山川は「〇〇ノート」と名のつく学習ノート形式のものを非常に数多く出しています。これらの学習ノートは外見も非常に似ており、本屋の店頭に行くとこれでもかというくらいにおいてあるので、受験生からすると「そもそもこいつらは役に立つのか。いや、それ以前にこれらはどのような違いがあるのだろう」と迷ってしまうというのがこの山川の学習ノート群です。ためしに、いくつか例を挙げてみると、

 

・『詳説世界史ノート』

・『授業用 詳説世界史B整理ノート』

・『詳説世界史学習ノート:上』

・『詳説世界史学習ノート:下』

・『流れ図で攻略詳説世界史』

・『詳説世界史スタンダードテスト』

 

などなど。とにかく似ています。そっくりです。どれくらい似ているのか。

まず、学校の教科書などとして使われている「詳説世界史B」です。

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つづいて、『詳説世界史ノート(本書)』です。

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『流れ図で攻略:詳説世界史B』です。

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『詳説世界史スタンダードテスト』です。

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 これらが同じような水色の表紙に包まれて本屋に陳列されている様はさながらスライムなのか水色のぷよぷよなのかわからない連中が群れをなしているかのようです。開いてみると、内容的にも一見、「む、どこに差があるのだろうか」と思わせるほどよく似ています。その違いはおいおい解説していきますが、これだけ似ているものを、そっくりなタイトルでドカドカと同じ場所において、ろくに各参考書、問題集の使い方の区別をユーザーに丁寧に示さないというのはどれだけ殿様商売なんだ、と思いますw 「オラ、オレ様は山川の用語集だぞ?受験生なんだろ?買えよ!は?使い方?そんなもんはテメーで考えろ!」みたいなw 君はくぬどんかw 

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 これらの学習ノート・問題集群の中でおそらくもっともよく見かけ、さらに受験用のまとめに適しているだろうと思われるのがこの『詳説世界史ノート』です。本書の「使い方」として、表紙カバーには以下のようにあります。

 

このノートは、『詳説世界史』の流れに沿ったノートです。教科書に完全準拠しているので、授業の予習・復習はもちろん、受験のための自宅学習にも最適です。

 

また、本書の冒頭にある「内容と使用法」にはこのように書いてあります。

 

 『詳説世界史』に完全準拠しており、教科書の構成・本文の流れに忠実に沿ってつくられています。内容は教科書の記述を逸脱せず、過不足なく整理されております。

 

たしかに、その通りなのでしょう。実際、私もその通りだと思います。学習ノートとしてよく練ってあると思いますし、仮にこれを一般の中高における世界史プリントとしてそのまま用いたとしても、特に問題なく使用できるレベルに仕上がっていると思います。

 

ただ、ここで注意しなくてはならない点があります。それは、ここでいう『詳説世界史』とは、高校の教科書として用いられる『詳説世界史B』のことをさしているのであって、私が最初に紹介した受験生のバイブル『詳説世界史研究』のことを言っているのではない、ということ(多分)です。実際、本書を手に取って実際に進めてみると、『詳説世界史研究』と比べるとやや内容が薄いことに気付きます。このことが何を意味しているかというと、本書を解き進めるだけで東大をはじめとする難関国公立ならびに早慶の難関学部に対応するだけの学力が身につくかは「微妙」だということです(身につかない、と言っているのではありません。使い方次第です。)要は、『詳説世界史研究』の方が情報が濃いのです。これは本書の出来が悪いと言っているのではなく、単純にその目的とするハードルが違うのです。つまり、本書はあくまでも教科書『詳説世界史B』のまとめ用の学習ノートに過ぎず、『詳説世界史研究』のまとめ用学習ノートではない、ということです。ちなみに、『詳説世界史研究』はこちらです。

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右側に内容がプリント風にまとめてあって、左側に番号に入る言葉を入れていく形式ですね。ですが、私はこのやり方で本書を利用することはおすすめしません。私がもし本書を使うならこうします。

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おわかりになるでしょうか?つまり、ダイレクトに書きこんでいってしまうということです。本気で覚えるつもりなら絶対にこうしたほうがいいです。理由は二つあります。一つは、もし左の「解答欄」に答えを書き入れた場合、必ず目は「右」というように往復を繰り返します。これが思いのほかに負担になりますし、なにより時間のロスにつながります。二つ目ですが、経験則で申し訳ないのですが、私は記憶にとって「視覚情報」は非常に重要だと思っています。「目で」見た印象というのは意外に頭に残っていたり、忘れてしまったとしても何かの拍子に「ひょいっ」と飛び出してくるものなのです。直接書き込んだ場合、その単語を見たときの視覚情報はその周辺の情報も連れてきてくれる、引き出してくれる可能性がありますが、「解答欄」に書きこんでしまった場合、右の「まとめページ」の情報と左の「解答欄」の情報が断絶してしまい、「視覚情報」からは何も引き出せなくなってしまいます。これが本番では意外に大きな差となって出てくる、というのが私の印象です。こうしたことは、本書の活用に限らず、たとえば地図を覚えるときにも当てはまります。下の例を見てみましょう。(ちなみに、この地図は私が無料の白地図サイトから保存したフランスの地図を加工して作ったもので、本書の内容とは無関係です。)

 

地図記入例1

 

地図記入例2

 Aはダメな例、Bが良い例です。一目瞭然だと思いますが、Bの方は名前を覚えると同時にその都市がある「場所」の情報も一緒に視覚情報として取り入れることができます。何かを覚えて、自分の知識として消化する場合、こうした何気ない小さなことが大きな差となってあらわれることがありますので、「なかなか覚えられないな」という風に感じている人は、自分の学習方法に何か改善できる点があるのではないかと疑ってみましょう。

 

[本書が向いている人]

・世界史を習い始めたが、自分で「世界史B」の教科書レベルの内容をある程度まとめて、覚えてみたいという人。(高1、高2)特にオススメ!

・様々な理由から、「世界史B」の教科書レベルの通史をざっとおさらいをしたいという人(高2、高3)

・あまり細かい説明はどうでもいいので、とりあえず必要最低限のつながりと用語だけ頭に叩き込んでおきたいという人。

・センター試験レベルの世界史に最低限対応できる力を急遽(2か月~半年程度)で身につけたいという人。

・東大、早慶クラスは正直あまり考えていないという人。

・『詳説世界史研究』を用いて自学自習しているが、その前提となる書き込み用教材が欲しいという人。かなりオススメ!(ただし、余白はあまりないのですごく細かくなる覚悟を)

・学校や塾の先生がめんどくさがりであまり副教材を作ってくれない&板書もしょぼくてまとめのしようがない、という人。特にオススメ!

 

[本書をあまりオススメしない人]

・東大、早慶レベルの世界史に真っ向から立ち向かって高得点をゲットしたい人。

・話の細かい流れ、説明がないと満足できない人、覚えにくい人。

・図表や地理情報も含めて世界史を理解したい人。

・すでに偏差65以上の成績を模試で取ることができる人。

・学校や塾の先生から十分なレベルのプリントなどの副教材を与えられている人。

・学校や塾の先生の板書が充実していて、それをまとめれば教科書レベルの内容はきちんとわかるようになっている人。

・『詳説世界史研究』を用いて自学自習が進められている人。