【共通テスト】

・ブワイフ朝とセルジューク朝はイスラーム世界の政治・社会の転換期(10世紀~11世紀頃)

946年にバグダードに入城したブワイフ朝と、1055年にバグダードに入城したセルジューク朝はイスラーム世界の政治・経済にとって、以下の2点で重要な転換期です。

 

①政治権力がカリフから分離(ブワイフ朝の「大アミール」、セルジューク朝の「スルタン」)

②イクター制の導入と拡大

 

①の政治権力については、アッバース朝の衰退により政治的・軍事的力を持たなくなったカリフは、宗教的権威を維持しつつも政治上の実権を当時の有力者であるブワイフ朝やセルジューク上に委譲します。この頃から、政治権力はカリフから完全に分離して各王朝の指導者に委ねられることになりました。

②また、それまで軍人に俸給(アター)の支払われていたスタイルにかえて、土地の徴税権などを与えるイクター制がブワイフ朝の頃から導入され、セルジューク朝の時期には広く拡大していきます。

この二つの変化により、政治・宗教上の権威を併せ持っていたウマイヤ朝・アッバース朝時代のカリフの性質が大きく変化するとともに、イクター制の導入はイスラームの社会・経済の変化につながっていきます。