A)クシャーナ朝は(A)西北インドから中央アジアを支配し(B)中国とローマを結ぶ交通の要衝をおさえ(C)東西交易によって経済的に栄えた  60字)

 この例ではAで地理的な支配地域を示し、Bで交易が盛んになる前提や対象を示し、Cでどのような種類の交易を行っているかを示しています。

 

  例題もZ段階式世界史論述トレーニング改定版)引用

 

【論述を書く際にありがちな誤りと注意】

 

1、文章にねじれがある(主語が判然としない、述語が正確に使われていないなど)

:長い文章を書いているうちに文全体の主語とその後の述語にねじれが生じてしまうということはよくあることです。こうした誤りは物事の関係性が正確に読み取れない原因を作ることになるため、採点のしようがなく、減点対象となってしまいます。

 

(例)「設問:秦が郡県制を採用したのはなぜか」

 

「不十分な解答例:反乱がおさえられ、皇帝に権力を集中するため」

  →この場合、設問が要求している通り主語が「秦」であるとすれば「反乱」は「秦」が「おさえる」ものです。「おさえられ」では主語が「反乱」になってしまいます。よって、以下のようにするのが正しいです。

 

「良い解答例:(秦が)反乱をおさえ、皇帝に権力を集中するため」

 

2、助詞などを正確に使えていない

 

(例)「郡県制は中央集権的である各地に中央から役人を派遣したのに対し、郡国制は都の周辺は役人を派遣したのを、地方は土地を与えて王として封じた。」

    →このように不正確な助詞を用いると、文章の意味自体が変わってしまったり、文意が取れなくなってしまいます。(たとえば、「中央集権的である各地」としてしまうと「中央集権的であること」は「各地」の形容詞になってしまいます。「中央集権的であり、各地に中央から役人を派遣した」が正しい。)

 

このように、文章自体がしっかりしたものでないと、歴史的な用語や必要な要素に誤りがなかったとしても正解にはしてもらえなくなるので注意が必要です。

 

  上記のような文法上の誤りを避けるためには、以下の2点に注意すると良いでしょう。

  ① 「主語は何であるか」に注意を払うこと

  ② 長い文章としてつなげる前に、まず短い文章を複数作ること。

   (たとえば、「ローマ教会は東ローマ帝国と対立していた」という文と「ローマ教会は政治的な後ろ盾を欲していた」という文を頭の中でつくり、最終的に「ローマ教会は東ローマ帝国と対立していたため、政治的な後ろ盾を欲していたから」という文章としてまとめ、関係にねじれがないかを確認する)

 

他にも多くの注意点はありますが、それについては各校の論述対策や別の記事の中で示していくことにしたいとおもいます。

 

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