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カテゴリ: テストで差がつくワンポイント

【共通テスト】

 

明と清では国による大編纂事業がなされますが、これが結構たくさんあります。簡単な表を作ると以下のようになります。


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もっとも、これらの編纂事業で編まれたものが、記述式で出題される機会はかなり少ない気がします。国公立の論述問題でこれらの細かい違いをおさえていないと問題自体が解けないというケースはまれですし、私大の問題や共通テストの問題は選択式であることがほとんどですので、実際に出題されるとすれば、「①その編纂事業が行われたのは明の時代か清の時代か」または「②その編纂事業が行われたのはどの皇帝の時代か」が問われることになるので、その区別さえついていれば概ねどうにかなると思われます。

 

そこで、どうやったらその区別がつくかということなのですが一番のポイントは「明代の編纂事業が何かを確実に覚えておく」ということです。たくさんのものを区別する時に効果的なのは、いくつかあるもののうち一つだけでも確実にしておくやり方です。特に、選択式問題の場合、これができれば確実に、ある選択肢について「選ぶ」または「はじく」ことができます。

では、明代の永楽帝時代における編纂事業をどうすれば覚えられるかですが、ここで思い出してほしいのが「明は朱子学を官学化した」ということです。明代には南宋の朱熹が大成した朱子学が国家によって保護されます。朱子学は儒学の一派なわけですので、当然『五経』(詩経・書経・易経・春秋・礼記)は重要な書物です。また、朱子学ではそれまでの儒学のテキスト『五経』に加えて『四書』(論語・孟子・中庸・大学)を重視しました。そして、人間に内在する本質である「性」を、感情や欲望に流されず、宇宙の根本原則たる「理」に合致させることが理想とされ、これを「性即理」と称したことから朱子学は「性理学」とも呼ばれました。さて、ここで明代の永楽帝時代に行われた大編纂事業を並べてみましょう。

 

五経大全』(五経の注釈書)

四書大全』(四書の注釈書)

性理大全』(性理学[朱子学]の大全集)

『永楽大典』(百科事典)

 

お気づきかと思いますが、これらはほとんど朱子学と関係した編纂事業なのですね。ですから、明の永楽帝時代の編纂事業については「朱子学と永楽がついたらそれは明の永楽帝時代」と理解しておくだけでいいわけです。

これだけでもかなり効果的なのですが、この区別がつくようになったら少し発展して清代の編纂事業の区別も行ってみましょう。清代の有名な編纂事業は以下になります。

 

『康煕字典』(漢字辞典

『古今図書集成』(百科事典[類書]:あらゆる事物・現象などについて説明したもの)

『四庫全書』(叢書:複数の書物を編纂しまとめたもの)

『五体清文鑑』(5つの言語の対照辞典

 

一番上の表にも示しましたように、『康煕字典』が康煕帝時代だというのは大きな問題がありません。では、その他のものについてはどのように考えたらよいでしょうか。

ここから先の話は、分かりやすくとらえるためにウソというかフィクションを交えてのお話になります。ご存じの方も多いかと思いますが、清は漢民族の建てた国ではなく、女真族によって建てられた国です。ですが、清は元と違って儒学や科挙を貶めたり廃止するようなことはせず、漢民族に対する一種の懐柔策として儒学や科挙は重要なものとして位置づけられました。本来は周辺の夷狄とされた女真族でしたが、易姓革命説を重視して「明にかわって支配者となった清こそが中華である」とされましたし、満漢併用制(満漢偶数官制)により、漢民族は科挙によってエリートになることも可能でした。さて、そうすると、支配者となった女真族の方でも漢民族の文化や学問を完全に無視することはできないわけで、こうした中で、最初に字(漢字)を学び、次に物事についての知識を深め、最後に多くの書物に書かれた教養を吸収するという形で漢民族の文化・学問を知る必要が出てきます。

このように考えると、「字(漢字辞典)」→「物事(百科事典)」→「書物・教養(叢書)」という順序で編纂事業がなされるのはごく自然なことなのですね。(ホントかよ。) まぁ、このようにストーリーだてて理解すると、『康煕字典』→『古今図書集成』→『四庫全書』が康煕帝→雍正帝→乾隆帝の順で編纂されたことをいくらかイメージしやすくなります。(もっとも、そのためには「漢字辞典とは何か」とか「百科事典とは何か」とか「叢書とは何か」を具体的にイメージできることが前提になるのですが。)

 それでは、『五体清文鑑』についてはどのように理解したらよいのでしょうか。これについても『五体清文鑑』とは何か、をしっかり把握することが大切になります。『五体清文鑑』が「5つの言語の対照辞典」であることは上に示しましたが、ではその5つの言語とは何かといいますと、「満(女真族)・漢(漢民族)・蒙(モンゴル)・蔵(チベット)・回(ウイグル[新疆])」5言語となります。お気づきの方もいるかと思いますが、これらは清の直轄支配地に住む女真族・漢民族と、藩部として支配しているモンゴル・チベット・新疆に住む諸民族の言語なわけで、清はこれらの5つの地域の統治のために対照辞典を作らせたわけです。ということは、『五体清文鑑』が編纂された時点でこれらの地域が清の支配下に入っていなければならないわけで、そうするとこれが編纂されるのはジュンガル部に対する遠征の後に新疆を設置した乾隆帝の時代であるということになります。(モンゴルとチベットはそれ以前にすでに清の支配下に入っています。)

 もちろん、「こんなに理屈くさい覚え方では覚えにくい」、「語呂合わせなどで覚えたい」という人も多いのではないかと思いますし、そうしたい方はそれでよいと思いますが、こうしたストーリーによる覚え方をしておくと、各時代の理解に深みが出ますし、何より他の事柄と結びつけて覚えることができる(明代の儒学官学化 / 乾隆帝のジュンガル遠征と新疆の設置など)ので応用が利くようになるのではないかと思います。

 

(明清の編纂事業を覚える際のポイント)

① 明の永楽帝時代の編纂事業(朱子学関係と永楽)を覚える【最重要】

② 『康煕字典』(漢字辞典)→『古今図書集成』(百科事典)→『四庫全書』(叢書)を覚える

③ 『五体清文鑑』は新疆を設置した乾隆帝の時代であることを把握する

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【共通テスト】

 雲南地方に存在した国に唐代の南詔と宋代の大理がありますこちらもよく模試や入試問題では登場する設問です。唐代・宋代の周辺諸国については比較的よく出題される箇所ですが、他の周辺諸国については建国者等の情報もあるのに対し、雲南地方について出題されるのはまず「唐代は南詔/宋代は大理」だけです。そのため、地図や時期とからめて出題されることが多く、基本的にセットで理解していないと役に立ちません。

 雲南地方はだいたい以下の地域です。

1920px-China_Yunnan.svg - コピー

Wikipedia「雲南省」より)


で、唐代・宋代の頃がだいたいこんな感じ。すごくアバウトな位置関係で申し訳ないですが。

 南詔 - コピー

大理 - コピー
 

 

 また、唐代・宋代が「何世紀頃なのか」はしっかり確認しておく方が良いです。唐(618907)、宋(9601279[北宋が9601127、南宋が11271279])です。(途中、五代十国時代が入ります。つまり、唐は7世紀~9世紀がメインであるのに対し、宋は10世紀~13世紀となります。

唐の場合、時期を特定する指標にしやすいのはタラス河畔の戦い(751ですね。安史の乱(755763)とか黄巣の乱(875884)でも良いのですが、数年にわたる事象だと年号二つおさえないといけないので。タラス河畔の戦いであれば一つですみますし、ちょうどこれが「唐の中期」で「その後まもなく安史の乱が起こる」とおさえておくと便利ですし、敵対するアッバース朝(7501258)が「成立して間もない時期」とヨコのつながりを確認することも可能です。

 一方で、宋の時代であればやはり靖康の変(1127でしょうか。北宋と南宋の入れ替えの時期ですね。南宋の滅亡はフビライによるものですので、13世紀=モンゴルの世紀」であることを理解しておけば把握できます。日本史も勉強している人であれば元寇の時期を判断材料にしても良いかと思います。

 唐代に雲南地方に存在した南詔は8世紀~10世紀初め、宋代の大理は10世紀~13世紀ですから、ほぼ唐代・宋代と重なります。

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ヨーロッパ統合については、早慶のほか、国公立でもわりとよく出題されます。政治系・経済系の学部で多い気がします。最近の論述問題で印象に残っているのは、上智TEAP利用型の2018年問題でしょうか。当時はBrexitが大きな話題となっていた時期でしたので、その分、頭に残っています。問題の方も250字~300字の論述が二つと、かなりボリュームの大きいものでした。それから、2015年の一橋の大問2(400字論述)なんかもありましたね。ECASEANの歴史的役割(共通点・相違点)を述べさせるものでした。ヨーロッパではありませんが、ASEANの役割や性質(反共同盟から経済協力機構へ)については、関連する問題が最近の慶應(経済2022年)などでも出ましたね。もっとも、慶應の問題はASEANをダイレクトに聞くというよりは、それとからめてインドネシアの政変(1965年の九・三〇事件:スカルノからスハルトへの権限移譲のきっかけを作った事件)を聞く問題でした。いずれにしても、地域統合の問題は頻出とまではいかないものの、それなりの頻度で出てくるように思います。

そんなわけで、ヨーロッパ統合の流れと関連する諸条約をまとめた表を作ってみました(作成にあたってWikipediaの「欧州石炭鉄鋼共同体」ページの「条約の変遷」という表を参照しました)。もっとも、これでEC・EU関連を全て網羅するわけではないですけれども(EU憲法とかは示してませんし)。


ヨーロッパ統合過程

 ぶっちゃけ、ヨーロッパ統合関連で出題頻度がとにかく高いのはシューマン=プラン、ECSC(ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体)と、マーストリヒト条約です。それに続いて、ECEU、ローマ条約とリスボン条約が続く感じ。あとは、早慶などの問題で原加盟国(仏・西ドイツ・イタリア・ベネルクス三国)や、1973年にECが拡大した時の加盟国(イギリス・アイルランド・デンマーク)、EUの本部がブリュッセルなどがわりと問われる感じ。あとは、そこまで出てこないけど受験生がいまいち理解できないものにEMS(欧州通貨制度)がありますけど、これも「ユーロ導入の準備してた」くらいで理解しておけば十分かと思います。


 ただ、ヨーロッパ統合がらみで厄介なのは、たまーにEU成立後の加盟国が「いつ加盟したか」、「そもそも加盟しているか」などを正誤問題で問うてくることがあることですね。最後の加盟国が現状ではクロアチア(2013)だとか、よくEUとの関係で話題にあがるトルコが加盟しているかどうか(正解は「加盟していない」)くらいならばかわいいものですが、ハンガリー(2004年加盟)だのルーマニア(2007年加盟)だのが加盟しているか、いつ加盟したかなどを高校生に問うのは、受験勉強のコスパを考えた際に「勘弁してほしいな~」と思います。まぁ、全部覚えているにこしたことはないのですけど、現在のところ加盟国27カ国(笑)ですからねぇ。ヨーロッパ統合についてはメインのところをしっかりおさえておいて、重箱の隅つついたような問題が出てきてしまった場合には「こんなもん出すなんて、こいつセンスねぇな。」と毒づいていくらか絞った後は勘に頼ってもいいのではないかという気もしますw 今年はとかくヨーロッパが話題になった年であったかと思いますので例年よりも少し丁寧に見ておいた方がいいかもしれませんね。

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【定期考査/共通テスト】

 

冷戦下に生み出された数多い分断国家ですが、特にベトナムなどの場合、ベトナム国やベトナム共和国やベトナム民主共和国や最後にはベトナム社会主義共和国なども登場してどれがどれやらわからんバオ=ダイとなってしまうようです。普段はわかっていても、いざ試験中となると焦って混乱してしまうこともあるのですが、高校世界史に出てくる範囲でということであれば、「民主」とつく方が社会主義国と理解しておけば、混乱を防ぐことができるかと思います。

 

[ドイツ]

・ドイツ民主共和国(東ドイツ)

・ドイツ連邦共和国(西ドイツ)

 

[朝鮮半島]

・朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)

・大韓民国

 

[ベトナム]

・ベトナム民主共和国(北ベトナム)

・ベトナム国 / ベトナム共和国(南ベトナム)

 

ベトナムについては、阮朝最後の皇帝バオ=ダイが国家元首であった方がベトナム国、大統領制をとった(共和政である)継承国家がベトナム共和国と把握すればこちらの区別もつきますし、ベトナム戦争後に南北を統一したベトナム社会主義共和国は、ばっちり「社会主義」ゆーとりますから問題ないですね。

 

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【定期考査/共通テスト】

:テストの定番、秦の始皇帝と前漢の武帝の政策まとめです。全部の情報を盛り込んじゃうとかえって見づらいのでいくらか削りましたけど、まぁこの辺をおさえておけば困りはしませんよね。特に、双方に似たようなものがあって区別がつきにくい部分には要注意です。焚書・坑儒が始皇帝っていうのはあまり間違える人いませんが、半両銭(始皇帝)と五銖銭(武帝)とか、蒙恬(始皇帝)と衛青・霍去病(武帝)とかはわりと「あれ?あれあれ?」ってなったりします。覚えるという作業ももちろん大切ですが、どのあたりで躓きやすいのかをあらかじめ予見しておくということは効率の良い学習にもつながります。

秦始皇帝と前漢武帝


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