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カテゴリ: 勉強法と学習の際の注意

世界史を勉強している際に必要な地理情報を覚えるのはなかなか大変ですが、わりと自分でかけるようになると覚えます。どの辺をポイントとしておさえるとかきやすいかを示した基礎編です。続く…かない、かも…w

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最近は、共通テストで史資料を用いた設問が多く出されるようになったこともあり、各種統計データを用いた出題が数多くなされています。こうした設問の中でも、特に頻出と思われるものが以下の4つです。

 

①アメリカ合衆国への移民数推移(19世紀~20世紀初頭)

②各国の工業生産構成比(19世紀~20世紀初頭)

③ソ連の経済政策と工業生産高(20世紀前半)

④世界恐慌前後の各国工業生産

 

とはいっても実際に統計とったわけではなくて、完全に私の主観なんですがw それでも、これらは鉄板の出題と言って良いくらい目にします。なぜかといえば、ある程度のまとまったデータは近現代史の方でしか残っていない(推計値などは中世や古代でもありますが、やはり限界があります)ので、どうしても古代史や中世史の史資料問題は画像資料や地図、文書史資料を用いたものが多くなりがちです。また、データとしてはある程度豊富な近現代史においても、高校生に出題した際に解く側がある程度題意をくみとれる設問を作るとなると、それに適したデータを集めるのに結構な労力を必要とします。必然的に、高校生に出題しやすく、かつデータも手軽にそろっており、また出題することに一定の意義を見いだせる設問は限られてくるわけでして、こうした背景から上記4つの出題が多く見られることになっているのではないかと思います。つまり、出題者の先生方が「楽をしたい。でも見栄えは良くしたい。」と思った時に使えるお得感満載の便利データがこれら4つなわけです。ここでは、これら4つの出題に際して、注意するべきポイントを何点か示していきたいと思います。

 

①アメリカ合衆国への移民数推移(19世紀~20世紀初頭)

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(宮崎犀一ほか編『近代国際経済要覧』東京大学出版会、1981年より作成)

:こちらは、近年「移民史」が注目を集める中で良く出題されるようになった問題です。19世紀は「移民の世紀」とされ、教科書や資料集でも1~2Pほどを割いて説明される部分かと思います。(東京書籍『世界史B2016年版では、索引の「移民」の項目にP.303305307358428、「移民法」でP.358が示されています。また、帝国書院『最新世界史図説タペストリー十九訂版』2021年発行では、P208-209で「移民の世紀」という特集が組まれています。) 上に示したのは、アメリカ合衆国への移民数を示すグラフとしてよく示されるグラフです。

こちらのグラフを用いた設問で良く出題されるのは、まず1840年代に急増しているアイルランド系移民の部分です。「アイルランド」が問われることもありますし、「急増の理由」が問われることもありますが、いずれにしてもこれについては1840年代のアイルランドにおける「ジャガイモ飢饉」をおさえておけば事足りる定番の設問です。(今回の話からは少しずれますが、「ジャガイモ飢饉」についてちょっと目新しい視点の出題としては、2018年の東京外国語大学が災害史やチャリティーの側面から読み取れる史料を扱って出題したものがあります。)

一方で、やや難易度が高いのが、19世紀前半から高い比率を示し、19世紀後半になっても高い比率を維持する北西欧からの移民と、19世紀末から急増する東・南欧系の移民の区別を問う設問で、いわゆる「旧移民」と「新移民」の区別がついているかどうかがポイントです。これについては、北西欧系、中でもドイツ系移民(プロテスタントが多い)が1848年革命以降のドイツの混乱の中で急増していくのに対し、東南欧系(特にイタリア系、ロシア支配下のユダヤ系移民)が増加する背景としては、イタリア統一過程での混乱や、ロシアによるユダヤ人排斥やポグロムがあったことを思い浮かべられればOKです。また、出題頻度はまれですが、当初から数は多くないものの旧宗主国イギリスからの移民が継続している点を問うものもあります。

 

②各国の工業生産構成比(19世紀~20世紀初頭)

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(センター試験2003年本試験「世界史A」第3問、問1より作成)

:こちらについては18世紀後半から19世紀初頭にかけて本格化した第一次産業革命で「世界の工場」としての地位を築いたイギリスから、19世紀後半の第二次産業革命で新たな工業国として台頭したアメリカ・ドイツへという変化をおさえておけば十分な設問です。グラフとして示される時期は、19世紀前半から出てくるものもおおいですが、19世紀前半から示すと「1位=イギリス」と答えがより分かりやすくなってしまうので、最近は19世紀後半から20世紀初頭にかけての変化を示すグラフも良く出題されます。こちらの場合、読み取りのポイントとしては、以下の3点をおさえておくと良いでしょう。

 

19世紀後半から20世紀初頭にかけて、アメリカが世界最大の工業国へ

・同じ時期に、ドイツは世界第二位の工業国へ

・一方のイギリスは、19世紀前半に世界最大の工業国であったものが、その比率を減らしていく

 

設問としては、国名を空欄にして、そのうち2か所の組み合わせを聞いてくるタイプが多いです(例:空欄A=アメリカ、空欄B=ドイツなど)が、上記の3点をおさえておけばまず対処可能な設問かと思います。また、設問とは無関係ですが、19世紀前半に世界最大の工業国であったイギリスがアダム=スミスやリカード式の自由貿易主義を唱えていたのに対し、後発国であったアメリカ(北部)やドイツでは保護貿易が唱えられて、国内産業を保護しつつ第二次産業革命を達成したという対比は把握しておいた方が良いと思います。

 

③ソ連の経済政策と工業生産高(20世紀前半)

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出典:栖原学『ソ連工業の研究-長期生産指数推計の試み』より作成

https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/62204/1/Manabu_Suhara.pdf
[
参照日:202233]

 

:こちらも定番、という感じです。ちょっとはっきりとしたデータが見当たらなかったので、銑鉄の生産量推移のグラフを作ってご紹介しています。実際には、工業生産額などのグラフが出題されることの方が多いですね。基本的にはどこが戦時共産主義なのか(Aの時期)とどこがネップ[新経済政策]の時期なのか(Bの時期)をきちんと把握して、それぞれの経済政策の名称と内容が答えられればOKで、それ以上はあまり広がらない設問かと思います。

 

④世界恐慌前後の各国工業生産

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(出典:石井栄二ほか編『大学入学共通テスト世界史トレーニング問題集』
山川出版社、2019年より引用)[一部改変]

 

:こちらについても良く出てきます。出典がはっきりしなかったのでこちらには使いませんでしたが、もう少し国の数を増やす場合もあります。(イギリス、フランス、イタリアなどを加える) いずれにしても、パターンとしてポピュラーなのはソ連と日本を選ばせる設問、またはソ連が世界恐慌の影響を受けていないことを読み取らせる問題、そして1928年~1932年にかけてソ連が実施していた経済政策(第一次五か年計画)を答えさせる設問などでしょうか。社会主義国であったソ連が世界恐慌の影響を受けなかったというのは教科書や授業などでもわりと強調される箇所です。一方、日本への世界恐慌の影響が比較的軽微で、1930年代前半から急速に回復に向かう原因としては、高校世界史的には1931年の満州事変とその後の満州国建国と満州支配がその後の経済回復の原動力となったという説明をするしかないのですが、高校日本史的な視点からは、より日本の国内事情に目を向けた説明がされることもあるかと思います。(そもそも1929年以前の日本経済が底[戦後恐慌や(昭和)金融恐慌]、高橋是清蔵相による金輸出再禁止と円安誘導による輸出の急伸など) 山川出版社の『改訂版詳説日本史B2016年版では「恐慌からの脱出」という節で以下のように述べられています。

 

1931(昭和6年)12月に成立した犬養毅内閣(立憲政友会)の高橋是清蔵相は、ただちに金輸出再禁止を断行し、ついで円の金兌換を停止した。日本経済は、これをもって最終的に金本位制を離れて管理通貨制度に移行した。恐慌下で産業合理化を進めていた諸産業は、円相場の大幅な下落(円安)を利用して、飛躍的に輸出をのばしていった。とくに綿織物の輸出拡大はめざましく、イギリスにかわって世界第1位の規模に達した。

この頃、世界の情勢は大きくゆれ動き、列強は世界恐慌からの脱出をはかって苦しんでいた。イギリスは、本国と植民地で排他的なブロック経済圏をつくり、輸入の割当てや高率の関税による保護貿易政策をとった。イギリスはじめ列強は、円安のもとでの日本の自国植民地への輸出拡大を国ぐるみの投げ売り(ソーシャル=ダンピング)と非難して対抗した。一方、輸入面では綿花・石油・屑鉄・機械などにおいて、日本はアメリカへの依存度を高めていった。

輸出の躍進に加え赤字国債の発行による軍事費・農村救済費を中心とする財政の膨張で産業界は活気づき、日本は他の資本主義国に先駆けて1933(昭和8)年頃には世界恐慌以前の生産水準を回復した。…(山川出版社『改訂版詳説日本史B2016年版、pp.347-348

 

脱線しましたが、その他の出題の仕方としては恐慌のダメージが深く、回復も遅いアメリカを選ばせるパターンや、アメリカ経済の底に近い時期の1933年にアメリカが開始したニューディール政策とその詳細(農業調整法[AAA]、全国産業復興法[NIRA]、テネシー川流域開発公社[TVA]やその後のワグナー法[1935])を問う設問、また同政策を実施したアメリカ大統領、フランクリン=ローズヴェルトを問うパターンなどが定番かと思います。ポイントとしては、ソ連、日本、アメリカと各国の事情をおさえておけば良いでしょう。

 

【データを用いた設問の注意点】

:これまで見てきた①~④は非常によく出てくる設問ですので、一度目を通したり、ポイントをおさえておくことは大切なのですが、単なる丸暗記自体にはあまり意味がありません。なぜかというと、こうした数値データはちょっと手を加えてあげるだけで全く異なるグラフや表が作れてしまうので、本質的な部分を理解していないただの丸暗記ですと対処できないことがあるからです。たとえば、以下のグラフは④の表をもとに作成したグラフです。同じデータでも、数値が書かれた表と、下のようなグラフで示されるのとではだいぶ印象が変わるというのがわかるかと思います。

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また、以下の二つのグラフは、①で使用したのと同じ数値データを用いて作成したものです。上記で紹介したものは積み上げ式の棒グラフでしたが、各国別の棒グラフと折れ線グラフにしてみました。こちらも、まったく受ける印象が変わるのがお分かりになるかと思います。このように、世界史におけるグラフや表を利用した問題では、どの部分に注目すべきかを素早く把握する必要があるのですが、そのためには基本的な世界史の知識を身につけ、頻繁に出題される設問での定番ポイントをきちんと把握しておくことが大切です。

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世界史を学習する上で意外と盲点なのが、世界史にはおろそかにするとその後の理解や学習効率が著しく落ちる基礎技能が存在するということです。「世界史なんて、どうせ読めばわかる」と思われていますし、「日本語で書いてあるし、ただのお話だから、暗記すればいいだけ」と思われています。実際、その通りでもあるのですが、ところがいざ実際に学習してみると思いのほか頭の中に入ってこず、勉強にかかる時間も積みあがっていきます。「おかしいな、こんなに勉強しているのに全然進まない…」と思っているうちに、だんだん嫌になってきて「もう、いいや」となってしまう…世界史を教える側としては本当に悲しいことです。本来、世界史とは謎アリ、戦いアリ、エロアリ、どろどろの人間関係ありの人間ドラマの集合体であって、最強の大河ドラマです。深く学べば学ぶほど味が出る、やりこみ要素アリの本当に面白いものなのですが、意外にも入り口で躓いてしまう人が結構な数います。

実は、「英語で単語や文法を知らないと話が(本当の意味では)分からない」、「数学で公式を覚えたり、計算力を身につけないと高度な問題が解けない」のと同じように、学校における一つの教科として世界史をとらえた場合、身につけないと理解が進みにくい技能が二つあります。

一つ目は、「〇〇年=〇〇世紀」の変換を瞬時にできるようにする能力です。「何だ、そんなことか」と思われるかもしれませんが、これを「頭で考えることなしに」できる人は意外に少ないのです。「頭で考えない」というのは、脊髄反射的に「パッ」とわかる、ということです。青い色を見たときに「青」と言ったり、「900円買って1000円払ったからお釣りは100円」ということを計算することなしに理解するのと同様に、「1689年」と言われたら「ああ、17世紀後半か…」と即座に理解できるようにしておかないと、どうしてもテスト向けの世界史の学習は効率的に進みません。「ルターの宗教改革は1517年の九十五か条の論題から始まったわけですが…、当時は16世紀前半なわけですけれども…」という説明を学校の先生がしたり、教科書やら参考書に書いてあるときに、「パッ」と分かる人は特に抵抗なく言っていることが頭の中にスッと入ってきます。一方、この変換がすぐにできない人は「ん?1517年だから…151足すので…ああ、16世紀…で、いいんだよ、な…?」となってしまい、どうしてもワンクッションというか、「ツマリ」のようなものが生じてしまうのですね。たとえて言えば、英語の長文を読むときに分からない単語をいちいち辞書で引かないと先に進めないときのようなもので、これが思いのほか学習効率を落としてしまいます。

二つ目は、出てくる地名がどこなのか、初出の段階で地図上に思い浮かぶように確認しておくということです。世界史では当然のことながら、世界各地の地名や国名が出てきます。これを重要語句や人名とは直接関係ないからとうろ覚えにしてしまうと、「〇〇年=〇〇世紀」の場合と同じように「ツマリ」を生じてしまってまともな勉強になりません。ためしに、世界史を勉強すると出会うことになる地名について、いくつか列挙してみましょう。

 

・イラク、イラン、インド、パキスタン、アフガニスタンを東から順に並べられますか?

・「アナトリア」ってどの辺ですか?

・「トルキスタン」ってどのあたりですか?

・インダス川とガンジス川、どちらがインドの東側を流れる川ですか?

・フランス、オーストリア、ドイツ、ポーランドの位置関係がわかりますか?

 

…いかがでしょう。案外、難しいものですよね。ですが、世界史ではこれらの知識は「前提」であって、しかめ面をして学ぶものではありません。日本史で言ったら、「大阪、名古屋、東京を西から順に並べよ」と言っているようなものですからね。

ですから、先生は当たり前のように「ドイツのヒトラーは、オーストリアを併合すると東方へとドイツの生存圏を拡大するためにポーランドへと侵攻し、これが第二次世界大戦の始まりとなったわけですがァー…」と授業を進めます。地図が頭に入っていなかったらイメージのしようがありません。そこで生徒はおっさんのがなり声を子守歌代わりに聞きながら「がァー、じゃねぇよ。くた〇れ」と悪態をついて机の中に沈んでいきます…。 

ですから、多少の苦労をともなったとしても、その地名がどこかというのは最初に目にした時に把握しておくべきなのです。幸いなことに、今は昔と違っていちいち地図帳を調べる必要がありません。ちょっとGoogleやらYahooで地名を入力すれば、すぐWikipediaのページが出てきて、それを開けば地図は載っています。いちいち地図帳の索引から調べなければならなかった我々の高校生時代とは大違いです(マジでうらやましい)。

 

 本稿では、地理の問題はとりあえず置いておいて、「世紀」の変換について簡単に解説してみたいと思います。これは、ほんのちょっとの練習でできるようになりますから、最初に身に着けておきましょう。

 

① 紀元(後)の場合

 紀元とは、本来は「ある出来事がおこった年を始点として時間を測定する際の、始点となる年」のことです。ですから、世界にはいろいろな「紀元」があります。たとえば、イスラーム暦の場合には、預言者ムハンマドがメッカからメディナへと遷った「ヒジュラ」のあった年を紀元とします。

 現在使われている西暦は、イエス=キリストことナザレのイエスが生まれた年を紀元として数える年代測定法です。

プレゼンテーション1
 
 もっとも、研究では実際にイエスが生まれたのは紀元前4年頃らしいと言われていますので、西暦の紀元とはズレるわけですけれども、事実が判明するたびに紀元を動かしていたら「あ、今年2021年だと思ってたら今度から2025年になるらしいわ」みたいなことになって厄介ですので、昔から紀元とされる年がそのまま使われています。

 イエスの生まれた年=「紀元元年(1年)」として、そこから2、3、4…と数えていきます。つまり、西暦2021年というのは、イエスが生まれた年を1とした時に、2021番目にあたる年なわけです。「世紀」というのは、これを100年ごとにまとめたもので、紀元から数え始めて100年までが1世紀となります。つまり、「紀元元年~紀元100年」までが1世紀、「紀元101年~200年」までが2世紀となります。

 理屈ではそうなるのですが、すぐにパッと思い浮かべるのはちょっとした練習が必要です。1の位が「0」以外の年は、年数の100の位に1を足した数が「世紀」の数になります。たとえば、

 

・64年→1世紀(百の位は0なので)

・375年→4世紀

・726年→8世紀

・1492年→15世紀

・1871年→19世紀

・2021年→21世紀

 

となります。ただし、1の位が「0」の時だけはちょうど100年目になりますので、百の位の数字がそのまま「世紀」を表す数となります。たとえば、

 

・300年→3世紀

・1600年→16世紀

 

となるわけです。301年は4世紀、1601年は17世紀ですね。

これは慣れるとほんとに簡単です。簡単な練習用の動画を気分で作ってみましたので、利用してみてくださいw

https://youtu.be/cGbctvfQE7s

 

② 紀元前の場合

 紀元前の場合も基本的には紀元後の数え方と一緒です。「紀元元年の前の年」が「紀元前1年」となり、そこから100年間が「紀元前1世紀」となります。つまり、

 

紀元前1年~紀元前100年=紀元前1世紀

紀元前101年~紀元前200年=紀元前2世紀

紀元前201年~紀元前300年=紀元前3世紀

 

となるので、紀元前285年は「紀元前3世紀」となり、紀元後の数え方と特に変わりはありません。ただ、注意しておきたいのは、紀元後と紀元前では数字の増える方向が逆になりますので、世紀の前半と後半が逆転します。つまり、数字の多い方が世紀の前半、少ない方が後半となります。これは、感覚的につかんだ方が理屈で考えるよりも早いと思うので、図示してみましょう。

紀元法2
上の図を見ると分かる通り、たとえば紀元前1世紀は紀元前100年から始まり、紀元前1年で終わることになります。ということは、紀元前96年は「紀元前1世紀の前半」ということになる一方、紀元前15年は「紀元前1世紀の後半」となるわけです。この紀元前の世紀の前半と後半を認識することは少し難しいのですが、ここまで身につけてしまえばまず怖いものはありません。この技能は地味ではありますが、世界史を学習する上では大切な技能になるので、早いうちに身につけておくとよいと思います。
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どうも、週末体調崩していたので更新が遅れました。東大の2014年解説の方も準備中ですが、ちょっと本業の方が忙しいものでもう少しかかります。一週間以内にはUPしたいなぁと思っておりますので、もう少し待ってくださいね。

さて、今日はそんなわけでとりあえず頭を絞らなくてもサクサク書けて、かつできる限りみなさんの役に立つようなことを書こうと思っていたのですが、思いついたのがコレです。

 

「受験までどんな風に何を勉強したらいいですか?」

 

今日はこれについて、大まかな指針を示せればなぁと思っています。ついでに、いくらかの勉強法についても簡単に紹介します。さて、よくあるこの質問なのですが、個別の対応をすることはそれほど難しくありません。普段からその人の力量や授業に対する姿勢、質問の際の勘の良さ(または鈍さ)、志望校、現在進めている勉強の内容などなど、いくつかの質問をこちらからすれば、「ああ、この子ならこれぐらいの勉強をこういう形で進めるのがベストじゃないかなぁ」という絵がある程度は描けるからです。

もっとも、理想を言えば、こうしたアドバイスは後のケアもあわせてすることが大切ですね。たとえば、5月の段階で理想だと思った進め方でも、夏休みをはさんでその人がどんな勉強をしたかによって、9月の段階では理想形ではなくなることもあります。予想以上に学習が進んでいればペースアップを、逆に予定の量がこなせなかったら仕切り直しの調整をしてあげる必要があるのですね。

本当は、この微調整を各受験生が独自に行えるのが最もよいのです。「自分はこれだけのことができるようになった」とか「自分にはまだこの部分が足りない」ということをできるだけ具体的に把握して、そのための対処を練るということの繰り返しを自然に行える受験生は強い。勉強の仕方というものを心得ていますし、こうした自己分析を正確に行える人はその時々の模試の結果にも揺れません。たとえ一時的に成績が落ち込んだとしても、「ここをしっかり補強すれば大丈夫」、「むしろ今回のテストで覚えていないところがはっきりしてよかった」など、自分の力を伸ばす(成績を上げる、ではないところがミソですね)ためのヴィジョンを持っていますから、必要以上には気にしないわけですね。ただ、そうした「しっかりした人」でもやはり我々「教えること」を専門にしている人間とは経験値の差がありますから、不足している情報というのはどうしてもあります。そこをどうやって補ってあげたらいいのかを考えることは、アドバイスをする時の醍醐味でもありますし、気をつかうところでもあります。

 

ただ、上の質問(受験まで何をしたらいいか)に「汎用の答え」を用意しろ、と言われるとこれはなかなか難しいですよね。その人が高1なのか、高3なのか、浪人生なのかによっても違いますし、4月なのか、夏休みなのか、11月なのかによっても変わりますし、目指す目標によっても大きく変わります。ですから、今日お話しするのはあくまでもいくつかのケースを仮定の話として想定した場合、「最低限これだけはやっておくとあとは五分五分で勝負できるんじゃない?」というくらいの内容を示すつもりでいます。主に対象は高校3年生、または来年の受験を見すえた高校2年生に向けてのお話だと思ってください。高校3年生であれば、「自分はそれだけの量をこなしているかな?」というのを目安にしてもらえればいいですし、高校2年生であれば来年のその時期に「あ、最低でもこのくらいのペースでやればいいんだな」といった目安として活用してもらえればと思います。

 

よく聞かれるのですが、「最大でどれくらいやればいいですか」という質問に対しては「ねぇよ、そんなものわw」とお答えします。勉強に上限なんてありませんよ。できるなら体壊さない程度にやれるだけやったらよろしいのです。当たり前のことですが、体壊してしまったら何にもなりませんからね。でも、本当に勉強に上限はないですよね…。マニュスクリプトはさすがに読めますが、曲がりなりにも歴史研究に携わってたくせに古英語もロクに読めなきゃラテン語もダメとか…ほんとに…落ち込むわぁ。やってもやってもキリがないのが学問というものですが、それでも当座の目標達成に必要なラインというものをクリアすることが大切です。高校世界史には幸い、ある一定の枠組みや上限が設定されています。まぁ、どんなにハイレベルな大学でも、『詳説世界史研究』1冊丸暗記できていれば、そうひどいことにはならないはずです。

さて、それではいくつかのケースにわけてどれくらいの量を消化すればいいかを考えてみましょう。具体的な勉強法などは別稿に譲ることにして、まずは分量としてどの程度を見ておけばいいのかを示しておきます。

 

[4月から勉強を開始する場合]

   すでにある程度の通史の履修(半分以上)を終えており、世界史の基礎的知識は頭の中に入っている。

A 目指すのは東大、一橋など論述がメインの難関国公立だ。

 →9月までを目処に以下のものを終わらせましょう。

 ・志望校過去問を過去20カ年にわたり、週1ペースで研究しましょう。

   (月4回だとして、5か月で[夏明けごろ]20カ年分が一周できます)

   ・『詳説世界史研究』、または同レベルの情報量を持つ参考書やプリントを使っての暗記作業。

   ・難関私大向けの問題集(記述式)を少なくとも1冊、できれば2冊。

    :具体的には、簡単なところで『東書の世界史B問題集』、『山川の世界史問題集』、『Z会の世界史100題』あたりは単元ごとに分かれているので使い勝手が良くていいですね。

   ・センター向けのマーク式問題集を1冊。

    :それほどの分量はいりません。駿台の青本(実戦問題集)1周程度で十分かと。

  B 目指すのは早稲田・慶応などの難関私大だ。

    →過去問演習は夏休みに入ってから少しずつで十分です。それまではとにかく通史の把握と暗記に力をさきましょう。9月までに以下のものを終わらせるつもりで。

    ・『詳説世界史研究』、または同レベルの情報量を持つ参考書やプリントを使っての暗記作業。

    ・難関私大向けの問題集(記述式)を2冊(基礎編と応用編)。

     :できれば2周以上行いたい。

    ・センター向けのマーク式問題集を1冊。

     :2度解く必要はないが、見直しに力を入れること。

  C マーチ志望、またはセンターレベルの問題で8割程度をとりたい。

    →9月までに以下のものをつかって通史を抑えましょう。

    ・『詳説世界史B』クラスの学校教科書1冊を丸暗記。余裕があるようであれば『詳説世界史研究』に切り替えも可。

    ・質の良い記述式問題集を1冊、じっくりと仕上げること。

     :解くだけで終わらせず、解きながら特に気になる箇所のまとめや、後で見直せるように問題へのチェックを怠らないこと。できれば、2周、3周と繰り返すと良いですね。

    ・センター向けのマーク式問題集を1冊。

     :同じく、見直しに力を入れること。

 

  全体を通しての注意点

1、見直しが命。

:問題は素早く解く。(論述は除く。大問1問に10分かけるようでは遅い。)見直しにはたっぷり時間をかける。(イメージとしては、大問4つを3040分で解いたら見直しには1時間半。)

2、東大の場合、日本史がメインの時は世界史にかける時間はそこまでこだわらなくてもよい場合もあります。たとえば、『詳説世界史研究』ではなく、『詳説世界史B』をはじめとする教科書で基礎を把握し、残りは問題を解く中で補っていくなど。ただし、これは社会であまり点数を期待していない(英・数・国で点を取りに行く)タイプの受験生に限ります。

3、早稲田や慶応でも、論述のある学部については東大などに準じた形の学習が理想。

    :特に、早稲田の法学部は本格的な論述対策が必要。慶応の場合はもう少し短い形の論述が多いが、経済の論述はデータ解析などの特殊型が主なので、やはり過去問にあたることが望ましい。他にも、短い論述の対策としては前に紹介したZ会の『段階式世界史論述のトレーニング』などや、東大の小論述で練習を積んでおくとよいでしょう。

4、マーチ志望、センター対策の場合はとにかく基礎力(=知識量)をつけること。

:各予備校の模試で偏差62くらいの成績が出るまでは正直なところ基礎的な知識が不足しています。A、B、Cランクの知識で言えばBランクの知識が完全には頭に入っていないです。A、B、Cランクの知識とは、Aランクが一番基礎だとすると「名誉革命」、「ファラオ」、「カノッサの屈辱」、「ハンムラビ法典」、「始皇帝」、「長安」あたりはAランク。Bランクというと「ユトレヒト条約」、「立法議会(仏)」、「鎬京」、「一条鞭法」、「ソロンの改革」あたり。Cランクというと「カルロヴィッツ条約」、「ラシュタット条約」、「アイン=ジャールートの戦い」、「マウントバッテン」、「コムネノス朝」あたりでしょうか。多少手加減はしてる感がありますが。覚えにくいものは挙げればきりがないですね。「ラクナウ協定」とか「呼韓邪単于」とか。要は、ストーリーを構築するうえで必要な要素である、国、王朝、君主、基本的国制、都、戦争、条約、経済・文化のうちメジャーなもの、などを代表的な国や王朝についてうろ覚えでなくしっかり覚えているかどうかということです。マーチやセンター受けるだけならチョーラ朝とパーンディヤ朝の細かい区別をガッツリ覚えている必要はないですし、五代十国のあたりの細かな知識(石敬瑭とか)もいりません。でも、「唐」とか「宋」とか「明」とか言われた時に、建国者や代表的な皇帝、都がうろ覚えでは困る。つまり、そういうことです。

 

   まだ世界史の世の字も入っていない気がする。

:どこを目指すにしても、まずは基礎力が絶対的に不足しています。基本的には①のCのケースをベースとして、急いで世界史の基礎知識の充足をはかりましょう。まだ十分間に合います。入り口として使うものが「詳説世界史B」レベルの教科書ではキツイという場合には、「自分に合う」と感じる教科書や参考書を使っても構いません。ただ、そうした場合でも、できるだけ情報量は多いものを使う方がよいと思います。「覚えていない」と感じていても、実際には何度も見ているうちに体や感覚が「何となく」覚えて、それが選択問題なので効果を発揮したりします。ですが、そもそも情報がゼロではそうした感覚も養いようがありません。「基礎部分だけを覚える」と目標を定めるにしても、まずは一通りの情報に目を通すこと、そして問題集を解くときには解説から目をそらさないことがとても重要です。

 

[10月以降、勉強を進めるのであれば]

   すでに4月から東大などの国公立、早稲田慶応向けの勉強を十分に進めてきた。

・過去問演習を繰り返します。

  :国公立の場合、演習量を増やすのは12月に入ってからでも構いません。直近510年分程度を手厚く、繰り返し演習してみましょう。他校の過去問にもそろそろとりかかかるべきかと思います。基本的には問題演習をベースとして、不足した情報を自分のまとめ教材に書き込む、それを暗記する、苦手箇所をチェックする…を反復することです。その際、必ず自分がどこで間違えたのかや、何点くらいとれたか(配点がわからないときは単純に問題数でパーセンテージ計算でもよい)をチェックしておくことです。1度解いて終わらせず、必ず後で再度解いて前回と比べてみるという作業が必要になります。論述問題については、時間がない場合、あまりにも昔の問題を繰り返す場合には、メモや表、マインドマップの作成で代用しても構いません。とにかく、きちんとした形で「自分の頭を使って整理」をし、「それが正しかったかを確認」する作業を行うことが大切です。

 ・本格的にセンターに取り組みます。

  :センター型の問題集やセンター過去問に取り組みましょう。基本的な目安としては、「実戦問題集2周+過去問5年分×3周(または過去問10年分×3周)」あたりが基本の目安です。これを、大学過去問と同じような手順で進めましょう。ここでも、見直しが命です。

 ・特に見直しておきたい部分だけ、単元別の問題集で復習したり、再度まとめノートをつくるなどする。

  :もうすでに、「書いてまとめる」作業は9月までの段階で終わっています。書いている時間はもうありませんが、どうしても再度関係性を把握したい場合などについてはまとめノートを作ってみるのも良いでしょう。

 ・9月までに解いた問題集の見直しを行う。それが十分にできている場合に限り、力試しに他の問題集を解き進めてみる。

 

 だいたいこんなところですね。1日に社会に取れる時間は2時間といったところでしょう。「週に過去問×2、センター×2、問題集の大問×4程度を解いて、残り二日はまとめの時間」くらいが妥当なのではないでしょうか。(もちろん、やる気になればもっとできますが、他教科との兼ね合い次第ですね。)それでも、「月に過去問×8、センター×8、問題集の単元×4を解いたう上でまとめ」くらいはできますから、12月の冬休み直前ごろまでには「過去問20年分(10年分×2)、センター20年分(10年分×2)、問題集の単元×12にプラスしてまとめや暗記をする時間」がとれることになりますね。あとは、連休や冬休みを利用してペースを巻いていけば、通常のペースで勉強したとしてもかなりの分量の勉強をこなすことができるはずです。その上で、センターが終わる前後からさらに2次試験に向けて大学過去問を繰り返すという作業になります。授業がある場合はその授業を効果的に使うと消費時間が節約できます。大切なことは、継続して、定期的に、大学過去問とセンター過去問やマーク問題集を交互に進めていくことです。いっぺんにやろうとすると必ずムラができます。

正直に言えば、この段階では塾はおすすめしません。塾は「わからないことを紐解く」、「知らないスキルを教わる」ための場所で、「自分の中に情報をインプットし、定着させる場所」であることは稀です。通常、人はスキルを教わってもすぐには活用できません。それを活用できるようになるにはいくらかの時間が必要になるわけで、10月を過ぎた段階でスキルを与えられるくらいなら、一つでも多く自分の中に情報をインプットする時間を確保するべきです。ただし、以下の条件に合う人、または塾に通っていることで自分の力が着実にレベルアップし、役に立っているという人はこの限りではありません。

 

 ・すでに「暗記」の段階は概ね終了したので、あとは「考えを練る」ことや「解答にいたる思考のプロセスやエッセンス」の方を特に重点的に学習したい。

 ・ある程度は「暗記」できている。そのため、塾で授業を聞いたり、問題を解いたりしているうちに自分が忘れていた箇所を自然に思い出すことができ、自分で勉強するよりも効率がいい。

 ・正直、全く理解できない部分があるので、とにかくそのわからない部分をすっきりさせないと前に進めないので塾で解説してほしい。

 

このような場合には、ある程度インプットのための時間を捨てても塾に通う意味はあるかと思います。

 

   9月までさぼっちゃって、まだ全然準備できてないよ…。

:これは正直やばいです。ちょっと荒療治が必要になります。

 

・まず、センター向けの練習(過去問・実戦問題集・マーク式問題集)は定期的に解く・見直しをする時間を作りましょう。

・用いる教科書はやはり「詳説世界史B」クラスの学校教科書が良いでしょう。その上で、試験に頻出の「お前、ここは覚えていないとさすがにやばいだろう」というところだけはみっちり覚えましょう。具体的には、古代ローマ・ギリシアとか、中国で言えば秦・漢・唐・宋・明・清あたり、近代史で言えば絶対王政・啓蒙専制君主・英仏米革命・ナポレオン・帝国主義、現代史なら一次大戦・世界恐慌・二次大戦あたりでしょうか。基準がわからなければ、学校の先生や塾の先生、世界史のよくできる友達に「ここだけは覚えろ章」をピックアップしてもらいましょう。そして、その他の部分は太字だけ覚えて話の流れを理解したらあとはシカトしましょう。

・その上で(あるいはそれと並行して)、「ここだけは落としたくない」大学の過去問を重点的に学習しましょう。各大学には大学ごとの、さらに学部がわかれている場合には学部ごとの設問の特徴のようなものが多かれ少なかれ存在します。それをしっかり把握していると、余分な労力を極力使わずに必要な部分だけをピックアップして強化することもある程度は可能です。ただし、その場合以下の3点に注意してください。

 

 A:「落としたくない大学」とは第一志望の大学とは限りません。たとえば、「第一志望に合格できなければ浪人も辞さず!」と思っている場合には第一志望の大学に重点をおいて勉強するので良いのですが、もし「どうしても現役で!」と考えている場合にはたとえば「この大学だったら行ってもいい第2志望、第3志望の大学の過去問を重点的に学習」という安全策もなくはないです。9月までの段階で全然勉強していないという前提であればむしろアリでしょう。

 B:科目ごとの相性にも気をつけましょう。たとえば、ある大学の社会の過去問を重点的に勉強して、「よし!世界史はばっちり!」と思ったらその大学の英語がどうしても苦手で、「別の大学の世界史をやっておけばよかった…」なんていうことは十分にあり得ます。どの大学の過去問を重点的に学習すればよいのかということは、世界史だけではなく、総合的に判断しましょう。

 C:以上の戦略はセンターについては度外視していることを忘れないでください。もし、一部の単元や項目だけに特化した学習の仕方をするのであれば、それとは別にセンター向けの勉強を少し厚めにやっておきましょう。もちろん、センターを受験しないというのであれば、その限りではありません。

 いずれにしても、この方法で身につくのは世界史のほんの一部に過ぎません。ちょっと視点を変えた問題や、過去問とは全く違う傾向の問題が出てきたときには完全にお手上げです。余裕が出てきたら、できる限り他の学校、単元、問題集にも手を出して、インプットの幅を広げることを忘れないでください。

 

 さて、以上になりますが、いかがでしたでしょうか。かなり簡潔にまとめたので十分に書けなかった部分もあります。特に、具体的な勉強法ですね。問題集はこんなふうに進めようとか、できなかったところのチェックはこうするとあとでわかりやすいとか…時間のある時にその辺の工夫もあげていければと思います。人によって状況は様々でしょうが、その時その時で適した学習法は異なってくるかと思います。遮二無二学習を進めることが何より大切ですが、少し余裕ができたら自分のすべきことを整理してみる時間も大切だと思います、頑張ってください!

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 「プリントが全然覚えられないんです。頑張って勉強はしているんですが、間に合わなくて…」という相談があります。実際「ものすごく」とまでは言わないにせよ自分が使える時間の中できちんとそれなりの時間をかけてやっている様子ですから、本人が困っている様子は伝わってきます。

 ちなみに私が「ものすごく頑張る」といった場合、吐き気をもよおすレベルで勉強することを指しています。10時間ぶっ通しで『詳説世界史研究』とにらめっこ」、「10行分の文章丸ごと暗唱」とかは高1の頃にすでにザラでしたが、英語と数学はとことんやりませんでしたw ある意味何が「やる」で何が「やらない」ということなのかはよくわきまえていましたw 
 英単語ターゲットは
14001900の両方をセンター試験が終わってから購入して、早稲田の2次試験までの一か月強で全部覚えました。私は高3の頃は(世界史以外)全然勉強していなかったのと、コミュ障のために情弱だったので、そもそもターゲットの存在自体をセンター試験終わるまで知りませんでしたw センター試験終わったところで「ヤバイ、やらなきゃ」と思って「こたつ・みかん・ターゲットw」みたいな状態でこもり切りでやったら意外と覚えられました。吐き気はしましたが。結局浪人しちゃいましたが、ターゲット覚えただけで英語の偏差は10以上上がりました。いかに自分が勉強していなかったかがよくわかりました↓ おかげで数学に集中できたので最終的には東大や一橋に通るだろうくらいの成績までは上がりました。

 

 現代文ができる人は、英語は英単語さえ覚えれば長文の内容が何となくわかるようになりますので、あとは努力次第でどうにかなりますよ。私が英語をそれなりに扱えるようになったのは30歳過ぎてイギリスに留学してからです。私、脱サラして(コミュ障で仕事嫌いなので)イギリス史専門の研究を進めたのですが、さすがに自分のお金をかけて後がない勉強を強いられるとやりますね…。 英語は英文の学術専門書の1~3冊も真面目に自力で読むようになれば自然と身につきますので、高校生のうちに苦手だからと言って気にしなくても大丈夫です。会話はしゃべらないとだめですけどね。未だに会話は苦手です。コミュ障なので。そのうち留学の話なんかもUPしてみましょうかね。手続きとかえらい面倒でしたし、お金どこから引っ張ってくるとかでも結構苦労しました…。

たまに気にされるので大学受験の結果をお伝えしておくと、浪人して一橋・早稲田×4・慶応などに合格し、11戦9勝でした。受けすぎですよね…でも怖かったんですよ。車の免許を取る金だと思って!と親に土下座しました。でも早稲田に進学したらめっちゃ怒られましたw 落ちたのは上智の法(上智の英語はエグイ!大問1題あたりかけられる時間が10分ないって何だw)と、東大の後期です。センター試験でやられました。はっきり言って能力不足です。ちゃんとやるべきでした。いや、ちゃんとできないのだからそれも含めて能力不足ですね。昔、弟に「兄ちゃんはやれば何でもできるのにやらないから嫌いだ!」と言われたことがあります。弟よ、それは違う。兄ちゃんは「やれない」人間だから、「やれば」というifは意味をなさないのだ。つくづく「努力を継続できる」というのは得難い「能力」なのだと痛感します。

 

あ、脱線しまくりですね。そうそう、「プリントが覚えられない」と困っている受験生がいるときには、以下の方法を示してあげて一緒に暗記してみると「全然覚えられない」と言っていた子でもそれなりに頭に入るようになります。人によっては急激に改善して覚えることが苦にならない子も出てきます。そこで、今回は実際にプリントを使いながら、どうやって覚えるのか、その手順を示していきたいと思います。ちなみに、今回使うプリントは私が講習のために作った通貨・金融史のプリントの解答です。

 

  まず、絶対にしてはいけないのが、ページ全体に目を通して覚えて、再度一番前に戻る、という手順を繰り返すやり方です。(画像はクリックで拡大、さらにクリックでもっと拡大できます。)

 

 スライド1

 

これははっきり言って一度にインプットする量が多すぎて処理しきれません。冒頭に戻った時にはすでに内容を忘れているから、また読んで…の繰り返しで非常に効率が悪いです。効率を高めるためにも、まず以下の手順を試してみてください。

 

  とりあえず、何が書いてあるのか話の概要を理解する。

:「人類の誕生」について書いてあるのか「フランス革命」について書いてあるのかくらいの大雑把な内容くらいは把握しておきましょう。

 

  プリント全体の地図を描く(プリント全体をブロック化する)

:上のプリント(画像)で言えば、1に「鋳造貨幣」、2に「紙幣」についての話が書いてあるんだな、くらいの理解で十分です。

 

  ③で理解したテーマごとに、自分がまず覚えるべきブロックを見定めます。


スライド2
 

テーマを確認するためにも、これから自分が覚えようとする内容が何であるか、見出し語には注意を払いましょう。


 スライド3

 

  少し量が多いかな、と感じたらそのブロックをキリのいいところでさらに細分化してみましょう。基準としては、覚えるべき内容が4語~10語程度が無理もなくて最適です。


 スライド4

 

  自分で決めたブロックだけを集中してものすごく短い時間で覚えます。覚えるべき言葉が4語であれば、長くて2分もあれば十分でしょう。肝心なのは、2分と時間を決めたらそこでやめること。また、周辺の内容もある程度は把握しておきましょう。


スライド5

 

  2分経ったら、覚えているかどうかをチェックしましょう。一人でやってもいいですが、友達と出し合いっこをする方が手間もかからず時間も省けて効果的です。もし、半分程度しか覚えていないようでしたら再度時間を短くして覚えます。おそらく、これが終わる段階で覚えている内容がゼロ、ということはあまりないはずです。



  終わったら、次のブロックも同じ手順を繰り返します。できるだけ、単語だけに目をとらわれるのではなく、関連事項と結びつけるようにしましょう。それがヒントになって思い出せることが増えてきます。


 スライド6

 

  いくらか進んで一つのテーマがおわったら、全体を把握するために再度目を通して頭の中に入れた知識を「ならし」ます。2~3分で十分でしょう。

 

 スライド7

 

  最初のブロックが終わったら次に進みます。


 スライド8

 

おそらく、プリント1枚につき4~5分割くらいが一回に覚えるのに最適な分量です。「無理がない」というのが一つのポイントです。過度な負担をかけると、疲労感だけがたまって肝心の内容が頭に入っていないということになりがちです。全ての作業が終わることには、20分から30分程度でプリント一枚分の暗記が完了しています。

 

スライド9
 
スライド10
 
 

基本的な手順は以上の通りなのですが、効果的に行うためにも、以下の点に注意しておくとよいでしょう。

 

・ダラダラとはやらない。超短期、超集中!なので、疲れてきたら休みましょう。その意味でも、一夜漬けはおススメしません。1時間、長くて2時間半が限度でしょう。

・中国史の場合、漢字の書きがあっているかどうかにこの段階でこだわるのはやめましょう。まずは「ことば」と「内容」が頭に入っているかどうかにこだわって、漢字などの細かい部分は最後の「ならし」の時に確認して、怪しいものがあればマーカーや目印などでチェックをつけておきましょう。できるだけ一度にいれる情報量が少なくなるようにするのがコツ。

やりっぱなしにしない。一度覚えたら、その日のうち、3日後、一週間後、どこでもいいですから必ず「思い出す」作業を行いましょう。一度覚えたことは、3日~1週間たつと急激に失われるそうですが、それまでに再度「思い出す」ことで定着を図ることができます。その際、実際にプリントを開く必要は必ずしもありません。むしろ、自分で「思い出す」作業を行うことが肝心です。極端な話、授業を聞いた後で帰りの電車の中で「今日、先生は何の授業をしてたっけなー」と考えるだけでもかなりの意味があります。

・何度かやっているうちに、「いつもここだけ忘れている」、「ここだけは注意しないと」というところがでてくるので、そこにマーカーなりで印をつけておくとやり直すときに便利です。やり直しをする時には、すでに覚えているところは省いて、覚えていないところだけを集中してインプットするようにすれば、時間も労力も短縮できる上に、自分が覚えなくてはならない対象に集中することができます。勉強すればするほど自分の労力が減るような学習をすることが効果的です。

 

今回の「プリント暗記法」は以上です。他にもいろいろ工夫の仕方はありますが、まずは自分の出来る範囲で試してみてください。

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