世界史リンク工房

大学受験向け世界史情報ブログ

カテゴリ:テストで差がつくワンポイント > 5_ヨーロッパ世界の形成と発展

【難関大】

十字軍の経路については、たいていの教科書や資料集には載っています。ですが、たいていの場合、第1回から第7回まで一つの図にいっぺんにまとめられているので、いまいち特徴がつかみにくいということもあるかもしれません。ですが、これらの経路は時々早慶の問題などで出題されることもありますので、だいたいの特徴はとらえておく必要があります。十字軍のだいたいのポイントは以下のような感じです。

十字軍一覧表

もっとも、十字軍のうち、第2回と第5回が出題の対象となることはあまりありません。最近は「フリードリヒ2世とイスラーム」といった視点も大事になってきているので、今後、第5回の出題頻度が増す可能性はゼロではありませんが、今のところあまり見ていません。また、十字軍の軍事活動自体が以前と比べて出題の機会を減らしてきている気もします。(背景などはまだまだ出そうですが…。) ですから、注意するとすれば第1回、第3回、第4回、第6回、第7回の経路に注意を払う必要があります。

 

これらのうち、一番わかりやすいのは第4回です。ヴェネツィアが主導し、最後はコンスタンティノープルを落としてラテン帝国を建てた十字軍なので、経路はヴェネツィア→コンスタンティノープルの1本道です。余談ですが、ラテン帝国の建国により滅亡したビザンツ帝国の諸侯は周辺に亡命政権を建て、そのうちのニケーア帝国のミカエル8世がビザンツ帝国を復興して最後の王朝となるパラエオロゴス朝(パレオロゴス朝)を建てていきます(1261年)。

十字軍4回_解説付

次に比較的確認しやすいのは第6回・第7回の十字軍です。これらはどちらもフランスのルイ9世(聖王)によって行われ、アイユーブ朝からマムルーク朝に代替わりする時期の北アフリカに行っていますので、「フランス→北アフリカ」のラインを作っているものを選べばOKです。第6回はエジプトを、第7回ではチュニスを攻撃している点には注意が必要です。

十字軍6_7回_解説付

意外に区別がつきにくいのが第1回・第3回・第6回十字軍の経路なのですが、わりとはっきりした区別のつけ方があります。

まず、第1回十字軍ですが、最終的にイェルサレムを占領してイェルサレム王国ほかのキリスト教国を建てることになるので、イェルサレムに到達しているのが第1回十字軍です。(ほかにイェルサレムに到達する十字軍は、アル=カーミルとの交渉でイェルサレムを一時的に返還されたフリードリヒ2世の第5回十字軍だけですが、上述の通りあまり出て来ません。) また、参加するのは神聖ローマ帝国とフランスの諸侯なので、現在のフランスやドイツの内陸部が起点となっていることも確認できます。

十字軍1回_解説付

一方、第3回十字軍は一見すると第1回と区別がつきにくいのですが、イギリス王リチャード3世の参加した十字軍ですので、起点としてイギリスが入っているかどうかではっきり区別がつくと思います。

十字軍3回_解説付


このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

【定期考査】

中世ヨーロッパ史の定番中の定番であるイギリス議会制形成の流れについて、超単純化してみました。
イギリス議会制形成の流れ_2 - コピー
年号も下一ケタが「5」ばっかりだし、わりとスッキリしてます。すごく定番の流れではあるのですが、意外に論述問題などで難関大でも出てくるんですよね。以前、一橋大学の2019年過去問でフランス議会(三部会)の成立と合わせて解説したことがありますが、あそこまでしっかりとした問題でなくても、「ジョンとマグナ=カルタ」→「ヘンリ3世とモンフォール議会」→「エドワード1世と模範議会」→「エドワード3世と二院制の成立」という流れに加えて「大貴族・高位聖職者と2名ずつの各州・都市代表」といった模範議会を構成したメンバーを示させるような論述問題を作るだけでも200字近くの論述問題になっちゃうと思います。というか、何度か類似の問題を定期考査で出したことがあります。採点基準がわりとはっきりしているので何より採点がラクw
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

【難関大】

1453年が「オスマン帝国のメフメト2世によってコンスタンティノープルが陥落してビザンツ帝国が滅亡した年である」と覚えている受験生はいても、一方でこの年が百年戦争の終結年であることを意識している人はそこまで多くないように思います。この感覚はすごーく地味なのですが、意外と汎用性が高いです。

 

(オスマン帝国関係)

・メフメト2世(15世紀半ば)を境に

 前[14世紀後半~15世紀初]

:ムラト1世やバヤジット1世などによるバルカン半島への拡大期

 (1402年のアンカラの戦いでバヤジット1世が捕虜になったことで停滞)

 後[16世紀]

:セリム1世やスレイマン1世による再拡大

  

(百年戦争関係)

・百年戦争の開始時期が漠然とわかる(正確には1339年)

 ちなみに、百年戦争を始めたのがエドワード3世なので、二院制の成立時期もわかる

・百年戦争終結後まもなく、ばら戦争(1455-1485年)が起こるので、ばら戦争の時期やテューダー朝の成立時期(1485年、ヘンリ7世)が分かる。

 

やや発展的な内容ではありますが、出来事の整序問題や論述問題など、時代感覚をとらえる必要がある時にはわりと重宝します。

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

正直に言ってそこまで頻出というわけでもないのですが、たまたま図表と地図をつくったのでw 地図の方はかなり前に作ったものなので、クラクフ大学のってません。

ヨーロッパ中世の大学はたくさん数がありますが、出題頻度が圧倒的に多いのは北イタリアのボローニャ大学と南イタリアのサレルノ大学である気がします。ボローニャは最古の大学とされますし、南イタリアは医学との関係でイスラームなどとも結びつけやすいので、出題しやすいのだと思います。できた時期については、当時大学がいつ形成されたのかは判然としないところもありますので、必ずしも「○○世紀」ということにこだわらなくても良いと思います。12世紀までにはできていて、ボローニャがおそらく最古、サレルノがそれと同時期くらいの理解で大丈夫かと。実際、『タペストリー』あたりを見るとサレルノは「?世紀」となっていますが、ここでは便宜上同大の名声が高まる12世紀に分類しました。

対して、パリ、オクスフォード、ケンブリッジは超有名で専門も神学のため、いまいち出題しにくい。オクスフォードがパリから移住した学生によって形成された話や、ケンブリッジがオクスフォードから派生したという特徴があるにはありますが、これをネタとした出題、そんなに頻繁には見ませんね。

それよりは、むしろプラハ大学あたりの方が特徴があって出やすい気がします。(ベーメン王カレル1世こと神聖ローマ皇帝カール4世による。)また、近年ですとシュタウフェン朝の参考書等での記述量が増しているので、フリードリヒ2世によるナポリ大学なんかもアリですね。クラクフ大学は正直まだあまり出題で見かける気はしません。ポーランドなので今後増えてくるかもしれませんが。

 

・中世の大学はまずボローニャ大学(北イタリア・最古・法学)とサレルノ大学(南イタリア・医学)をおさえる

・パリ、オクスフォード、ケンブリッジは神学

・余裕があればプラハ大学、ナポリ大学の特徴をおさえておくとよい


中世大学一覧 - コピー (2)

ヨーロッパ中世大学 - コピー
(赤は12世紀までにはできていた大学)
このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

↑このページのトップヘ