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早稲田大学文学部の世界史は、出題上の特徴が比較的明確な試験です。

 

2022~2026年度の5年間の問題を設問単位で分析すると、単に「細かい知識が多い」、「文化史が出やすい」といった印象論だけではなく、いくつかの傾向が確認できます。

 

特に重要な点としては、

 

・ 短答記述が約3割を占める

・ 中国・東アジア史が毎年まとまって出題される

・ 文化史・宗教史が試験全体を通して繰り返し出題される

・ 最後の大問は5年連続で文化史系

・ 最後の大問では5年連続で図版が使用されている

・ 人名・地名を自力で書く力が必要

・ 年代・地理・文化を関連づける問題が多い

・ 過去問で出た知識が数年後に再出題されることがある

 

などです。

 

以下、2022~2026年度の問題をもとに詳しく見ていきます。

 

【早稲田大学文学部世界史の基本構成】

2022~2026年度の大問数・設問数をまとめると、次のようになります。

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5年間の合計は、215問です。このうち、「選択式149問=69.3%」、「短答記述66問=30.7%」となっています。大問数にいくらかの変動はありますが、全体の設問数は41問~46問と40程度で安定しています。大問ひとつあたりの設問数は2022年度の約5.1問から、2025年度には8.2問となっています。直線的な変化とまでは言えませんが、近年は大問数が少なくなる一方、1大問あたりの設問数が増える傾向が見られます。

 

2022~2026年度の文学部には論述はありません。その代わりに多いのが短答記述です。5年間で66問、全設問の30.7%を占めています。また、内容的にも単に基本用語だけを書かせるわけではありません。たとえば2026年度では、

 

・ マスタバ

・ メロエ

・ 澶淵の盟

・ 神宗

・ 大祚栄

・ カーナティック戦争

 

などが記述解答となっており、それなりの難度の言葉でも書かせに来ています。

 

マスタバあたりは一応文学部の2015年問題で出題がありますが、かなり無理があります。こういうものを大問1の問1に持ってきて受験生の心を砕きに来るあたり、早稲田の文学部は受験生のメンタルを試しているのではないかと疑いたくなります。

 

ただまぁ、早稲田大学の考古学系は昔からエジプト調査・考古学研究の系譜は強いので(さくじいとか)、エジプト系はハードル高くなりがちなのかもしれません。

 

脱線しましたが、早稲田の文学部は、他の学部同様に「選択肢を見れば分かる」レベルで止めるのではなく「自力で用語を再生できる」レベルまで知識を引き上げることが重要です。

 

【短答記述問題の割合について】

5年間で短答記述として出題された66問を、今回の分析では「人名」、「地名・都市・地域等」、「その他」に分類しました。結果は以下の通りです。

 

人名:25問(37.9%)

地名・都市・地域等:17問(25.8%)

その他:24問(36.4%)

 

人名と地名のみで短答記述全体の63.6%となります。つまり、「誰か」または「どこか」を自力で答える問題が多く出題されることが分かります。2025年度だけを見ても、班超、光緒帝、フェルナンド、チョーサー、ウィクリフ、ダーウィン、ユスティニアヌスなどが直接記述になっています。

人物については、「人物名→事績」だけでなく、「事績→人物名」の方向でも答えられるようにしておく必要があります。

 

【中国・東アジア史は5年連続でまとまって出題】

早稲田大学文学部では、中国・東アジア史も重要です。

中国・東アジアを主軸とする問題を分類して数えたところ、

 

2022年度:6問

2023年度:12問

2024年度:11問

2025年度:11問

2026年度:8問

 

となり、合計48問でした。全215問の約22.3%が中国や東アジアを主軸とすつ大問からの出題となります。

 

文学部の中国・東アジア史で重要なのは、単純な王朝通史だけではないという点です。

2023年度大問Ⅱでは、六朝文化、中国文化の朝鮮半島・日本への伝播、唐代の国際交流などが扱われています。本文でも、漢字・儒教・漢訳仏教・律令などを通して東アジア文化圏が形成されたという視点が示されています。

 

さらに同年度の大問Ⅴでは、

 

・ 全真教

・ 白蓮教

・ 中国におけるイスラーム

・ カトリック

・ 祖先祭祀

・ 顧炎武

 

などが問われています。

これを見るに、中国の歴史については政治史だけでなく文化史・宗教史・思想史や対外関係などもまとめて学習することが重要です。

 

【文化史・宗教史は試験全体を通して繰り返し出題】

早稲田大学文学部の世界史で特徴的なのが文化史です。

最後の大問に文化史が出題されていることに目が向きがちですが、他の大問にも数多く文化史が出題されています。文化史・宗教史は試験の一部だけに限定された分野ではなく、試験全体を通して繰り返し登場する分野と考えた方がよいでしょう。

 

特に、各年度の最後の大問では必ず文化史が図版つきで出題されています。

 

2022~2026年度の最後の大問のテーマを整理すると、次のようになります。

ChatGPT Image 2026年8月30日 00_51_31

また、最後の文化史大問は特定の時代に固定されておりません。たとえば、

 

2023年度

:「ユダヤ教→ビザンツ帝国→ガンダーラ・マトゥラー」と展開

(偶像崇拝禁止、イコノクラスム、仏像成立を一つのテーマで結ぶ)

 

2024年度

:古代の戦争表現からノルマン征服、バイユー=タペストリーへと展開

 

2025年度

:ビザンツ世界から近現代の政治的・公共的な美術表現へ広げる

 

2026年度

:宗教美術、オランダ絵画、近代の写真などを扱う

 

そのため、「ルネサンスだけ重点的に覚える」などの局所的な対策では不十分です。むしろ、古代から近現代までの主要な文化事項を、宗教・政治・都市などの背景と結びつけて理解することが重要です。また、図版の多用などを考えるに作品名と作者名だけを覚えるのではなく、作品・図版を目で見て把握し、時代・地域・宗教・政治的背景と関連づけて確認する必要があります。

 

資料集を見る際には、「この作品は何か」だけではなく、「いつの時代か」、「どの地域か」、「どの国家や宗教と関係するか」、「どの歴史的出来事と結びつくか」まで確認しながら学習する必要があるでしょう。

 

さらに、問われる文化史の範囲はかなり広くとられています。重要なのは、「宗教・宗教制度」、「美術・建築・図像」、「思想・哲学」、「文学・著作」、「科学・学術」、「文字・書物・印刷」などです。たとえば2023年度では、グーテンベルクの活版印刷から宗教改革、禁書、さらにイエズス会による中国での漢訳出版まで一続きのテーマとして扱っています。また同年度のイスラーム史では、ギリシア学術の受容、イスラーム科学、農作物や砂糖の伝播などが扱われています。つまり文学部では、文化がどのように形成され、伝わり、受容され、統制されたかという視点も重要です。

 

【宗教史や文化交流史などの重要性】

早稲田大学文学部の出題では宗教関係の出題も目立ちます。

たとえば2023年度だけでも、

 

・ 仏教

・ 全真教

・ 白蓮教

・ イスラーム

・ カトリック

・ 教皇権

・ 修道院

・ 宗教改革

・ イコノクラスム

・ 仏像成立

 

などが扱われています。

中国王朝の宗教政策そのものを扱った大問もあり、本文では度牒・賜額・宗教勢力の公認や統制などが説明されています。したがって、宗教史を文化史の補足程度に扱わない方が良いでしょう。イスラーム史も繰り返し出題されているため、王朝だけでなく、宗教制度・学術・建築・交易などと結びつけて学ぶ必要があります。

 

また、文明間の交流を扱った問題も目立ちます。2023年度大問Ⅱでは、漢字・儒教・漢訳仏教・律令などの中国文化が東アジアへ広がる過程が扱われています。同年度大問Ⅳでは、イエズス会士による西洋文明の東アジアへの伝達が扱われています。したがって、各地域史を完全に分離して覚えるのではなく、「どこからどこへ何が伝わったか」を意識して整理することが大切です。

 

【年代問題は年号暗記だけでは対応しにくい】

早稲田文学部では、出来事の前後関係を判断させる問題も見られます。

2023年度では六朝文化について、「王羲之」、「陶淵明」、「顧愷之」、「昭明太子」を年代順に判断させています。また百年戦争関連でも、「クレシーの戦い」、「黒死病」、「ジャックリーの乱」「オルレアンの戦い」の前後関係を判断させています。こうした設問を年号暗記だけで対応することは難しいため、個々の年号だけでなく、同じテーマに属する人物・事件を時系列で整理しておくことが大切です。

 

【知識だけでなく、関連性を問う視点が重要】

分析したところ、短答記述66問のうち17問は地名・都市・地域等に分類される問題でした。実際に出題されたものを列挙すると

 

・ 南京

・ 揚州

・ シチリア

・ カラコルム

・ ブランデンブルク

・ キール

・ ポンペイ

・ ヘースティングズ

・ レヒフェルト

・ テノチティトラン

・ メロエ

・ イェルサレム

 

などが記述解答になっています。こうした問題に対処するためには、「事件→場所」、「人物→地域」、「文化財→所在地」という方向でも答えられるようにしておくことが重要です。

 

また、事柄についても比較的細かな事項が出題される一方で、基本事項も多く問われます。たとえばグーテンベルクについても、単に「活版印刷」と覚えるだけではなく、『四十二行聖書』や印刷機などについて複数の説明を比較して判断する問題になっています。したがって、細かな用語を大量に増やすことだけを優先するより、主要事項の関連知識を一段広く、正確に固めることが重要です。

 

【過去問で出た知識が再び出題されることがある】

過去問研究も重要です。5年間を比較すると、同じ知識そのものが再び正答になった例があります。代表的なのが、澶淵の盟です。2022年度大問Ⅳ設問5で「澶淵の盟」が正答となり、2026年度大問Ⅱ設問3でも再び同じ語が記述解答になっています。また、ワクフも2024年度大問Ⅴ設問5で出題され、その後2026年度大問Ⅲ設問1で再び正答になっています。したがって、「一度出た用語はもう出ない」とは考えない方がよいでしょう。

 

また、上記のように完全に同じ答えが再出題されるだけではありません。2023年度では、14世紀のオクスフォード大学で教皇権を批判した神学者について、その人物に関する説明を選ばせています。2025年度では、ウィクリフそのものを直接記述させています。

また、「2023年度:イコン・イコノクラスム」、「2025年度:ユスティニアヌス」、「2026年度:ハギア=ソフィア聖堂」というように、ビザンツ帝国の宗教・文化に関する知識も別の角度から繰り返されています。したがって過去問に取り組む際は、正解だけを覚えるのではなく、その周辺知識まで広げて復習することが重要です。

 

【早稲田文学部世界史の勉強法】

以上の分析を踏まえると、対策は次のように進めるのが効果的です。

 

① 教科書・標準的な参考書を使って通史を抜けなく固める

:細かな問題もありますが、まず主要事項を正確に理解していることが重要です。

 

② 人名・地名・事件名を自力で書く練習をする

:短答記述は全体の30.7%を占め、本記事の分類ではその63.6%が人名・地名系です。

 

③ 中国・東アジア史を重点的に学習する

:中国・東アジアを主軸と分類した大問だけでも、全215問中48問、22.3%を占めています。

 

④ 文化史・宗教史を後回しにしない

:最後の大問は5年連続で文化史系であり、図版も5年連続で使用されています。

 

⑤ 資料集を使って図版・地図を確認する

:絵画・彫刻・建築・宗教美術を、時代・地域・歴史的背景と関連づけて確認しておくとよいでしょう。

 

⑥ 年代はテーマごとの前後関係で整理する

:政治史だけでなく文化史人物も年代整序の対象になっています。

 

⑦ 過去問の正答から周辺知識を広げる

:澶淵の盟やワクフのように、実際に同じ知識が数年後に再出題された例があります。

 

早稲田大学文学部の世界史では、通史を土台として、中国・東アジア史、文化史・宗教史、短答記述、資料集を使った図版・地理対策を重点的に仕上げることが、得点を安定させるための基本的な対策といえるでしょう。

ただし、こちらの出題傾向はあくまで直近5年間の傾向を分析したもので、それ以前の問題なども含めればまた別の傾向が見える可能性もあります。また、出題傾向はあくまで傾向であって、次年度以降の出題を保証するものではありません。重点的に対策する箇所は意識しつつも、そこだけの対策で満足しない方が良いでしょう。

【
2027年早稲田大学文学部「世界史」の出題予想】
あくまでも出題傾向は傾向なので、絶対に出るとは言えませんが、仮に自分が2027年の早稲田大学文学部の世界史試験を受けることになった場合、特に気を付けておきたい箇所をあげるのであれば、以下のような内容になるかと思います。

① 明・清代の社会・経済・対外交易
中国史は毎年重要です。
近年は思想・宗教・宋の国際関係などが中心で、明・清の社会経済史にはまとまった出題余地があります。

② 鄭和・朝貢貿易・海禁
東アジア+交流史+地理を組み合わせやすく、文学部型のテーマになりやすいと思います。

③ 広州・マカオ・東アジア海域交易
2023年度でも広州・揚州・泉州など港市とムスリム商人を扱っており、都市・交易の再利用性が高いです。


④ 清朝の対外関係とアヘン戦争前後

中国史の中で2022~26年度の大問主題として近代中国は比較的手薄です。

⑤ 洋務運動・変法運動・辛亥革命
中国思想・政治改革・西洋知識受容という文学部好みのテーマに接続しやすい内容です。

⑥ 宋学・朱子学と東アジアへの伝播
中国思想史+朝鮮・日本への文化伝播を結びつけられます。
2023年にも東アジア文化圏形成は大きく扱われました。

⑦ 石窟寺院(敦煌・雲岡・龍門)、北魏
2023年に莫高窟が実際に問われており、仏教・美術・地理を同時に問える内容です。

⑧ ビザンツ美術・イコン・モザイク
2023・2025・2026年度に関連知識が繰り返し登場しています。

⑨ ロマネスク・ゴシック建築
最終文化史大問の図版題材として使いやすく、建築物から時代・宗教・都市を問えます。


⑩ ルネサンス美術と人文主義
図版を用いた文化史の典型です。作者・作品だけでなく都市・パトロン・思想まで広げられます。

⑪ 宗教改革と印刷文化
2023年に「グーテンベルク→宗教改革→禁書→中国への漢訳出版」までひと続きで出題されました。
文学部の「知識伝播」型を代表する内容です。

⑫ イエズス会と東西文化交流
イエズス会宣教師、徐光啓、西洋科学、漢訳など。中国史とヨーロッパ文化史をつなげやすいです。
また、意外に苦手にしている受験生も多く、一定の問題レベルが確保できる内容です。

⑬ イスラーム建築や社会制度(モスク・マドラサ・ワクフなど)
ワクフは2024・2026年に再出題されています。
宗教制度+建築+都市という出題が可能です。

⑭ イスラーム科学とギリシア学術の継承
2023年度でイブン=ルシュド、フワーリズミーなどを扱い、文学部の交流史の中心的な例です。

⑮ 12世紀ルネサンス
⑭と接続しやすい内容です。


2027年度の文学部では、単語単位で「これが出る」という確度は高くありませんが、中国・東アジア、宗教、文化交流、建築・図像の4本柱から出題される可能性は、直近5年間の傾向から相対的に高いと考えます。特に絞るなら「明・清~近代中国」と「宗教建築・美術史」の2つのテーマは気にかかります。

ただし、繰り返しますがあくまでも出題傾向、しかも直近5年分の分析からのものですので、当たればラッキーレベルの予想です。

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早稲田大学商学部の世界史は、単純に「細かい知識をたくさん覚えればよい」というタイプの試験ではありません。

 

2022~2026年度の5年間について、通常問題245問と論述5題を一問ずつ確認すると、人物・制度・年代・地理・文化史などの知識を、互いに正確に結びつけて使う力が強く求められていることが分かります。

 

また、大問ごとの地域や形式にもかなり安定した傾向があります。

 

ここでは、2022~2026年度の過去問分析をもとに、早稲田大学商学部の世界史でどのような問題が出題されているのか、どのような対策が有効なのかを、具体的な数値とともに整理します。

なお、本記事では、大問Ⅳの空欄1つを1問として数え、論述は通常問題とは別に検証しています。

 

【早稲田大学商学部・世界史の基本構成】

近年の世界史は、毎年ほぼ次の構成になっています。 

ChatGPT Image 2026年8月29日 06_38_54

論述問題以外の問題(通常問題)245問のうち、180問が選択式、65問が記述式空欄です。

割合にすると、選択式が73.5%、記述式空欄が26.5%となります。つまり、通常問題のおよそ4問に1問は、選択肢を見て答えるのではなく、世界史の用語を自力で思い出して書かなければなりません。

 

そのため、早稲田商対策では、「選択肢を見れば分かる」という状態だけでは不十分です。重要用語については、自力で再生できるところまで仕上げる必要があります。

 

また、2022~2026年度の大問テーマを並べると、かなり明確な傾向が見えてきます。

ChatGPT Image 2026年8月29日 06_46_02
この表から分かることは以下の通りです。

 

① 大問Ⅰは5年連続で西ユーラシア系

:2022~2026年度では、大問Ⅰは直近の5年では連続で西ユーラシアを中心とするテーマになっています。ただし、一国の通史をそのまま問うのではなく、政治・経済・文化・宗教・地理をまたいで出題される点が重要です。たとえば、2023年度では、中世ヨーロッパの農業・都市・十字軍・シャンパーニュ大市・ハンザ同盟などを一つの大問の中で横断的に扱っています。

 

② 大問Ⅱは5年連続で中国・東アジア系

:さらに明確なのが大問Ⅱです。大問Ⅱでは、

2022年度:モンゴル帝国と中国社会

2023年度:清朝の版図拡大と多民族統治

2024年度:中国・東アジア史

2025年度:中国とアジア海域交易

2026年度:唐の興亡

 

となっています。

2023年度では、女真・モンゴル・チベット・新疆・朝貢関係など、清朝を多民族帝国として理解しているかが問われています。

 

5年間の出題のうち、大問Ⅱで出題されている問題は「12問×5年=60問」あります。そのため、少なくとも2022~2026年度については、中国・東アジア史は優先度の高い対策分野と考えてよいでしょう。

ただし、大問内では中国周辺地域にも広がるため、60問すべてが純粋な中国史問題という意味ではない点には注意が必要です。

 

大問Ⅰ・Ⅱだけで通常問題の約半分あります。つまり、通常問題の約半分を占める大問Ⅰ・Ⅱで、西ユーラシア系と中国・東アジア系という地域配置が5年連続していることになります。

 

一方で、大問Ⅲはテーマ史的な出題が多く、年度によってテーマが大きく変わります。

2023年度では「革命」を軸に、アジア・アメリカ・イギリス・フランス・ロシアまで横断しています。複数の革命を年代順に並べる問題も出題されています。2025年度は戦争・軍事技術と国家形成、2026年度は帝国主義・植民地支配・抵抗が中心です。

したがって大問Ⅲは、一国の通史よりも、同じテーマを複数地域・複数時代にまたがって理解しているかを見る大問と考えるとよいでしょう。

 

また、大問Ⅳは早稲田商で特徴的な長期テーマ史となり、13問の記述式空欄と100~120字程度の論述問題という形になっています。論述5題まで含めると、5年間で大問Ⅳには70問相当が配置されています。そのため、大問Ⅳは「最後に論述が1問ある大問」ではなく、試験全体の4分の1以上を占める大規模なテーマ史問題として対策すべきです。

2023年度では、古代アテネの民主政からアメリカの参政権、さらに現代のSNSまで一つのテーマでつながっています。このように、大問Ⅳでは、現代までつながる問題が毎年見られる傾向があります。たとえば、

 

2022年度:ファーウェイ

2023年度:CTBT・イラク戦争・SNS

2024年度:TPPなど現代の国際政治・経済

2025年度:基軸通貨・女性解放

2026年度:フェンタニル・現代の政党対立

 

などが出題されています。

したがって、早稲田商では、世界史の学習を第二次世界大戦や冷戦終結で止めないことが重要です。ただし、単なる時事雑学ではなく、歴史的なテーマの延長として現代を理解することが求められています。また、最低限のニュースなどは確認しておきましょう。

 

【年代は「年号暗記」だけでなく時系列が重要】

年代・時系列に関係する問題は5年間すべてで確認できます。

 

これらの問題では、単純な年号だけでなく、複数の出来事の前後関係を判断する問題も見られます。たとえば、2023年度の問題では、「立法議会→国民公会→ジロンド派追放→バブーフ処刑」というフランス革命期の政治過程が問われています。また、アジアや南北アメリカの革命を年代順に判断する問題もあります。

 

このため、「1789年=フランス革命」のような一点的暗記だけでなく、同じテーマに属する出来事の前後関係を整理することが重要です。

 

【地理上の知識も5年すべてで必要】

地理知識を必要とする問題も5年間すべてに見られます。例として、

 

・エルベ川とハンブルク

・リューベックとハンザ同盟

・ハンザ商館としてのベルゲン

・アルタン=ハンとフフホト

・東晋、南朝の都としての建康

・洛陽と竜門石窟

・安南都護府の位置(ベトナム北部)

・ニューアムステルダム(ニューヨーク)

 

などがあります。2023年度では、エルベ川・リューベック・ベルゲンが直接問われています。

したがって、早稲田商対策では、世界史用語集だけでなく歴史地図や資料集を併用するなど、地理的把握をしっかりしておくことが必要です。

ただし、
アルタン=ハンとフフホトなどはやや無茶な要求ですので、こうした「他の受験生も解けなそうな問題」まで気に病むことはありません。

 

【人物は「名前+事績」で覚える】

5年間を通して、人物と事績・著作・制度を結びつける問題が繰り返されています。

たとえば、

 

・トゥキディデス:『歴史』(ペロポネソス戦争)

・法顕:『仏国記』

・楊炎;両税法

・顧炎武:『日知録』

・マルグレーテ:カルマル同盟

 

などです。

 

そのため、早稲田商では人物名を必ず関連事項と結び付けて覚える習慣をつけることが重要です。設問自体は基本的かつ脊髄反射的な一問一答的発想で答えられるものが多く、複雑な思考を必要とするものではありません。

 

【文化史が比較的重要】

商学部という名称から経済史中心の試験を想像するかもしれませんが、実際には文化・宗教・学術系の出題もかなり見られます。2022年度はルネサンス、2025年度はキリスト教・教会史、2026年度は文字の発達・伝播が大問テーマになっています。

 

つまり、少なくとも5年間のうち3年分で、文化・宗教・学術系の内容が大問の中心になっています。そのため、文化史や宗教史を受験直前まで後回しにする学習法は避けた方が良いでしょう。

  

【過去問で出た事項が別角度から再び出題】

5年間の比較では、同じ人物・制度・テーマが別年度に異なる角度から再び問われる例も確認できます。たとえば、以下のようなものが確認できます。 

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重要なことは、「一度出題された重要人物・制度・テーマが、別角度から再び問われることがある」という点です。特に、2024年度で選択問題として扱われたカンザス=ネブラスカ法は、2026年度にはミズーリ妥協との違いと南北対立への影響を説明する論述の中心事項になっています。

 

したがって、過去問演習の際には、答えだけを覚えるのではなく、「年代」、「内容」、「原因」、「結果」、「関連人物」、「関連事件」などの周辺事項や関連事項まで確認する価値があります。

 

【論述問題は5年連続で100~120字】

論述問題を比較すると、形式と要求にかなり明確な傾向があります。 

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2022年度では、アメリカ金融機関からの借入、累積債務、原油価格低下、アメリカの金利上昇をメキシコ債務危機につなげています。

 

2023年度では、ジャクソン当選の背景について、西部開拓・自営農民・産業資本主義・労働者・白人男子普通選挙を因果的につないでいます。

 

2024年度では、サン=ステファノ条約から列強の反発、ベルリン条約、ロシアの影響力後退までを説明しています。

 

2025年度は新移民の特徴から反発、1924年移民法による規制までを説明しています。

 

2026年度も、ミズーリ妥協とカンザス=ネブラスカ法の違いから奴隷制拡大問題、共和党結集、南北緊張へつなげています。

 

論述問題の傾向としては、「原因→変化→結果」あるいは、「制度A→制度Bとの違い→その影響」などが出題の中心となる傾向があるため、こうした関係を短くまとめる練習が有効です。

 

また、過去5年間の出題に関する限りでは、「2023年度:ジャクソン」、「2025年度:新移民」、「2026年度:奴隷制問題」と3題が明確なアメリカ史であるため、アメリカ史については重点的に確認しておきたいところです。(2022年度のメキシコ債務危機も、アメリカの金融機関や金利政策との関係が重要でしたので、そこまで含めれば8割がたがアメリカ史という見方も可能です。)

 

また、論述以外の通常問題でも、独立・ハミルトン・ニューヨーク・奴隷制・黒人参政権・政党政治・現代社会の分断などが繰り返されています。中国・東アジア史に加えて、アメリカ史も重点的に学習したい分野と考えてよいと思います。

【2027年早稲田大学商学部「世界史」出題予想】

あくまでも出題傾向は傾向なので、絶対に出るとは言えませんが、仮に自分が2027年の早稲田大学商学部の世界史試験を受けることになった場合、特に気を付けておきたい箇所をあげるのであれば、以下のような内容になるかと思います。

① 宋代の政治・経済・社会
中国史の中で直近5年の独立テーマとしては手薄です。
また、「唐→五代」までを2026年に扱ったため、その次の時代として自然な箇所です。

② 王安石の新法
①と同じですが、宋史の中心事項であり、かつ財政・経済政策という商学部との相性も良いです。


③ 宋と遼・西夏・金の国際関係
中国を周辺諸民族との関係から扱う商学部の出題スタイルに合うと思います。

④ 宋代の商業・都市・紙幣
交子・会子、開封・臨安、海上交易など「経済史」と接続しやすい箇所です。

⑤ 明末清初~清代の経済・貿易
2023年の清朝は帝国統治中心だったため、経済面は再利用余地が大きいかと思います。


⑥ 朝貢・冊封と東アジア国際秩序
2024~26年の東アジア史を横につなぐテーマとして出題しやすい内容です。

⑦ アメリカ独立革命と合衆国憲法
大問Ⅳの最重要基礎事項です。2022・23・26年にも関連事項が繰り返し登場しています。

⑧ ハミルトンと連邦派
2022年にハミルトンが直接出題済みです。連邦派と、それに対抗する集権主義などがありえます。

⑨ ジャクソニアン=デモクラシー
2023年度論述そのものの周辺領域で、過去問知識の再利用候補です。


⑩ 南北戦争・奴隷制・再建期
2026年に中心テーマ化されたため、周辺事項を別角度で再利用する可能性があります。

⑪ ミズーリ協定・カンザス=ネブラスカ法
同じく、2026年度論述の核心です。商学部は過去問事項を数年後に再利用することがあります。

⑫ アメリカの工業化・独占資本・反トラスト法
2022・24・25年度の経済史・金融史との接続性が高い内容です。

⑬ ニューディール政策
アメリカ経済史の王道の大テーマですが、直近の大問Ⅳでは主役になっていません

⑭ ブレトン=ウッズ体制・ドル基軸通貨体制
2025年に「基軸通貨」、2022年にGATT・ケネディ=ラウンドが出ており再整理価値が高い。
また、最近の円安などの話題とも合います。

⑮ GATT・WTOと自由貿易
商学部との親和性が非常に高いです。

⑯ プラザ合意
出題されるとされるとすれば単問と思いますが、
最近の為替をめぐる動きとも合います。

⑰ 
産業革命とイギリス経済

2024年度は帝国主義・金融資本、2026年度も帝国主義を扱ったため、その前提となる産業革命は重要です。


商学部は一つのテーマから前後数世紀へかなり広く設問を振るため、予想事項を中心に周辺知識まで広げておくことが重要です。特に「宋史」と「アメリカ経済史」の2本は、2027年度入試では注意したい箇所です。

 

【早稲田大学商学部・世界史の対策:まとめ】

2022~2026年度の数量分析と問題内容の精査から、特に次の点を重視したいところです。

 

1. 中国・東アジア史を優先度の高い分野として仕上げる

2. 大問Ⅰ対策として西ユーラシア史を広く押さえる

3. アメリカ史は近現代まで丁寧に学習する

4. 文化史・宗教史を後回しにしない

5. 重要用語は選択肢で分かるだけでなく自力で書けるようにする

6. 年代は単独年号だけでなく時系列でも整理する

7. 歴史地図を使って都市・地域を確認する

8. 人物は事績・著作・制度とセットで覚える

9. 過去問で出た事項は周辺知識まで復習する

10. 論述では原因・変化・結果を100字前後でまとめる練習をする

 

直近5年間についてみた場合、大問構成や出題分野にはかなり安定した特徴が見られます。

 

一方で、テーマそのものは幅広く、同じ人物・制度・事件も異なる角度から問われることがあります。

そのため、「頻出用語だけを覚える」のではなく、「頻出する知識のつながり方」を理解することが、早稲田大学商学部の世界史対策では特に重要だと考えられます。

 

ただし、こちらの出題傾向はあくまで直近5年間の傾向を分析したもので、それ以前の問題なども含めればまた別の傾向が見える可能性もあります。また、出題傾向はあくまで傾向であって、次年度以降の出題を保証するものではありません。重点的に対策する箇所は意識しつつも、そこだけの対策で満足しない方が良いでしょう。

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2026年早稲田大学法学部の論述問題はイスラエルの建国宣言までの経緯を問う問題でした。パレスチナ問題については、2023年末に緊張が高まって以降、常に国際政治の中心的な話題となっていましたし、シオニズムをめぐる動きについてはどの大学においても頻出の内容ですから、受験生は十分に準備して臨めたのではないかと思います。実際、昨年書いたワセ法の出題傾向を分析した記事でも「昨年から今年にかけて、地政学上の諸問題が立て続けに発生しているので、そうした時事的な視点にも注意したいところです。特に、中東問題についてはベタなテーマではありますが、早稲田の法学部論述では1999年に一度出たきりですので、少し注意した方が良い気がします。」と思いっきり注意喚起していたようです。今の今まで忘れていましたがw

 

問では、ユダヤ人にとっての「パレスチナ」の持つ意味を考える必要がありました。また、シオニズムについても、ヘルツルによる第1回シオニスト会議からではなく、第一次世界大戦中からイスラエル建国宣言までという時期設定に注意する必要がありました。これらについて注意する必要はあったものの、内容そのものはごく基本的なものだったように思います。

 

【設問要求】

① 第一次世界大戦中から建国宣言に至るまでの経緯を説明せよ。

② ユダヤ人にとっての「パレスチナ」の持つ意味を示せ

 

(リード文)

・ローマ帝国の迫害とディアスポラ

・2次大戦後にアラブ人の居住するパレスチナに国家を建設

 

【1、全体の流れを確認】

:時期が「第一次世界大戦中から」とあるので、フサイン=マクマホン協定(1915)やバルフォア宣言(1917)から考えるべきです。内容的に考えて、サイクス=ピコ協定に言及する必要はありません。ただし、指定語句に「シオニズム運動」があるので、これをどのように使うかは考慮すべきです。

シオニズムについての流れをざっと概観すると以下のようになりますが、本設問の時期を考えた場合、①のヘルツルの件は解答に盛り込む必要はありません。このように、情報の取捨選択についてはいくらか気を付けた方が良いでしょう。

 

(19世紀後半からのシオニズム運動の流れ)

① シオニズム運動の高揚[1897、ヘルツルによる第1回シオニスト会議] …本設問では不要

→ユダヤ人の国家建設運動へ

 

cf.) 19世紀の反ユダヤ主義の背景 

・ナショナリズムの高揚と国民国家の形成

・「人種」概念の形成(宗教・文化によらず、ユダヤ人という「人種」は変化しないとする理解)

 

② オスマン帝国と対立するイギリスによるシオニスト支援

1917 バルフォア宣言

:イギリス外相バルフォアによるユダヤ人の民族的郷土(national home)建設支援表明

→フサイン=マクマホン協定(1915)ならびにサイクス=ピコ協定(1916)との矛盾

 

③ イギリスによる委任統治と、ユダヤ人入植者の拡大

1922 パレスチナがイギリスの委任統治領に

→ユダヤ人が増加(イギリスはアラブ人住民の権利を侵害しないことを条件とした)

→貧しいアラブ農民が土地をユダヤ人に売却

→ユダヤ人入植者による集団農場(キブツ)、軍事組織(ハガナー)の形成→対立激化

 

1935 ドイツでニュルンベルク法によるユダヤ人の公民権剥奪(ホロコーストへ)

→ドイツを捨てたユダヤ人の入植者数が急増

    (1922年で約8万、1931年で約17万、1944年で約55万)

【パレスチナにおける人口推移(1922年-1944年)】
スクリーンショット 2026-08-03 010738


【宗教別人口増加率(1922年-1944年)】
スクリーンショット 2026-08-03 010749
(SURVEY OF PALESTINE, Chapter VI, pp.152-161より作成)

④ 国際連合によるパレスチナ分割案(1947)

・ユダヤ人→国家建設準備

・アラブ人→反発

⑤ イスラエルの建国(1948) …その後の第1次中東戦争は不要

・イスラエルの建国にアラブ連盟が反発→イスラエルの勝利

・パレスチナ難民の発生

 

【2、ユダヤ人にとっての「パレスチナ」の持つ意味】

:本設問では、ユダヤ人にとっての「パレスチナ」の持つ意味について考えよという指示がありますので、これについて言及する必要があります。ただ、意外に受験生には文章として表現しにくい部分かもしれません。また、一言で「ユダヤ人にとってのパレスチナ」と言っても、時代や文脈によってその意味は様々です。

 

(旧約聖書) 『ゼカリヤ書』などに示された、神がユダヤ人とともに帰り、ともにあるとした土地 

(古代) ヘブライ王国など、ユダヤ人国家が存在

(ローマ支配以降) 宗教的聖地・精神的故郷

(19世紀末以降) シオニズムによる民族国家建設の地

 

ここでは、第一次世界大戦中からのとありますので、宗教的な意味と、ユダヤ人国家建設の目的地ということが示してあれば十分なのではないでしょうか。

 

【解答例】

ユダヤ人は、宗教的聖地で神との約束の地であるパレスチナに国家建設を図るシオニズム運動を強めた。第1次世界大戦でオスマン帝国と戦うイギリスは、バルフォア宣言でユダヤ人の民族的郷土建設を支持したが、アラブ人独立を約したフサイン=マクマホン協定を結んでいたアラブ人は反発した。イギリスの委任統治領下で増加したパレスチナへのユダヤ人入植者は、ドイツのホロコーストが激化すると急増し、ユダヤ人国家建設への国際的支持も高まったが、アラブ人との対立は激化した。第2次世界大戦後、イギリスは問題解決を国際連合の裁定に委ねた。ユダヤ人に有利なパレスチナ分割案にアラブ人は反発したが、ユダヤ人はイスラエル建国を宣言した。(300字)

 

こんな感じでしょうか。上にも書きましたが、イスラエルの建国宣言までが設問の要求ですので、その後の第1次中東戦争やパレスチナ難民の発生などは解答に含めないように注意しましょう。

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