2023年11月
1453年をビザンツ帝国の滅亡年とだけ理解するのはもったいない
【難関大】
1453年が「オスマン帝国のメフメト2世によってコンスタンティノープルが陥落してビザンツ帝国が滅亡した年である」と覚えている受験生はいても、一方でこの年が百年戦争の終結年であることを意識している人はそこまで多くないように思います。この感覚はすごーく地味なのですが、意外と汎用性が高いです。
(オスマン帝国関係)
・メフメト2世(15世紀半ば)を境に
前[14世紀後半~15世紀初]
:ムラト1世やバヤジット1世などによるバルカン半島への拡大期
(1402年のアンカラの戦いでバヤジット1世が捕虜になったことで停滞)
後[16世紀]
:セリム1世やスレイマン1世による再拡大
(百年戦争関係)
・百年戦争の開始時期が漠然とわかる(正確には1339年)
ちなみに、百年戦争を始めたのがエドワード3世なので、二院制の成立時期もわかる
・百年戦争終結後まもなく、ばら戦争(1455年-1485年)が起こるので、ばら戦争の時期やテューダー朝の成立時期(1485年、ヘンリ7世)が分かる。
やや発展的な内容ではありますが、出来事の整序問題や論述問題など、時代感覚をとらえる必要がある時にはわりと重宝します。
大陸横断鉄道開通とスエズ運河開通は地味に同じ年(1869年)
【難関大】
大陸横断鉄道の開通とスエズ運河の開通は地味に同じ年だったりします。世界の交通にとっては大切な年ですし、また難関私大などで出来事の並べ替え問題など出る際にはわりと良い目印になる出来事だったりするので、周辺の出来事を確認しておくと便利です。
大陸横断鉄道については、何と言っても南北戦争(1861-1865)終了後ということをきっちり把握しておくと良いですね。南北戦争終了後は南北の経済圏の統一により合衆国で第2次産業革命が本格化するとか、大陸横断鉄道開通で西部開拓がさらに促進されてフロンティアが消滅(1890)するという流れと結びつけておくと把握もスムーズです。
南北戦争(1861-1865)自体も、その前後の把握(前については「合衆国の発展(領土拡大)」の時期、後については「合衆国の工業化進展
/ 独占資本の形成」)や、メキシコ出兵の終結(1867)など、結びつけやすい事象が多くあるので把握すべき出来事ですね。
一方のスエズ運河開通については、やはりイギリスによるエジプトの植民地化の流れの中に組み込んでおくべきでしょう。
・1869年 スエズ運河開通(レセップス[仏])
・1875年 英のスエズ運河会社株買収(ディズレーリ内閣)
・1881-1882年 ウラービー革命(の反乱)→事実上の保護国化
(また、同時期よりスーダンでマフディーの乱開始[1881-1899])
これだけでも役に立ちますが、エジプトについてはできればもう少し伸ばして、1914年の「英によるエジプトの正式な保護国化」や、第一次世界大戦後の民族運動(1919年のワフド党の運動など)あたりまで把握しておくといろいろと便利です。
また、英のスエズ運河会社株買収(1875年)は、エジプトの財政状況悪化が原因ですが、その背景には南北戦争による綿花国際価格の乱高下がありました。これについては近年、問題としても見かけるようになった気がしますので、そういう意味でも上記事項の時期的な把握はしておくにこしたことはないように思います。年号についてはどこか一つだけ把握しておいて、その前後をストーリーでつないで把握するというのもアリですね。