「プリントが全然覚えられないんです。頑張って勉強はしているんですが、間に合わなくて…」という相談があります。実際「ものすごく」とまでは言わないにせよ自分が使える時間の中できちんとそれなりの時間をかけてやっている様子ですから、本人が困っている様子は伝わってきます。

 ちなみに私が「ものすごく頑張る」といった場合、吐き気をもよおすレベルで勉強することを指しています。10時間ぶっ通しで『詳説世界史研究』とにらめっこ」、「10行分の文章丸ごと暗唱」とかは高1の頃にすでにザラでしたが、英語と数学はとことんやりませんでしたw ある意味何が「やる」で何が「やらない」ということなのかはよくわきまえていましたw 
 英単語ターゲットは
14001900の両方をセンター試験が終わってから購入して、早稲田の2次試験までの一か月強で全部覚えました。私は高3の頃は(世界史以外)全然勉強していなかったのと、コミュ障のために情弱だったので、そもそもターゲットの存在自体をセンター試験終わるまで知りませんでしたw センター試験終わったところで「ヤバイ、やらなきゃ」と思って「こたつ・みかん・ターゲットw」みたいな状態でこもり切りでやったら意外と覚えられました。吐き気はしましたが。結局浪人しちゃいましたが、ターゲット覚えただけで英語の偏差は10以上上がりました。いかに自分が勉強していなかったかがよくわかりました↓ おかげで数学に集中できたので最終的には東大や一橋に通るだろうくらいの成績までは上がりました。

 

 現代文ができる人は、英語は英単語さえ覚えれば長文の内容が何となくわかるようになりますので、あとは努力次第でどうにかなりますよ。私が英語をそれなりに扱えるようになったのは30歳過ぎてイギリスに留学してからです。私、脱サラして(コミュ障で仕事嫌いなので)イギリス史専門の研究を進めたのですが、さすがに自分のお金をかけて後がない勉強を強いられるとやりますね…。 英語は英文の学術専門書の1~3冊も真面目に自力で読むようになれば自然と身につきますので、高校生のうちに苦手だからと言って気にしなくても大丈夫です。会話はしゃべらないとだめですけどね。未だに会話は苦手です。コミュ障なので。そのうち留学の話なんかもUPしてみましょうかね。手続きとかえらい面倒でしたし、お金どこから引っ張ってくるとかでも結構苦労しました…。

たまに気にされるので大学受験の結果をお伝えしておくと、浪人して一橋・早稲田×4・慶応などに合格し、11戦9勝でした。受けすぎですよね…でも怖かったんですよ。車の免許を取る金だと思って!と親に土下座しました。でも早稲田に進学したらめっちゃ怒られましたw 落ちたのは上智の法(上智の英語はエグイ!大問1題あたりかけられる時間が10分ないって何だw)と、東大の後期です。センター試験でやられました。はっきり言って能力不足です。ちゃんとやるべきでした。いや、ちゃんとできないのだからそれも含めて能力不足ですね。昔、弟に「兄ちゃんはやれば何でもできるのにやらないから嫌いだ!」と言われたことがあります。弟よ、それは違う。兄ちゃんは「やれない」人間だから、「やれば」というifは意味をなさないのだ。つくづく「努力を継続できる」というのは得難い「能力」なのだと痛感します。

 

あ、脱線しまくりですね。そうそう、「プリントが覚えられない」と困っている受験生がいるときには、以下の方法を示してあげて一緒に暗記してみると「全然覚えられない」と言っていた子でもそれなりに頭に入るようになります。人によっては急激に改善して覚えることが苦にならない子も出てきます。そこで、今回は実際にプリントを使いながら、どうやって覚えるのか、その手順を示していきたいと思います。ちなみに、今回使うプリントは私が講習のために作った通貨・金融史のプリントの解答です。

 

  まず、絶対にしてはいけないのが、ページ全体に目を通して覚えて、再度一番前に戻る、という手順を繰り返すやり方です。(画像はクリックで拡大、さらにクリックでもっと拡大できます。)

 

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これははっきり言って一度にインプットする量が多すぎて処理しきれません。冒頭に戻った時にはすでに内容を忘れているから、また読んで…の繰り返しで非常に効率が悪いです。効率を高めるためにも、まず以下の手順を試してみてください。

 

  とりあえず、何が書いてあるのか話の概要を理解する。

:「人類の誕生」について書いてあるのか「フランス革命」について書いてあるのかくらいの大雑把な内容くらいは把握しておきましょう。

 

  プリント全体の地図を描く(プリント全体をブロック化する)

:上のプリント(画像)で言えば、1に「鋳造貨幣」、2に「紙幣」についての話が書いてあるんだな、くらいの理解で十分です。

 

  ③で理解したテーマごとに、自分がまず覚えるべきブロックを見定めます。


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テーマを確認するためにも、これから自分が覚えようとする内容が何であるか、見出し語には注意を払いましょう。


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  少し量が多いかな、と感じたらそのブロックをキリのいいところでさらに細分化してみましょう。基準としては、覚えるべき内容が4語~10語程度が無理もなくて最適です。


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  自分で決めたブロックだけを集中してものすごく短い時間で覚えます。覚えるべき言葉が4語であれば、長くて2分もあれば十分でしょう。肝心なのは、2分と時間を決めたらそこでやめること。また、周辺の内容もある程度は把握しておきましょう。


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  2分経ったら、覚えているかどうかをチェックしましょう。一人でやってもいいですが、友達と出し合いっこをする方が手間もかからず時間も省けて効果的です。もし、半分程度しか覚えていないようでしたら再度時間を短くして覚えます。おそらく、これが終わる段階で覚えている内容がゼロ、ということはあまりないはずです。



  終わったら、次のブロックも同じ手順を繰り返します。できるだけ、単語だけに目をとらわれるのではなく、関連事項と結びつけるようにしましょう。それがヒントになって思い出せることが増えてきます。


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  いくらか進んで一つのテーマがおわったら、全体を把握するために再度目を通して頭の中に入れた知識を「ならし」ます。2~3分で十分でしょう。

 

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  最初のブロックが終わったら次に進みます。


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おそらく、プリント1枚につき4~5分割くらいが一回に覚えるのに最適な分量です。「無理がない」というのが一つのポイントです。過度な負担をかけると、疲労感だけがたまって肝心の内容が頭に入っていないということになりがちです。全ての作業が終わることには、20分から30分程度でプリント一枚分の暗記が完了しています。

 

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基本的な手順は以上の通りなのですが、効果的に行うためにも、以下の点に注意しておくとよいでしょう。

 

・ダラダラとはやらない。超短期、超集中!なので、疲れてきたら休みましょう。その意味でも、一夜漬けはおススメしません。1時間、長くて2時間半が限度でしょう。

・中国史の場合、漢字の書きがあっているかどうかにこの段階でこだわるのはやめましょう。まずは「ことば」と「内容」が頭に入っているかどうかにこだわって、漢字などの細かい部分は最後の「ならし」の時に確認して、怪しいものがあればマーカーや目印などでチェックをつけておきましょう。できるだけ一度にいれる情報量が少なくなるようにするのがコツ。

やりっぱなしにしない。一度覚えたら、その日のうち、3日後、一週間後、どこでもいいですから必ず「思い出す」作業を行いましょう。一度覚えたことは、3日~1週間たつと急激に失われるそうですが、それまでに再度「思い出す」ことで定着を図ることができます。その際、実際にプリントを開く必要は必ずしもありません。むしろ、自分で「思い出す」作業を行うことが肝心です。極端な話、授業を聞いた後で帰りの電車の中で「今日、先生は何の授業をしてたっけなー」と考えるだけでもかなりの意味があります。

・何度かやっているうちに、「いつもここだけ忘れている」、「ここだけは注意しないと」というところがでてくるので、そこにマーカーなりで印をつけておくとやり直すときに便利です。やり直しをする時には、すでに覚えているところは省いて、覚えていないところだけを集中してインプットするようにすれば、時間も労力も短縮できる上に、自分が覚えなくてはならない対象に集中することができます。勉強すればするほど自分の労力が減るような学習をすることが効果的です。

 

今回の「プリント暗記法」は以上です。他にもいろいろ工夫の仕方はありますが、まずは自分の出来る範囲で試してみてください。