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カテゴリ: テストで差がつくワンポイント

【難関大】


大陸横断鉄道の開通とスエズ運河の開通は地味に同じ年だったりします。世界の交通にとっては大切な年ですし、また難関私大などで出来事の並べ替え問題など出る際にはわりと良い目印になる出来事だったりするので、周辺の出来事を確認しておくと便利です。

 

大陸横断鉄道については、何と言っても南北戦争(1861-1865)終了後ということをきっちり把握しておくと良いですね。南北戦争終了後は南北の経済圏の統一により合衆国で第2次産業革命が本格化するとか、大陸横断鉄道開通で西部開拓がさらに促進されてフロンティアが消滅(1890)するという流れと結びつけておくと把握もスムーズです。

南北戦争(1861-1865)自体も、その前後の把握(前については「合衆国の発展(領土拡大)」の時期、後については「合衆国の工業化進展 / 独占資本の形成」)や、メキシコ出兵の終結(1867)など、結びつけやすい事象が多くあるので把握すべき出来事ですね。

 

一方のスエズ運河開通については、やはりイギリスによるエジプトの植民地化の流れの中に組み込んでおくべきでしょう。

1869年 スエズ運河開通(レセップス[]

1875年 英のスエズ運河会社株買収(ディズレーリ内閣)

1881-1882年 ウラービー革命(の反乱)→事実上の保護国化

        (また、同時期よりスーダンでマフディーの乱開始[1881-1899]

これだけでも役に立ちますが、エジプトについてはできればもう少し伸ばして、1914年の「英によるエジプトの正式な保護国化」や、第一次世界大戦後の民族運動(1919年のワフド党の運動など)あたりまで把握しておくといろいろと便利です。

また、英のスエズ運河会社株買収(1875年)は、エジプトの財政状況悪化が原因ですが、その背景には南北戦争による綿花国際価格の乱高下がありました。これについては近年、問題としても見かけるようになった気がしますので、そういう意味でも上記事項の時期的な把握はしておくにこしたことはないように思います。年号についてはどこか一つだけ把握しておいて、その前後をストーリーでつないで把握するというのもアリですね。

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【定期考査】

 

中国の官吏任用制は導入時期とセットでおさえておくと実際の問題を解くときに対応しやすくなります。

 

郷挙里選‐前漢(武帝)

九品中正法‐魏

科挙(選挙)‐隋

 

もちろん、官吏任用制に関してはたとえばそれぞれの制度の内容の違いや、九品中正法が門閥貴族を生み出す結果につながったこと(cf.「上品に寒門なく、下品に勢族なし」)や、「科挙」という名称が定着するのは唐の時代で隋のころは官吏任用を意味する「選挙」の語で呼ばれたことなど、細かい関連事項もあるのですが、これらのことをしっかり把握するには、意外に諸制度ならびに当時の社会に対する深い理解が必要になることが多いのです。そのため、関連事項まで出題するとなると事前の解説や問題自体が難しくなりすぎてしまいがちで、出題する側からすると出しにくく扱いにくい気がします。(難関校では出題されると思います。また、事前の授業がしっかりできている場合or受験者の側に深い理解を問いたい場合には少し突っ込んだ設問を作ることも可能だと思います。)

一方、「前漢から始まった官吏任用制はなんですか」、「隋で実質的に開始されたといわれる官吏任用制はなんですか」といった出題は一問一答的で出題しやすいですし、ある程度の正答率を期待することができます。(設問としての質が良いかどうかは置いておいて。) また、正誤問題などでも時期と名称をずらせば良いだけなので使いやすいですね。

 

基本的には隋の頃までの官吏任用制について、特に「郷挙里選・九品中正法(九品官人法)・科挙(選挙)がどの時代に導入されたか」が出題されることが多いのですが、これよりやや頻度が落ちる&出題の文脈が異なるものの、確認しておいた方が良い官吏任用制関連の知識には以下のようなものがあります。

 

・殿試‐北宋(趙匡胤:太祖)の頃に導入された皇帝による直接試問

・科挙の停止‐元の時代(モンゴル人優位の支配体制下で停止、14世紀初めに復活)

・科挙の廃止‐清末の光緒新政の中で廃止(1905

 

これらのうちですと北宋の殿試と趙匡胤の名前は比較的よく出題される気がします。


また、単純に中国の官吏任用制自体に限ると上に書いたものが最低限おさえるべき知識になるのですが、これらの官吏任用制は当時の社会階層の形成(ex. 門閥貴族、士大夫など)や、文化の形成と変遷(ex. 六朝文化、唐代の古文復興運動など)、政治的動向(ex. 前漢武帝期の儒学の官学化、董仲舒、北宋の文治主義など)、海外への影響(朝鮮やベトナムへの導入、ヨーロッパ啓蒙思想家への影響など)など、非常に広い範囲に関連付けられるテーマでもあります。こうした広がりまで把握できているのであれば、かなり世界史に対する理解は深まっていると思います。たとえば、東京大学の2000年大論述などはこのあたりの関連事項の把握が進んでいると取り組みやすいものになりますね。

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【定期考査~難関大】


古代のゲルマン人社会を知ることができる史料としてカエサルが書いた『ガリア戦記』とタキトゥスの『ゲルマニア』が紹介されることがあります。これらをテストで点数がとれる知識、特に難関大の受験本番で点数にできる知識にするためには、著者名だけでなく時期で判断ができるようにする必要があります。

カエサルは第1回三頭政治でも知られるローマ共和政末期の政治家です。オクタウィアヌスのちょっと前の人なので、活躍していた時期は紀元前1世紀半ばごろ。対して、タキトゥスは紀元1世紀末にコンスルも務めた政治家・歴史家で、その著書『年代記』、『同時代史』ではオクタウィアヌス以降の歴代皇帝統治下の歴史を書いたローマ前期帝政期(元首政期)の人物です。

比較的難しい設問では、リード文の中で時期などが特定できる文章を交えながら、「ゲルマン人社会を描いた( 空欄 )などは…」と著者名を出すことなく『ガリア戦記』か『ゲルマニア』かを特定させる出題が出されることがありますので、単に著者名と著作名を覚えた一問一答的知識では解けないことがあります。そのため、

 

『ガリア戦記』‐カエサル‐前1世紀‐ローマ共和政末期

『ゲルマニア』‐タキトゥス‐後1世紀‐ローマ帝政期

 

という区別をしっかりつけておく方が良いと思います。

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【共通テスト】

 

世界史において、中国史の中でも秦・漢帝国は頻出の単元です。なかでも、始皇帝や前漢の武帝などについてはよく勉強をしてその政策の中身まで覚えていらっしゃる受験生の方も多いのではないかと思います。(本コーナーでも以前ご紹介いたしました。

 

一方で、秦・前漢・後漢はいつ頃に存在した王朝だったのかをしっかり把握している方はどれくらいいらっしゃるでしょうか。ある国がいつ頃存在していて、それが別の地域ではいつ頃にあたるのかを把握するのは意外に大変です。もちろん、重要な出来事の年号を覚えるという形でも把握はできるのですが、前漢と後漢については紀元をはさんでざっと200年前までが前漢、200年後までが後漢と把握しておくと便利です。すると、秦は前漢の前なので前3世紀ごろが始皇帝の時代となるわけですね。

ちなみに、前漢・後漢の正確な年代は、その途中に成立した新も含めると以下のようになります。

 

・前漢:前202-8

・新:後8-23

・後漢:後25-220

 

もちろん、正確には前漢は前3世紀の末から後1世紀までですし、後漢も後3世紀まで続くのですが、だいたいのイメージとしてはこんな感じなんですね。

プレゼンテーション1 - コピー

これが把握できると、横のつながりの確認が容易になります。たとえば、ローマ帝国もちょうど紀元をはさんで共和政と帝政が変化する頃ですし、帝政に入って200年ほどはパクス=ロマーナの時代が続きます。逆に言えば、200年たつとパクス=ロマーナは終わる(=軍人皇帝時代に入る)ので、「前漢の頃=ローマは共和政の末期」、「後漢の頃=ローマはパクス=ロマーナ」、「三国時代=ローマは軍人皇帝時代」のように把握することができます。案外便利ですよ。

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正直に言ってそこまで頻出というわけでもないのですが、たまたま図表と地図をつくったのでw 地図の方はかなり前に作ったものなので、クラクフ大学のってません。

ヨーロッパ中世の大学はたくさん数がありますが、出題頻度が圧倒的に多いのは北イタリアのボローニャ大学と南イタリアのサレルノ大学である気がします。ボローニャは最古の大学とされますし、南イタリアは医学との関係でイスラームなどとも結びつけやすいので、出題しやすいのだと思います。できた時期については、当時大学がいつ形成されたのかは判然としないところもありますので、必ずしも「○○世紀」ということにこだわらなくても良いと思います。12世紀までにはできていて、ボローニャがおそらく最古、サレルノがそれと同時期くらいの理解で大丈夫かと。実際、『タペストリー』あたりを見るとサレルノは「?世紀」となっていますが、ここでは便宜上同大の名声が高まる12世紀に分類しました。

対して、パリ、オクスフォード、ケンブリッジは超有名で専門も神学のため、いまいち出題しにくい。オクスフォードがパリから移住した学生によって形成された話や、ケンブリッジがオクスフォードから派生したという特徴があるにはありますが、これをネタとした出題、そんなに頻繁には見ませんね。

それよりは、むしろプラハ大学あたりの方が特徴があって出やすい気がします。(ベーメン王カレル1世こと神聖ローマ皇帝カール4世による。)また、近年ですとシュタウフェン朝の参考書等での記述量が増しているので、フリードリヒ2世によるナポリ大学なんかもアリですね。クラクフ大学は正直まだあまり出題で見かける気はしません。ポーランドなので今後増えてくるかもしれませんが。

 

・中世の大学はまずボローニャ大学(北イタリア・最古・法学)とサレルノ大学(南イタリア・医学)をおさえる

・パリ、オクスフォード、ケンブリッジは神学

・余裕があればプラハ大学、ナポリ大学の特徴をおさえておくとよい


中世大学一覧 - コピー (2)

ヨーロッパ中世大学 - コピー
(赤は12世紀までにはできていた大学)
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