世界史は情報量が多く、勉強すればするほどたくさんのことを覚えなければなりません。個人的には、歴史学の入り口に入るには教科書一冊分程度の知識は最低限必要だと思いますし、本格的に歴史を学ぶとなれば1冊どころか数十冊、数百冊の書物と出会うことになります。ですが、高校受験生ということであれば、勉強するものは何も世界史だけではありませんし、限られた時間の中で多くの教科を勉強しなければならないわけで、本当に大変です。

ところが、あまりにたくさんの情報があるために、どの部分を優先して覚えたらよいかとか、どのあたりを覚えているとぶっちゃけ点数になるかなどは、世界史は他の教科と比べてわかりにくい部分もあるようです。テストでどこが出るか、何が大切かという感覚を身に着けるには、とにかくたくさんの問題を解き、触れるのが一番良いです。問題を解くことで「あー、この辺が良く狙われるなぁ」とか、「この知識はこういう出し方がされるのかぁ」という感覚が身につきますし、それにしたがって効率的な学習の仕方が自然にわかってきます。つまり、世界史の点数が採れる人は、同じ法でも「人身保護法」と「ナントの勅令」ならどちらの方が(世界史のテストで)より重要度が高いかとか、同じインドでの戦いでも「プラッシーの戦い」と「ブクサールの戦い」ならどちらの方が良く出るかなどの感覚が身についていたりします。

こうしたことは、センスと経験値でかなり差が出ます。センスというのは「一連の物事において、何が幹となり、肝となっているか」や「類似のものを並べ、比較して整理する」や「自分が出題者なら何を出題したいと感じるか」といったことを読み取る情報処理能力です。わかりやすい例で言いますと、日本史について言えば、江戸時代において「徳川家康」が「重要」であることはみんな分かっています。何といっても江戸幕府や江戸時代が始まるきっかけを作った人です。ですが、中学生のテストであればまだしも、大学受験で「徳川家康」をダイレクトに聞く問題が果たしてどれくらい出るでしょうか。大学受験は選抜試験ですから、「みんな知っている」、「みんな書ける」レベルのものを出題してもあまり意味はないのです。ですから、実際に出題されるのは、徳川家康よりも新井白石だったり、徳川家康をダイレクトに聞くよりは「家康の時代に起こったこと、起こらなかったこと」という正誤問題になったりします。つまり、歴史のテストで点数をとるためには、話の流れの基本となる部分は「おさえ」つつ、話のキーになるもの、類似のものが多く間違えがちなもの、うろ覚えになりがちだけれども重要な箇所、といった「出題されやすい」部分を「しっかりと覚える」必要があります。

(余談になりますが、こうした「出題されやすいポイント」は時代によって少しずつ変わります。私が高校の頃に「出題されやすかった」ポイントと、現在「出題されやすいポイント」は共通する部分もありますが、異なる部分もあります。たとえば、最近東大などをはじめよく見られるようになったザミンダーリー(制)やライヤットワーリー(制)などは昔はほとんどといっていいくらい見られませんでしたし、参考書等にも詳しい説明が載っていないことが多かったです。)

 

こちらの「テストで差がつくワンポイント」では、そうしたテストの肝になりそうな部分のみ、思いついたものを時代ごとに紹介していきたいと思います。経験値という意味ではアホみたいに積んでいますし、出題者側の立場もわかるので、そういう意味ではお役に立てるかと。ワンポイントなので、あまり細かい説明はしません。そのうち、数も増えていくかと思いますので、気長に待ってみてください。いつまで続くか分かりませんがw 基本的な仕組みは以下の通りです。

 

・カテゴリは、チュートリアル以外は『詳説世界史研究』(山川出版社、2017年度版)の章立てに準拠しています。

・冒頭に、難易度を示します。簡単な方から「定期考査」、「共通テスト」、「難関」とします。「定期考査」は一般的な定期考査レベルを想定しています。「うちの学校の定期考査は鬼ムズ」と思う人は、ご自身でレベルを調整してくださいw 「共通テスト」は大学入学共通テスト(旧センター試験)を想定しています。「難関」は国立・私大の難関校を想定していますが、特に国立・私大の区別をした方が良い場合には「国立難関」、「私大難関」と示します。

 

とりあえずは、以上のような形で進めてみたいと思います。「〇〇と××ならどっちの方が大事?」みたいなご質問あれば、常にお答えできるかはわかりませんが、検討したいと思います。