世界史リンク工房:コーヒーを飲みながら歴史を語れ

大学受験向け世界史情報ブログ。 受験のティータイム・コーヒーブレイクに目を通して、一味違う歴史的視点を我が物に!

カテゴリ: HAND's BOOK(書籍紹介)

『東書の世界史B 入試対策問題集』(東京書籍)

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今回はちょっとマイナーな問題集をご紹介します。東京書籍が出している『世界史B』の流れに沿って作られた『東書の世界史B 入試対策問題集』です。これも教科書と間違えられると困るので一応示しておきますと、下が教科書の『世界史B(東京書籍)』。
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 ちなみに、よく教科書の良し悪しが問題になることがあるのですが、正直山川とか東書とか帝国の『世界史B』であれば、多少の視点の違いこそあれ、受験に対応するのにレベル的に問題があるということはまずありません。細かい違いにこだわる前にまず全部覚えてしまうべきですw そもそも、難関大の場合、教科書ベースで勉強することにこだわる必要すらありません。かといって、教科書ベースで勉強したらアカン、というわけでもありません。その人の状況次第ですよね。世界史で偏差が65欲しいのか、75以上欲しいのかでも違いは出るでしょうし、世界史が得意科目・得点源の人と、苦手科目・足を引っ張らない程度にと考えている人でも異なります。ついでに言えば、受験に合格するだけが勉強ではないわけですから、「もっと深いとこまで行ってみたい」と思うのであれば山川の『詳説世界史研究』あたりを手がかりに色々な歴史の概説書に手をのばして、受験を度外視した勉強をしても構わないわけです。そうした学びを「無駄」として退けるのは行き過ぎた効率主義というもので、そういうことばかり気にしている人が官僚になると基礎研究に金出さないとか色々言い出すことになるわけですw

 まぁ、それはそれとして、東書の『世界史B』の良いところは最新の歴史学の研究成果を取り入れることに敏感で、意欲的なところですね。あちこちにあるコラムも、ものによってはすでに古くなっている感もあるものはありますが、興味深いものが多いです。もっとも、それが受験にダイレクトに役立つか、と言われると一長一短といった感じがします。  

 

一方、こちらが問題集の方です。


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ちょっと画像ではよくわからないのですが、実物はもう少し紫がかった色をしています。外観は正直「売る気あんのか、これw」っていうくらい素っ気ないカッコをしていますが、問題集は中身なので、中身の検討をいたします。

まず、この問題集の良いところは以下の2点につきます。

・単元別であること。

・図表問題が多いこと。

これらです。

まず、「単元別であること」の利点ですが、これはやはり「授業で勉強した部分を小さなズレもなく復習することができる」という点です。東京書籍のHPには[教科書『世界史』(B301)傍用の入試演習問題集です。…(中略)…リード分の穴埋めと,下線部対応の設問(短答,国公立対応の記述,センター試験対応の正誤など)を効果的に設定しています。「概観とまとめ(教科書の章扉に対応)」や「横にみる世界史」(教科書の)「世紀の世界」に対応)など,教科書とのタイアップをはかっています]とあります。

https://www.tokyo-shoseki.co.jp/materials/h/2/695/

このように、教科書の内容に沿って作ってある問題集で、全部で155の問題(それ以外にテーマ史が13題)が用意されていることから、自分の学習した内容に合わせて復習を進めるには最適の問題集だと思います。例えば、「一週間学校で授業が進んだら、週末に進んだ分だけの問題を解き、できなかったところをチェックする」。これだけでもただ漫然と授業を聞いたり教科書を読むよりはグッと定着度が上がってくるかと思います。

 また、本問題集の利点として「図表問題が多い」という強みがあります。ざっと数えてみたところ、地図・写真・表やグラフなどが全部で200点以上あります。これは山川の世界史B問題集にはない強みです。こちらはこちらでレベルの高い問題集なのですが、こと図表ということに関する限りほとんどと言っていいほど掲載されていません。近年のセンター試験や2次試験を考えた場合、地図・図表問題に触れる機会がないというのは大きなデメリットであると思いますので、そうした部分を補い、早いうちに地理を確認し、図表問題に慣れることができるということはこの問題集の大きなメリットでもあります。

 

 ですが、どんなに優れた問題集にもイケていないところがあるのですから、当然この問題集にもそうした残念な部分はあります。大きいところでは以下の3点です。

・問題のレベルが難関大向けの内容としては物足りない。

・用語の意味内容に対する意識の低い部分が散見される。

・誤植や事実誤認が多い。

 まず、問題のレベルについてですが、東書のHPには[国公立大学2次・市立大学上位を意識した入試演習問題で構成されています]とか[別冊の解答編には詳細な解説を付し,「入試力」錬成に万全を期しました]とあります。このうち「国公立大学2次」というのは国公立でも数多くの大学がありますので間違いではないかもしれませんが、少なくとも東大・京大レベルの問題に対応できるだけの難度を維持できているとは思えません。レベル的にはセンターレベルまたはセンター+αレベルか、マーチの素直な問題くらいの難しさでしょう。また、解答も言うほど詳細だとは思えませんw ですから、世界史を習いたての人間がそれを復習するためや、一度学習はしたものの忘れてしまった人が忘れてしまった知識の再確認のために活用するには向いていますが、受験直前期の人間がさらに力を伸ばすのには明らかに不適です。そうしたことを目的とするのであれば前出の山川の問題集や各大学の過去問の方がはるかに適しています。

 また、ところどころに「これは問題としてはどうなんだろう」と思えてしまうような、用語に対する意識の低い部分が見られます。たとえば、「新石器時代」という用語がある場合、「この問題集は新石器時代をどうとらえているのだろう」と首をかしげたくなる部分があります。そうした定義が曖昧なまま正誤問題などの設問を作っているため、正答と誤答の境界線が曖昧になるというか、どちらにもとりうるという設問がちらほら見られます。もっとも、こうした設問は実際の大学入試でも見られるもの(下手をすれば正解が二つとかw)ですので、そこまで気にしなくてもいいと言えばいいのですが、まだしっかりとした知識を持っていない人にとっては混乱の元になる要素だと思います。

 最後に、誤植や事実誤認ですね。後から訂正が送られては来ましたが、ちょっとそのあたりで信頼度が落ちる部分はあります。

 

 以上述べたような短所はありますが、先ほどから述べているように、通史を習いたての人が、授業進度に合わせて復習を進めたり、世界史についての知識がだいぶ抜けてしまった人が総復習を手軽にこなすということを目的とした場合には便利な問題集かと思います。『世界史B』を学習したての高1や高2が毎週これを使って復習した場合、かなりの力がついてくるのではないでしょうか。やはり、教科書に準じて単元別になっているというところが最大の強みですかね。価格も900円と手頃で、まぁそのくらいの使いごたえはあるかなぁという気がします。偏差で言うと「~60前後」までの問題集という感じです。65こえてくる人には「割と簡単かも」と思えてしまうでしょうね。

 

(おススメの人)

・今、はじめて世界史の通史を勉強しているところで、その復習をしたい。

・『世界史B』を学習したての高1・高2である。

・基本的な知識を定着させたい。

・できるだけ図表問題にも触れてみたい。

・一度世界史を勉強したけれどもかなり忘れてしまったので総復習したい。

・東書の『世界史B』を使って勉強している。

・まずは偏差60UPを目指して勉強したい。

・まだ受験までにかなりの時間的余裕がある。

 

(おススメしない人)

・すでに世界史の基本知識は入ったのでさらに上を目指した勉強をしたい。

・偏差65以上がコンスタントにとれる。

・受験直前で2次試験対策を進めている。

・難関大受験を考えていて、すでに時間的余裕が半年を切っている。 

リンク工房的独断と偏見で選ぶ歴史マンガ1

横山光輝『史記』(小学館)

  さて、さっそく第1弾ですが、ここはやはり歴史マンガの王道、横山大先生を抜くわけにはまいりません。本当は『チェーザレ』あたりからはいろうかと思ったのですが、いや、やっぱり横山光輝です。

 横山光輝と言えば、最近日経電子版の広告なんかでも三国志が使われてますよねw

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 あれもシュールで好きですが、今回は三国志ではなくあえて『史記』を選びました。それはなぜかと言えば、三国志って面白いのですけど、世界史とか古典ではそれほど出てきませんし、受験に直結する知識とか、あとで役に立つエピソードって案外少ないんですよねw すごく有名なシーンを除けば、あとは三国志好きな人同士でしか通じない話だったりするものが多かったりします。(それでもまぁ、「桃園の誓い」とか、「三顧の礼」とか「泣いて馬謖を斬る」とか「出師の表」とか常識の範囲内のもの挙げるだけで案外キリがありませんがw)

 一方で、『史記』の方は春秋・戦国~前漢期までのいろいろなエピソードが出てくるわけですけれども、故事成語の由来などの古典知識から豆知識まで、とにかく出てくるものが幅広い。大人になって「読んでてよかった…」とそれこそ日経電子の版のキャッチコピーになってしまうような感想を持ってしまうと思います。たとえば、HANDの手元にはやっすいコンビニで売っていたワイド版の史記が数冊あるわけですが、そのうちの1冊をパラパラとめくっただけでも以下のような歴史的事実がずらりと並び、それをイメージづけることができます。

 

・『史記』の作者司馬遷が『史記』を完成させるまで

(宮刑になったりとかね…。子どもの頃ホンマに怖かったわ、宮刑。価値観変わったw)

・封禅の儀式とは何か

・前漢初期の匈奴対策と武帝期の遠征

・管仲と鮑叔(管鮑の交わり)

・春秋五覇(斉の桓公、晋の文公[重耳]など)

・屍に鞭打つ(伍子胥と平王)

・日暮れて道遠し

・倒行逆施

・臥薪嘗胆(呉王夫差と越王句践)

 

まぁ、ざっとこんな感じです。結局、古典とか漢文を「勉強してもなかなか話の内容がわからない」という人と「勉強しなくても何となく話の内容はわかる」という人の差というのは、もちろん才能云々もあるのかもしれませんが、結局は小さいころからこの手の話にマンガでも小説でも映画やドラマでも、または小さいころに買い与えられた「ことわざ辞典」的なものでも、触れているかどうかというのが大きい気がします。勉強って、真面目に座学したり演習するだけが勉強ではなくて生活すべてで学ぶものである気がしますねぇ。はじめから話の内容知っていれば解けるのは当たり前ですもんねw

 

 私もどちらかと言えば古典や漢文は勉強した記憶がありませんが、話の内容はなぜかスムーズにわかりました。逆に、「勉強」が必要な単語だけを抜き出して意味を聞くとか、文法の内容を答えるとかは真面目に勉強しだすまではめちゃくちゃ苦手でした。でも、文章の大意はとれる。そうすると、そちらの方が配点が高いから、そこそこ点数になったりするんですよねw すごく得した気分でした。でも、じゃあこの手のマンガとかを読めば点数になるんですか、と言えばそれは正直わかりません。だって、はじめからテストの点数が目的で読んでいるんじゃなくて、「面白い」から読んでたんですもの。たくさんのことが書いてありますが、その全てがテスト向けの知識じゃなくて、それこそくだらない豆知識みたいなものもたくさんありますから。知識や教養を身につけるって、きっとそういうたくさんの無駄の集積の上にあるもので、狩りをするように効率を追い求める先にあるものじゃない気がします。もっとも、マンガだけ読んでたわけでもありませんがw

 

 いずれにしても、史記はおすすめです。学校の図書館に『ブッダ』を置くのであれば(『ブッダ』も名作ですがw)、むしろ『史記』を置くべきだと思いますw それだけで平均点は3点から5点伸びる!(かもしれないw)

 難点をあげるのであれば、現代のきらびやかな絵のマンガに慣れ切った子どもたちにとって、横山光輝の絵柄は「なめてんのか」って気分になる可能性があるところですかねw それでも、たくさんの「ムムム」に免じて「それも味だよね」と思えば新たな世界が広がるかもしれませんw 少なくとも「バガボンド」(好きだけど)読むよりははるかに役に立つはずw

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「リンク工房的独断と偏見で選ぶ歴史マンガ」始めますw

 

 過去問解説にも少々疲れましたし、受験もひと段落着きましたので、当ブログのコネタにたびたび登場する歴史マンガの紹介コーナーでも作ろうかと思いますw

あ、過去問紹介やテーマ史、問題集紹介もこれまでと同じくやっていきますw

 

半分は個人的な楽しみのためですが、半分は真面目です。声を大にして言いたいのですが「マンガは歴史を勉強する上で馬鹿にしたもんじゃありません。」歴史を単に人から聞いた知識のままでとどめるのではなく、その血肉にするために必要なものは、何と言っても「ある時代、ある世界をどこまでイメージできるか」です。世界観を構築できないものに歴史観などというものが備わるはずがありません。優れた歴史家は、厳密な史料検証を行う前提があることはもちろんなのですけれども、史料の行間、空白、何気ない遺物の中からそれが書かれた、遺された時代に生きていた人々の感覚、思考、息吹に思いを馳せ、そこに近づこうとするものです。史料に書かれた字面だけを見て無機質な事柄しか抜き出せないのであればそんな作業はAIにでも任せておけばよろしい。

 

難しいですかね。具体的な例を挙げるとしましょう。これは私が世界史の授業を始めるときに必ず導入で行う話なのですが、みなさんには下の円は何色に見えますか?

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ほとんどの人は「緑」と答えると思います。ところが、下のようにするとそれまで迷いなく「緑」と答えていた人の何人かに迷いが生じます。

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こうなると、先ほどと全く同じ色であるにも関わらず、「青」と答える人が急増します。最初から2枚目の画像を見せた場合にはなおさらです。つまり、そこにある「事実(緑色の円がある)」自体は全く変化していないにも関わらず、それを受け止める人の文化的背景やある事実がどのようなシチュエーション、コンテクストのもとで存在するかによって、その事実の持つ「意味」は「緑」にも「青」にも変わるのです。

 同じように、史料に書かれた言葉、遺された遺物を、現代的な我々の感覚によってのみとらえても、それは決して本当の意味を伝えてくれませんし、どのような人が、いつ、どのようなシチュエーションで書いたのか、言ったのか、伝え聞いたのかを検証し、そこにこもる意味を類推し、とらえる必要があるのです。ですから、ものすごく単純な意味で「史料を読めば歴史がわかる」ともし考えている人がいるとすれば、それは入り口から出直すべきです。

 

 このことは、別に歴史的な事柄に限ったことではありません。例えば、あなたの机に「大っ嫌い」という走り書きが残されていたとしましょう。さて、この走り書きを残したのは誰か、どのような状況下で残されたのかによって色々と意味が変わってきます。

 

・あなたがいじめられていて、学校の下駄箱に無造作につっこまれていたとすれば

 →字面以上に悪意が込められているかもしれません。

 (ちなみにHANDは下駄箱に画鋲とか日常茶飯事だったのでグーしたくなります)

・あなたがお母さんで、残したのがさっきキツク𠮟った息子だとすれば

 →怒り、または後悔などがあるでしょうが、心の底から嫌いでしょうか?

・あなたがしばらく外国に行くことを聞いた仲の良い恋人だとすれば

 →愛情の裏返しかもしれません。

 

まぁ、全てこの通りだとは言いませんが、全てが同じ感情であるとはだれもおもわないでしょう。「大っ嫌い」と書いてあるからと言って、それが字面通りのことをしめすとは限らないのです。また、言葉それ自体が非常に曖昧なものだということもあります。ある人にとっての「高い」は他の人にとっての「低い」かもしれませんし、「赤」といっても「朱」もあれば「真紅」も「蘇芳」も「躑躅」も「梅重」もあるわけですよ。

 同じ時代ですらこれなのですから、何十年、何百年も時を隔てた歴史上の史料を読むにあたり、300年前のスコットランドのジャーナリストが「マジ、イングランドの連中むかつくよね」と書いていたからと言って、「あ、300年も前から今と同じようにスコットランド人はイングランドのこと嫌いなんだ、へー」と現代的な尺度でしか史料を読めないのであれば、少なくとも学問としての「歴史学」は向きません。

 もちろん、そんなことばかり言っていては、書いてあることをどこまで信じればいいのか、どのように読めばよいのか途方に暮れてしまいます。それを解決するために「実証・検証」という作業があるわけです。誰が書いたのか。いつ書いたのか。どのくらいの文書のどのくらいの部分か。前後の文脈は。当時の政治・経済・社会・文化的背景は。誰と仲が良く、誰と仲が悪いか。宗教的な信条は。他にも書いた手紙や著作はあるか。そこではどのようなことを書いているか。果ては、インクで書かれたか血で書かれたかまで、様々な要素を勘案していけば、最終的には類推に頼らざるを得ないわけですけれども、それでも何も知らないよりもはるかに確度の高い類推を行うことができるはずです。ですから、これは私の個人的な見解ですけれども「絶対に正しい歴史」というものはないと思います。歴史というのはその時代を生きた人、それを見出した人、それを読み解いた人の立場・文化的背景によって多かれ少なかれ変化するもので、絶対的な真理などとは対極にあるものだと思います。(もっとも、長い歴史の中で生起する数多くの事象の中からある種の普遍性や法則性を見出す可能性がない、とまでは言いません。)

 

 あ、いけませんね。だいぶ脱線してしまいました。

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話を元に戻しますが、歴史を本当の意味で自分のものとするにはイマジネーションが非常に重要なのです。ある事柄に対する本当の意味での理解へと近づくためには、ただ単語として、言葉として知っているだけでは不十分なのであって、地理的背景、文化的背景、政治・経済的背景…様々なものを「感覚」として理解していることが非常に重要になってきます。こうした理解を深めるうえで、マンガや小説、映画などは非常に有益だと思います。

もちろん、これらはフィクションであって、かならずしも正確なものではありません。知識をマンガや映画からだけ吸収しようと考えるとすれば、それは手ひどいしっぺ返しを食らうことになるでしょう。ですが、最近のマンガには地図などの情報も豊富に出てきますし、ものによっては歴史学者の監修が入っていたりもして、なかなか面白いものにしあがっているものも少なくありません。また、通常の歴史の勉強ではなかなか出会えない衣・食・住などのイメージも映像からですと素直に受け取れます。何といっても、こうした媒体を通して歴史を好きになる、興味がわく、このことが歴史学へと足を踏み入れるはじめの一歩となるのです。多くの歴史学者が、最初から歴史学という学問に興味を持って始めるわけではないと思います。彼らは、子どもの頃に伝え聞いた英雄の話、偉人の話、伝記、小説、物語、マンガ、映画、ドラマ…時代は違えどそういったものに大きな興味と関心、何と言っても好奇心、これらを刺激されて史料をチマチマ読むなどという地味な作業に没頭して、妄想しては一人ほくそ笑む根暗な人間になってしまったのですw 私が最初に手に取ったのはたしか小学校の頃で伊達政宗の伝記でした。当時大河ドラマで独眼竜政宗が放送されていたこともあって、すぐに歴史物の虜になりましたね。小説からマンガまで食い散らかしましたが、本格的に没頭したのは吉川英治の『太閤記』ですね。竹中半兵衛重治が稲葉山城をかっさらうところなんかはもう、(*´Д`)ハァハァ …なんで英語嫌いだったのに西洋史なんぞやってるんだろうw 

 

まぁ、くどくどとお話ししてまいりましたが、歴史マンガとか、ドラマとか、映画とかで気になったものを紹介するっていうことにも、まったく意味がないというわけではないのですよと。暇つぶし程度のお話をあげられたらなぁと思っています。何でこれやろうと思ったかというと、本が入りきらないからと新しく買った本棚があっという間に歴史系マンガによって浸食されてしまいましてw マンガの紹介だけじゃなくてそれについて軽く調べてみたことなんかも合わせてお話しできたらと思います。では。

【追記】
 探したら中古品だけどあったw 7円w 懐カシスw

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『世界史史料』1-12

歴史学研究会編 岩波書店


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 昨日、一橋の予想問題作成に利用したものがこちらです。歴史学研究会による編集で岩波書店から出されている『世界史史料』シリーズ。全部で12巻出ています。まだ全巻出ていないかと思ってamazon見てみたら全部出ているんですね。いつの間に…。12巻分の史料というと長大ですが、私はしょっちゅう必要になるもの(よく使うのは458-11でしょうか)だけ自分で買って手元に置いて、あとは必要な時だけ職員図書室に探しに行く、みたいな使い方をしています。いや、確かに図書室行けば置いてあるんですけどね。自室にもないと仕事にならんのですよ、実際w 

 

各巻のタイトルは以下の通りです。

1 古代オリエントと地中海世界

2 南アジア・イスラーム世界・アフリカ

3 東アジア・内陸アジア・東南アジアⅡ‐10世紀まで

4 東アジア・内陸アジア・東南アジアⅡ‐10-18世紀

5 ヨーロッパ世界の成立と膨張‐17世紀まで

6 ヨーロッパ近代社会の形成から帝国主義へ‐1819世紀

7 南北アメリカ‐先住民の世界から19世紀まで

8 帝国主義と各地の抵抗 Ⅰ

9 帝国主義と各地の抵抗 Ⅱ

  東アジア・内陸アジア・東南アジア・オセアニア

10 20世紀の世界Ⅰ‐二つの世界大戦

11 20世紀の世界Ⅱ‐第2次世界大戦後 冷戦と開発

12 21世紀の世界へ‐日本と世界 16世紀以後

 

こうした各巻のテーマに沿って、原史料や史料集から精選された史料が解説付きで載せられています。重箱の隅をつついたような史料ではなく、いわゆる「世界史」の流れに沿った史料が選ばれていますので史料問題作成の際にはそれなりに使えます。原史料となると、英語以外さっぱりな私にはラテン語とかアラビア語とか正直お手上げですが、この史料集はがっつり日本語訳ですので、そのあたりもとても助かりますw 歴史勉強してて心底欲しいと思ったアイテムはどこでもドアとほんやくこんにゃくです。また、本書は歴史好きな人には「こんな史料があるんだ」と眺めるだけでもそれなりに楽しめるものになっています。興味ない人には拷問かもしれませんが。

 

中身は、長くてもせいぜい2ページ分程度の基本史料の一部抜粋が掲載された上で、用語などについての注釈と、その史料の性格が解説されていますので、専門外であっても基本的な歴史的知識さえあれば何が書かれているかはすぐにわかります。ただ、内容的には高校生にはやはりすこし厳しいですね。少なくとも、受験勉強用の「世界史」を勉強したい人には向かないです。また、高校の学習内容をこえた余計な知識が入り込んでしまってかえって混乱してしまう可能性もあります。「アウクスブルクにおける不正経理の告発(同シリーズ5、pp.178-179)」に関する史料なんか高校生が見せられても多分困るだけですしw 

 

私どものように世界史を教えるなど、特殊な職業についている以外の人が持つとすれば、これは世界史を「勉強」するためではなくて世界史を「愛する」ために持つ本の類ですねw 上述の史料についての解説には「本史料は新大陸の[発見]や新しい商業航路の確立により、16世紀の国際商業が大規模に激変した時代をたくましく生き抜いた南ドイツの商人ルーカス・レームの手による日記の抜粋である。ここでは、そのルーカスが勤めていたヴェルザー商会の不正経理に嫌気がさし、退職を決めた経緯が書かれている」とありますが、こういうの読むだけで萌えちゃう💛みたいな人じゃないと買った後で後悔しますw でも、一つ一つの史料に目を通していくと、それまで無味乾燥としていて無機質だった分野の歴史が息づいてくるというか、細部に彩りが出てくるので私はこういうの好きですねぇ。

 


山川『世界史B用語集(改訂版)』

全国歴史教育研究協議会編、山川出版社(2012年版)

 

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 そもそも解説の必要があるのかなとも思ったのですが、案外参考書や問題集関係の情報は需要があるみたいなので、載せておきます。言わずと知れた「山川の用語集」こと『世界史B用語集』(山川出版社)です。世界史に登場する基礎的な用語を全て網羅している優れもの用語集として、受験生ばかりでなく教育機関含め各所で愛用されている基礎参考書の一つですね。ただ、一言だけ言っておきたい。

 

 少なくとも、HANDは受験生の頃、これを持っていませんでした。

 

もちろん、全然使ったことがないわけでも見たことがないわけでもなかったですが、少なくとも普段使う参考書の中にこの本は全く入っていませんでしたね。正直、逐一この用語集を調べるくらいでしたらまず例の『詳説世界史研究』をあたりましたし、そんな時間があれば一問でも多くセンターや大学の過去問あたりました。実際、それでも十分に偏差70以上は確保できます。あれば便利なのでしょうが、成績を取る上で絶対に必要かと言われればそこまでのものでもないでしょう。

 

別に、この参考書がダメだと言っているんではありません。この参考書はとても優れた参考書で、私も重用しています。今手元にあるのは2012年版(すいません、新しいのは職場においてきましたw 今あるのは部屋にある私物です)ですが、ボロボロになっています。それくらい使っているということですね。ただ、私思うんですが、この参考書は「受験生がこれをもとに世界史通史を勉強するための参考書」ではないと思うんですよ。この参考書はそのタイトルにもあるように「単なる辞書、用語集」なのです。

 

たしかに、各用語は時代ごとに配置されていますし、順番に出てきます。でも、だからといって一つ一つの用語が教科書や参考書にあるように話の流れの中で配置されているわけでもなければ、それぞれの関係性も見えません。ヨコの流れもなければタテの流れもない、基本的には一語一語が断絶している、そういうものなんです。たとえば、国語の辞書を引いた時に、「秋」の次に「悪」が出てきたとしますよね?関係ありますか?英語の用語集で、’vocational(職業の)の次に’pertinent(関連のある)が出てきたとしても同じように関連はないでしょう。いや、pertinentだから関連はあるとか、そういうことではなく。つまり、これはあくまで「用語集」なんです。その範囲では素晴らしい出来ですが、だからといって教科書や、参考書や、問題集の代用になれるものではない。

 

ところが、受験生の中にはそれをはき違えてこの用語集を「参考書」状態にして使う人がいるんですね。付箋はりまくって、マーカー引きまくり、文字書きまくりで。多分、コンパクトだから持ち運びはしやすいし、試験に出てくる用語は全部載っているんだからそれでいいじゃんと思っているのでしょう。ですが、先ほども述べた通り、それではタテ・ヨコの流れはつかめませんし、用語集には地理情報も載っていません。たとえ、用語集に複数の戦いの名前や事件(たとえば、アドリアノープル遷都に、コソヴォの戦いやニコポリスの戦い、アンカラの戦い)が載っていたからといって、オスマンがまさにバルカン半島へ奥深く侵入しようとするルートや、それをティムールに阻まれる様子を思い描くことは難しい。

 

ですから、この用語集を使う際には、あくまでも「用語集」としての長所を生かした使い方をしてあげるべきでしょう。本当は、学校の先生が使う場合と受験生が使う場合とで便利な使い方のようなものを分けて示してあげたりした方が親切なのですが、そこはさすが天下の山川ですから、エンドユーザーの顔まで見た気づかいは微塵も感じさせませんw 通り一遍の「使用上の留意点」と「まえがき」がついているだけですね。それでも売れるだけの質を兼ね備えているからできることなのでしょうが、何十年も出しているんだからもう少しサービス精神があってもいいような気はしますw ただ、ベストセラーなだけあって、下にあげたような短所長所はありますが、労力を惜しまず作られた良書であることには変わりがありません。一冊あれば便利であることには違いないでしょう。

 

[長所]

・「世界史B」教科書11冊から学習に必要と思われる用語を選んだ、と豪語するだけあって、さすがに基本的な用語はきちんとそろっています。国王の生没年と在位年が分けてあるところや、文化人の生没年が付してあるところなども素晴らしいですね。教科書や参考書では前後関係が不明確になってしまう場合には重宝します。

・通常の教科書ではおろそかになりがちな文化史に関する用語に詳しい説明がついていることも良いです。文化史が覚えにくいのはやはり「その作品がどんな話なのか」など、作者や作品のバックグラウンドに関する情報不足からくることが多いです。(ダンテがベアトリーチェLoveなあたりがルネサンスなんだ!とかが伝われば『神曲』や『新生』に対する愛着もわこうというものです。)同じく、必ずしも十分ではありませんが思想史に関する事柄も、ある程度内容がわかるようになっている点は、この用語集を使うにあたり特に受験生が重宝すると思います。

・索引が丁寧に作られており、求める語が引きやすいです。

・各項目も、極力その内容をくみ取りやすいように書かれています。(たとえば、「ユトレヒト条約」の項目については、この条約がどのようなものかという概略が簡単に示された上で、受験でよく出題されるこの条約で割譲された各地方(ハドソン湾地方、アカディア、ニューファンドランド、ジブラルタル、ミノルカ)が出題頻度とともに別途示されています。

・教科書11冊に出てくる頻度が①、⑧などの形で示されています。

 

[短所]

・あくまでも「用語集」なのであり、タテ、ヨコのつながりがわかるほどではありません。

・地図、図表などは当然のことながらまったくありません。

 

 ここまではそもそも本書が「用語集」なのですから当たり前といえば当たり前で、むしろ使う側が「使い方を間違えて短所にしてしまっている」部分があります。ですが、以下の短所については改善の余地があるでしょう。

 

・初めて手に取る受験生などはどのように活用したらいいか意外に見当がつきません。そのため、買うべきか買わざるべきか、限られたお小遣いの中で迷う人もいるようです。

①、⑧といった頻度はあくまでも「教科書11冊」を調べた中で判明した登場頻度であって、これが受験で出題される頻度とは必ずしも一致しません。ところが、これをはき違えている受験生が非常に多いんですね。ですから、本来は本書の冒頭にこの点に関して注意を喚起する注意書きがあってしかるべきかと思います。

実際の受験現場では本書に登場しない用語からも多数出題されています。たとえば、『詳説世界史研究』では登場するフィチーノなどは本書には出てこないようです。おそらく、用語的な穴という意味では『詳説世界史研究』の方が少ない気がします。(もっとも、どんな参考書を用いたとしても穴は存在します。ただ、本書の場合、早慶などの難関私大の受験を考えた場合、看過してよいものかどうか迷うレベルだということです。やはり、複数の参考書や問題集に目を通すことが一番だと思います。)

 

(おススメの人)

・時間はたっぷりある人(すくなくとも1年)

・細かいところに気を配る丁寧な学習を心がけている人。

・文化史、思想史などの背景を「手軽に」、「簡潔に」知りたい人。

・本書をあくまでも「用語集」として使うつもりの人。

(おススメしない人)

・時間に余裕のない人(受験まで数か月)

・そもそも、細かいところまで気にせずざっくり歴史を学べれば十分という人。

・文化史、思想史の背景を「深く」知りたい人。

・タテ、ヨコのつながりや地理的情報を入れたい人。

・参考書や問題集の代用として使うつもりの人。
 

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